連歌は、式目(ルール)に従い五七五と七七を多人数で詠みあげてゆく文芸で、世界に類のない詩の様式です。
「日本の文化」では、6月に平野法楽連歌の会(大阪市)より講師をお招きし、連歌の実作指導を頂きました。その後、7月から 夏休みをはさんで約4カ月間、授業担当者と受講生徒との間でメールをやり取りしながら、歌仙(三十六句)を巻きあげました。
学校設定科目「日本の文化」 平成26年度 夏休みメール連歌
賦何風連歌 【歌仙】 尚文 捌
初折表 連衆
初 夏 梅雨晴を待ち望みてや蝉の声 尚文
脇 夏 蚊帳にたはむる幼子の笑み レイ
三 秋 窓に入る月の光に照らされて わかさ
四 秋 菊の香誘ひ秋風ぞ吹く 陸哉
五 秋 雁がねの飛び行く先に山粧ふ 桐佳
六 心はやるは外つ国のこと 保乃佳
初折裏
一 故郷に別れを告ぐる汽笛の音 万優美
二 契りを結ぶ君に添ひたし 一輝
三 いかにせむあふるる思ひ止め処なく 愛璃
四 眠れぬ夜に浮かぶその顔 優
五 冬 木枯らしに吹かれて背中いとさびし 瑞穂
六 林を行けば古き御社 侑香
七 夏 空高くありあけ月の影涼し さつき
八 夏 雲間にそびゆ夏富士の峰 ののか
九 見渡せばうちかえす波広ごりて 智香
十 春 のどかな浜に小舟たゆたふ 尚文
十一春 春風に花吹雪舞ふ夕まぐれ 万優美
十二春 鶯鳴きて旅は終わりぬ 瑞穂
名残表
一 春 思ほへば門出も氷解くる頃 桐佳
二 ぬくもり求め足早にゆく 侑香
三 ひとり夜に母の優しさ身に染みて 愛璃
四 こころ安らぎ涙ながるる さつき
五 秋 静々ともみぢ葉ぬらす秋時雨 レイ
六 秋 石庭に満つ鈴虫の唄 優
七 秋 月のぼり仏のすがた映し出し 一輝
八 秋 隈なき空に乞ふ流れ星 ののか
九 届かざる君への想ひいま乗せて 智香
十 冬 恋文書かば初雪の舞ひ 保乃佳
十一冬 肌寒の暮れゆく街に灯はともり わかさ
十二 上衣の裾を吹きあぐる風 陸哉
名残裏
一 夏 まちわぶと時鳥啼く山の関 桐佳
二 夏 滝のしぶきに旅路涼しき 陸哉
三 朝ぼらけ里の出会ひはほのぼのと ののか
四 春 日射しうららにてふの踊りて 優
五 春 遠近にわれもわれもと花開き レイ
六 春 ほのかにかすむ岩園の丘 尚文
平成二十六年七月十日 起首
平成二十六年十月十日 満尾
文責 「日本の文化」担当者