「私たちは阪神淡路大震災のまっただ中でこの世に生を受け、傷ついた街とともに成長してきました。私たちが生まれてから今日までの20年間は自分一人で歩んできた人生だったでしょうか。きっと一人ではなかったはずです。家族、仲間、そして震災という大きな困難から立ち直った街とともに歩んできた道のりだったでしょう。今年度の成人式はただ大人の仲間入りという式典ではありません。ともに歩んできてくれた人たちへの感謝、そしてこれからの未来も、ともに生きるという誓いが込められた式典です。」
平成27年1月12日、芦屋市民センター「ルナ・ホール」で開かれた式典において、2015成人式企画チーム代表の奥田 考祥くん(芦高68期生、サッカー部、現関西大学2回生)がこのように力強く開会宣言をしました。この日芦屋市で晴れの日を迎えたのは835人。企画チームのよく練られた演出のもと、式典が厳かにそして和やかに滞りなく挙行されました。
式典では「二十歳の軌跡」というテーマで、新成人を代表して精道、山手、潮見の3中学から4人の仲間が成人の誓いを述べました。それぞれの思いには、大震災のまっただ中、非日常的な生活に追われながらも、この世に生を受けた我が子を必死に守り、愛情たっぷりに育ててきた両親への感謝の気持ちが込められていました。
「おかん、今までありがとう!」
と締め括った精道中学校出身のYくんの二十歳の軌跡は会場で出席者の感涙を誘い、私も目頭が熱くなりました。
今年もどこかの式典で一部の傍若無人な成人の振る舞いがニュースで報道されていました。芦屋市の成人式に臨席するのは今回で3回目になりますが、毎年、芦屋市民としての誇りをもった新成人たちが、企画チームが練りに練った演出を素直に受け入れ、本当に素晴らしい式典が行われています。そしてその企画チームには必ず芦高卒業生が携わっています。今年は奥田くんともう一人西田 誠くん(芦高68期生、ソフトテニス部、現関西大学 2回生)が心温まる式典を演出していました。またアトラクションとしてサンドアーティストが家族をテーマにした温かい絵を描き、エンディングは企画チームを中心にした新成人たちがミュージカル「マンマ・ミーア」から「ダンシング・クイーン」のフラッシュモブで飾り、会場は大盛り上がりでした。
卒業しても「芦高ここにあり!」を誇示してくれた68期生の皆さん、成人式おめでとうございます。成人式で仲間と共有した
” hand in hand” 「ともに生きていこう」
という気持ちと感謝の心を大切にして、これからの社会の荒波を生き抜いてください。芦高教職員一同、いつまでも皆さんのご多幸とご活躍を祈念しています。
新しい門出を祝うかのように青空が広がった成人の日。賑わう会場に到着すると「校長先生!」と声を掛けてくれた伊藤 飛躍くん、荒田 駿介くん(何れも69期生)。彼らは「2016成人式企画チーム」の腕章を巻いて撮影並びに誘導の係をしていました。卒業後も至る所で芦高の伝統と誇り高きバトンや襷はこのようにして繋がれていきます。芦高68期生の成人の門出と洋々たる前途を祝福しながら、心豊かに会場を後にしました。
なお、企画チーム代表 奥田くんの開会宣言文の要約が、平成27年1月13日付け朝日新聞、神戸新聞朝刊に掲載されています。
*ブログには実名及び個人情報を掲載していますが、芦高卒業生の4名は快く承諾してくれました。そのうえ、このブログを多くの卒業生に宣伝してくれるとのことです。感謝!
*卒業生の皆様、もしお時間がありましたら、母校芦高へ現況を報告にお越しください。皆様のご来校を心より歓迎します。
校長 八木 基雄