校長のつれづれブログ

10月10日、創立120周年記念式典を挙行いたしました。

創立120周年記念式典 式辞

 一雨ごとに秋が彩りを深めゆく今日の佳き日に、兵庫県立伊丹高等学校が120周年の記念の日を迎えられますことは、大変喜ばしい限りでございます。

 本日、ご多忙の中、ご臨席を賜りましたご来賓の皆様、歴代学校長の皆様、緑窓会並びにPTAの皆様に、高いところからではございますが、御礼申し上げます。

 また、本校の姉妹校である、台湾の台中第二高級中等学校より、お祝いの掛け軸をお送りいただきました。体育館入り口に掲示させていただきましたので、ご披露いたします。

 本校は明治35年に創立いたしました兵庫県立伊丹中学校と、大正10年に創立いたしました兵庫県立伊丹高等女学校をルーツに、昭和23年の学制改革に伴い、この2校が合併する形で新制高等学校として誕生いたしました。

 以来、阪神間で最も歴史の長い高等学校として、地域の皆様の支えのもと、今日まで発展してまいりました。

 学校にはその学校特有の「風土」がありますが、この「風土」という言葉を辞書で調べますと、「文化の形成などに影響を及ぼす精神的な環境」と記されています。

 農学者で、信州大学でも教鞭を執られた玉井 袈裟男(たまい けさお)氏は、理想と新たな発想を持つ「風の人」と、その地にあって生命を育む「土の人」が力を合わせることで理想的な「風土」ができあがると語っています。本校にとっての「風の人」は、毎年希望に胸膨らませて入学してくる新入生です。そして、「土の人」は「風の人」を温かく迎え入れ、その背中を優しく支える教職員と在校生、同窓生、保護者の皆様、そして地域の皆様です。本校は120年の歴史の中でこうして豊かな土壌を築き、同時に「誠実・克己・忠恕」という校訓さながらの伝統をつないで参りました。

 本校敷地南側には築山があり、その入り口の60周年記念碑には「緑充つ 母校の岡に 寝ころびて 宇宙に魅入りし 十七の心ぞ」と記されています。この詩のとおり、築山頂上には「天仰石」と刻まれた、人一人が寝転べるほどの石があります。60年前、ここで宇宙に心遊ばせた先輩がいたこと、60年後の今、そして未来も、本校の「風土」のもとで成長した後輩たちが、果てしない想像に心躍らせてくれることを願ってやみません。

 「伝統」とは果てしなく続くリレーのようなものです。在校中は3年間のバトンリレーですが、そのバトンは120年前の先輩方から、まだ見ぬ後輩たちへとつなげられていくのです。

 これから先も、つまずいたり、転んだりしながら、職員、生徒共に全速力で、そして、大切に、このバトンを守り続けて参りますので、今後とも本校の教育活動にご理解と、厚いご支援を賜りますようお願い申し上げます。

 最後になりますが、改めまして、本日ご多用にも関わりませずご臨席賜りましたご来賓の皆様、緑窓会、PTAの皆様に御礼申し上げ、式辞といたします。

令和4年10月10日

兵庫県立伊丹高等学校 第25代校長

愛川 弘市

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