人間科学類型は、地域課題の解決やグローバルリーダーとしての資質を育成することを目標に課題研究活動に取り組んでいます。その取り組みの一環として、1年生の夏休みに3日間の「京大-HGLC科学者育成プログラム」を実施しています。
2日目(8/1)は、「原子力科学の未来と可能性」と題して、午前中にグラングリーン大阪(大阪市北区)に立ち寄り津波・高潮ステーション(大阪市西区)へ、午後から京都大学複合原子力科学研究所(大阪府泉南郡熊取町)を訪れました。
午前中に訪れた津波・高潮ステーションは、高潮や、近い将来必ず発生すると言われている東南海・南海地震と津波についての正しい知識を習得し、地震、津波発生時の対応などを学べる大阪府の施設です。海から離れた三田に住んでいることもあり、私たちは津波と高潮の違いも分からず、これまでその危険性を具体的に想像することはありませんでした。案内ガイドの解説やシミュレーション映像を見て初めて、私たちの認識がいかに甘いか、大阪ではその対策がどのようになされているかを学ぶことができました。また、1日目に訪れた阿武山観測所と宇治川オープンラボラトリーでの学習内容との関連も大きく、より一層理解が深まりました。


午後からは、大阪府泉南郡熊取町に場所を移して、京都大学複合原子力科学研究所を訪れました。原子力エネルギー関連および放射線・粒子線や放射性同位元素などの利用に関する研究・教育を行う研究所として、1963年にこの地に設置されました。それ以降、研究用原子炉や加速器を利用して多くの研究が行われ、日本のみならず世界の科学技術の進歩に大きく貢献しているそうです。そして、この研究所では先端科学技術を扱っていることに加え、人体に有害な放射線を扱っていることから、入所前から何重もの厳重なセキュリティ管理が求められ、その度に緊張を強いられたことを覚えています。
研究所の紹介ビデの市長に続き、附属粒子線腫瘍学研究センターの鈴木実教授から、専門の中性子放射化分析法に関する講演をしていただきました。その講演では、ウランの燃焼により発生する中性子を利用し、医療分野をはじめとして様々な活用ができることを学びました。鈴木教授はその中でも、「ホウ素中性子補足療法」と呼ばれる放射線治療の研究に携わっているそうです。まだ基礎研究の段階ですが、研究が進めば多くのがん患者が救われる可能性を持っている研究だそうです。正直言って、講演の内容が難しすぎて高校生には理解できない部分が多くありました。しかし、その研究がどれほど人々の役に立つのかや、その研究の価値は理解できた気がしました。
講演の後はいよいよ原子炉の見学です。しかしその前に、担当者から見学時における持ち込み物の確認や注意事項とともに放射線の被ばくを測定する線量計がグループに1つずつ配られました。原子炉の建物に入る前にも被ばく量の測定とオーバーシューズの着用が義務付けられました。減圧された原子炉建屋の中に入り、いざ原子炉を目の前にすると、さすがに緊張が高まり、心臓の鼓動が高まったのを思えています。私たちが訪れたときは原子炉が稼働していない時間帯でしたが、その緊張感は痛いほど伝わってきました。テレビなどを通して私たちが良く目にするのは発電用の原子炉、いわゆる原子力発電所とは少し違い、私たちが目にしているのは出力の小さな研究用の原子炉でした。それでも十分に大きく、放射能の危険性に違いはないと聞きました。さらに驚いたのは、原子炉の周りを取り囲むように研究室が配置され、原子炉から作り出される中性子を使って実験が行われていることでした。




それまでは、原爆や原子力発電所の事故などから、危険で恐ろしいものとしか認識していなかった原子力が、使い方によっては非常に役に立つものであることが分かった。まさにその研究に今日触れることができました。帰りのバスの中では、原子炉を見学した興奮がいつまでも冷めず、いつまでも友達と感想を語り合っていました。今日一日で3か所を訪問し、慌ただしくも充実した一日になり、グラングリーン大阪を訪れたのが昨日のことのように感じました。
