「常勝」「常昇」「常笑」~芦高生へ捧ぐ

平成27年1月8日 全校集会

芦高生が宮川のキャンパスに戻ってきました。2週間振りに賑やかな朝を迎えました。年頭の全校集会で私は次のメッセージを芦高生に送りました。

芦高生の皆さん、あらためまして、新年あけましておめでとうございます。

平成27年元旦、皆さんはそれぞれ新年を清々しい気持ちで、また決意を新たに迎えたことと思います。この2週間の冬休みは、慌ただしい日々の生活から解放され、自由に様々なことに思いを馳せることができた貴重な機会だったのではないでしょうか。

3年次(70期生)の皆さん、この3年間、全校集会等で様々なことを話題にしてきましたが、今日が高校生活最後の全校集会になります。この3年間心身共に大きく成長した皆さんに来月卒業証書を授与できる喜びを感じています。

センター試験が目前に迫っています。「受験は団体戦」とよく言われます。70期生が一丸となり、努力してきた自分自身を、そして何よりも3年間芦高で思い出と貴重な時間を共有してきた仲間を信じて、最後まで自己実現に向けて真摯な努力をしてください。

さて、私の年の始まりは、毎年2日、3日と、箱根大学駅伝をテレビでのんびりと鑑賞することです。東京・箱根間往復10区間217キロ余りを10人の選手が、大学の名誉や伝統を背負い、途切らせずに襷を繋いでいくドラマはまるで人生の縮図のようです。

監督や部員全員の様々な思いの染みこんだ襷を繋げずに思わず泣き伏してしまう選手もいれば、淡々と自分の役割を果たして伝統の襷を繋ぐ選手もいます。まさしく人生のように「上り坂」も「下り坂」も、そしてよく言われる3つ目の坂「まさか」もあります。今年も2日間で10時間以上に及ぶ感動のドラマが展開され、青山学院大学が初の往復総合優勝を飾り幕を閉じました。

初日、往路、箱根の山上りとなる5区、2位で襷を受けた青学大の神野大地(かみの だいち)が首位に躍り出て「新・山の神」と呼ばれた東洋大学・柏原竜二を上回る好記録でゴールしました。

164センチ、43キロの小柄な身体で山上りの難所を笑顔で走り抜けた彼の姿がとても印象的でした。監督から「模範生」と評され、陸上部の仲間からは「陸上のために生活全てをかけている」と一目置かれる存在だそうです。寮生活でも真面目さが際だっており、誰かが起きていても必ず就寝時間の15分前までに就寝。レースに向けた練習が始まれば、一切菓子類を食べない。練習前後にも補強練習を他の選手の何倍も行うそうです。そして週1回のオフには思いっきり遊び生活にメリハリをつけることも忘れなかったとのことです。

レース後のヒーローインタビューでは「夢が実現できてうれしい。走ることがとても楽しかった」と、とびっきりの笑顔で応えていました。まさしく彼の“ありのまま”の姿は、映像をとおして私にまでその喜びと感動を伝えました。

私はその時ふと思いました。昨年の流行語大賞に輝いた“ありのまま”“Let it go.”という姿は、彼のように自分自身を制して、半ばストイックな生活を送り、不断の努力を続けることで初めて見えてくる姿ではないのかと・・・。

結びに、「常勝」「常昇」「常笑」という3つのことばがあります。これは芦高サッカー部監督平野先生のモットーだとのことです。この度「3代目山の神」の称号を受けた神野 大地くんは、これからの練習次第で確実に「常昇」はあるでしょう。ただし、柏原 竜二が記録を破られたように「常勝」するのはなかなか難しいと思います。これはどんな場合においても世の常です。しかし、どんな時も勝敗に関わらず彼の「常笑」している姿は容易に想像ができます。

芦高生の皆さん、私たちも真の意味での“ありのまま”の姿を追い求め、「常笑」できる1年でありたいと思います。

新しい年の初めにあたり、芦高生に伝えるメッセージとします。

                   校 長 八木 基雄