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青山文庫について

 本校では「国書総目録」にも「青山記念文庫」として登載されている多くの写本を収蔵しています。これは昭和25年篠山高等学校図書館新築にあたって、同校の前身である鳳鳴義塾の創設者、旧篠山藩青山氏から和漢書1万冊が寄附され今日に及んでいるもので、学会に紹介されている本も多くあります。 中央から程遠い、僻遠の地にありながら多数の写本が所蔵されていることについては、青山家の歴史と深い関わりがあります。そもそも青山の称は、文貞公花山院師賢の孫、師重が元中元(1384)年上野国吾妻郡青山郷に拠ったところにちなんでいます。以降、歴代の後継は三河、武蔵と移り、第14代宗俊公が幕府の覚えめでたく、慶安元(1648)年正月小諸城主、寛文2(1662)年大阪城代となり、延宝6(1678)年8月遠州国浜松城に移封、宗俊公の男子が青山家を興していったのです。 宗俊公は政治的手腕はもちろんのこと、文化政策の面においても炯眼(けいがん)の持ち主であり、この時期にもかなりの書籍を収集、筆写させているようです。文人との交流も盛んにおこなわれたとみられ、宗俊公の気風はその子供たちにも受け継がれ、長男の忠雄、次男の忠重、俊春、忠貴、さらには孫の忠朝なども為政者として教養を蓄えた人物でありました。 これら歴代城主が自ら編み、祐筆たちに書き写された書籍や、さらには藩独自の出版物等、様々な書籍が一括して保存されているのが、青山記念文庫です。

 ※見学に関して、申請書がダウンロードできます。必要事項を記入の上郵送又はご持参下さい。
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1 概要

 本校は昭和26年、旧篠山藩主青山家が所蔵していた中国書籍、近世小説(刊本・写本)及び歴史書(刊本・写本)等約10000冊を譲り受けている。以後分類整理、昭和30年に篠山 鳳鳴高等学校図書館藏『青山文庫目録』が作成された。この目録は国会図書館をはじめ公立図書館や各大学図書館に贈られている。

 濠端の校舎では学校図書館として特別書庫(蔵)を増築、搬入した書籍を収納して収蔵保管していた。現敷地への移転後は、育友会を中心とする浄財で建設された福利厚生施設「朝陽会館」(昭和46年建設)の2階書庫(約35平方メートル)に収蔵されていたが、平成16年3月、校舎内に新たに収蔵庫を設けて保管・整備することになった。
 蔵書は 10,111冊(洋書13冊、写本761冊、中国本3899冊その他5438冊)その部分は江戸後期から明治時代の出版物である。

 

2 字典・事典に関する文献

次の三種類に大別

①中国原書の字典-『通雅』『佩文韻府』『康煕字典』等、清朝時代の編纂書籍

②日本人からみた外国語関係の事典-『改正増補蛮語箋』『和蘭字彙桂川甫周』

③日本人が中国の影響を受けて作成した字典・事典
 わが国最初の分類体百科事典『和名類聚鈔廿巻』慶安元年本で貴重、近代国語辞書の先駆をなす『和訓の栞』、塙保己一編纂による日本の古書を集録した『群書類従』、『群書類従』以後記録した『史籍集覧』、明治になり官撰大百科として編纂された『古事類苑』や『明治字典』等史料的利用度の高いものが多い。
 鳳鳴文庫に『古事類苑』洋装本がある。青山文庫本は貴重な和装本である。

 

3 著名な歴史書・歴史物語

 日本最古の勅撰歴史書『日本書紀 廿巻(寛政五年判)』、鎌倉末期の日本書紀の注釈書『釋日本紀』、本居宣長の古事記の注釈書 『古事記伝四十四巻』藤原道長の栄華をかな書き編年体で記した歴史物語『栄華物語』や紀伝体で道長の政権争いに絡む人間像を描いた『大鏡』、南朝の正統性を強調した北畠親房の『神皇正統記』、後醍醐天皇の京都還幸までを描いた歴史物語『増鏡』や同時代を描いた『太平記』水戸藩主徳川光圀の編纂による歴史書『大日本史』、朱子学的な思考で史論をまとめた頼山陽『日本外史』などもある。

 

4 国文学の写本

『源氏物語 五十四冊』、青表紙本系写本『書本源氏物語 五十四冊』『源氏物語林逸抄四十六冊』源氏物語注釈書『河海抄』、万葉集注釈書『詞林采葉抄』、江戸後期写本『十訓抄三冊』、江戸後期写本新井白石自叙伝『折たくしばの記』、一条兼良歌論集『小夜のねざめ』、私家集『金槐集』『土御門院御製集』『新撰莵玖波集』等、歌合や和歌集等の写本多数。

 

5 国文学の刊本

『闕疑抄(伊勢物語注釈書)』『宇治拾遺物語 十五巻十六冊『校本三代和歌集』『類題和歌集』『歌枕秋の寝覚 八冊』

 

6 江戸時代後期の小説(人情本や合巻)

 曲山人『假名文章娘節用』、人情本の初期から活躍した為永春水『西国奇談(國貞画)』『椿説鬼魅談語(國貞画)』『新曲九尾伝(豊國画)』等、脚本では竹田出雲『仮名手本忠臣蔵』

 江戸後期の戯作者、歌川國貞と協力して合巻の第一人者となった柳亭種彦の合巻も多い。『鼠小紋東新形』『傾城曽我久留輪かがみ』『邯鄲諸国物語』『室町源氏胡蝶の巻』特に『偐紫田舎源氏』は天保十三(一八四二)年刊、この年は天保改革。版元は幕府より絶版を命じられた。天保十三年本で現存するのは極めて貴重な書、種彦は以来ひたすら謹慎したが、その年没している。筆禍原因の真相は不明。

 寛政の改革時の林子平『海国兵談』も本蔵書の中にはある。

 幕末から明治の戯作者仮名垣魯文の書籍も多い。『西洋道中膝栗毛』『藤緑娘白浪』『十勇士尼子柱礎』『金鈴善悪譚』『倭國字西洋文庫』などである。

  

7 その他

 『慶応二年鎮台日誌』『明治二年東京城日誌』『江城日誌』『太政官日誌』『外務省日誌』『東巡日誌』等明治初期の記録。栄松香之記』『香台式』『名物香炉式秘事」『香木留』『組香目録』等の「香道」関係、これらの書籍は日本では本文庫にしかなない貴重な原籍である。

 

8 その他学校所蔵の資料その他学校所蔵の資料

①「鳳鳴文庫」旧制鳳鳴中学校が所蔵した書籍

②地方文書や一筆限明細帳
③佩文韻府古文書

④昭和廿一年 連合国最高司令部関係文書
⑤良子女王(香淳皇后)和歌「木々はみなましろに雪のふりつみて初日のとがにさしいでにけり」

⑥市指定文化財「篠山藩校『振徳堂』関係扁額」