校長のつれづれブログ

いずれアヤメかカキツバタ

 週末の朝、犬の散歩がてら近所の堤を散歩することにしている。鳥の声や咲き誇る花々から季節の移ろいが感じられ、ストレス解消にはもってこいだ。先日、近所の方が植えたのだろうアヤメの花が、盛りを過ぎてお辞儀しかけているのが目についた。

 昔から、女性たちの優劣つけがたい美しさを「いずれ菖蒲(アヤメ)か杜若(カキツバタ)」と言うが、アヤメは漢字で書くと別の花の名であるショウブと同じ字を使う。ちなみにこどもの日に風呂に入れる菖蒲の葉は、花の菖蒲とは別物。なんとも紛らわしい。

アヤメの花

 初夏に咲くこの三種の花は、花の様子が似ているために区別がつきにくい。調べてみると生息する場所や花弁に違いがあるようだ。アヤメは水辺から少し離れた陸地に生え、花弁の根元に網目模様が見える。ショウブは水辺近くに生え、花弁中央が黄色。カキツバタは水際に咲き、花弁中央が白。よく観察するとその違いがわかる。

 伊勢物語の「東下り」の段に、「カキツバタ」を句の頭に据えた、折り句の巧みな和歌がある。道中、都に残した妻を思う主人公の気持ちが、水際に咲く杜若を題材にしたことで、より深みを増すように思う。

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