人間科学類型(1-6)特別授業①              

令和6年 12 月 16 日(月)、宮脇教育委員による特別講義「ものづくりの現状と未来」を、北摂三田高等学校の人間科学類型 1 年生 40 名を対象に開催しました。 はじめに、委員のキャリアの紹介とともに、自身のキャリアの分岐点について、兄の将来像を参考に 自己分析し、ものづくりに携わることができる工学部への進学を決めたことを話されました。特に製鉄所ではどのような仕事が行われているのか、実際の作業風景の映像やスライドを用いて説明され、工場 勤務のご経験から、ホンダの創業者である本田宗一郎氏の言葉にもある「ものづくりは現場で起きている、そのため三現主義(現場・現物・現実)を大切にしなければならない」と学んだと伝えられました。 次に、「ものづくりとは何か」と生徒たちに問いかけられ、人間の生活に必要なものやサービスを作り 出すことを意味する「生産」や、原材料を加工したり部品を組み立てたりして製品をつくることを指す 「製造」と似た言葉ではあるが、単にものをつくるという意味だけではなく、「つくり手の思い」が詰まった行為が「ものづくり」であると話されました。

また、つくり手の思いとして大切なこととして、①まず、使う人のことを思う。②創意と工夫を重ねる。③誇りを持って仕事をする(クラフトマンシップや職人技を追求する)。④誰にも負けないこと(ナンバーワン)や唯一無二(オンリーワン)を意識する、を挙げられました。 そして、ものづくりはリレーの連続で成り立っていること(サプライチェーン(供給の鎖))について、ものづくり企業の形態を図示しながら説明され、「自分の仕事が誰かの役に立っている」「自分の仕事が 誰かの記憶に残る」という実感や、世の中にない新しいものをつくることができた、世の中にない新しい方法でつくることができたという、想像の世界が目の前に形として現れることがものづくりの魅力で あると伝えられました。そのうえで、兵庫はニュージーランド一国分にも匹敵する規模の県内総生産を有する県であり、たくさんの特産品を有していること、世界で活躍する技術を提供している企業が数多く存在すること等から、「ものづくり県兵庫」の担い手として、皆さんにはこれから頑張っていってほしいと伝えられました。 最後に、AI(人工知能)が発達する世の中では、一見、知的に思われる仕事でも単純な繰り返し作業 はロボットなどのデジタル技術に置き換わり仕事が減っていく見込みであると説明されました。一方で 「創造的な仕事」、「高度な専門性が必要な仕事」、「人間そのものを考える仕事」などは今後重要性が増 していくと話され、ものづくり以外の様々な仕事でも、創意・工夫ができる人、つまり、どうしたらもっと良くなるかを考えて、実行できる人は社会で必ず必要とされる人材であるため、今後の学校生活の 中でそういった力を身に付けていってほしいと伝えられました。

最後に質疑応答の時間が設けられ、「ものづくり(開発・設計・生産・販売)はどの過程が一番面白いですか」という生徒からの質問に対して、「個人的には生産だが、どの過程も欠けてはいけないもの。現場(生産)を経験することで、販売時にどのようなものか説明でき、開発設計時に効率化を図ること等 ができるので、現場(生産)で基本の知識を身に付け、その後自身の特性を活かし希望することがよい のではないか。」と伝えられました。生徒たちにとって、今後の進路を考える貴重な機会となりました。