リズム
以前、国語科の集まりで、夏井いつき先生のお話を聞く機会に恵まれた。夏井先生は俳人としてテレビや雑誌で大活躍されているが、講演会でも「心ある毒舌」はそのままで、聴衆を巻き込んでの講演会となった。
会は参加した先生方からの投句に即座にコメントし、会場の多数決で最優秀作を決定していくという「句会ライブ」形式で行われた。小気味よいテンポで展開される夏井先生のトークはテレビのそれと全く同じで、俳句のリズムがそのまま会話のリズムを醸し出しているようだった。
昔、授業で俳句や短歌について学んだとき、先生は「五音や七音が日本語のリズムと合っている」という話をされた。それ以来、その理由について漠然と思っていることがある。
古くから日本には陰陽五行の考え方が根付いている。例えば「十干」は「木」「火」「土」「金」「水」の五行に「兄(陽)弟(陰)」が組み合わされたもので、さらに十二支が組み合わされ「六十干支」となる。自分の生まれた干支が一回りするのに60年かかるので、60歳を還暦と呼ぶわけだ。この考え方が暦に生かされているため、ウィークデーは5日、一週間は7日となっている。月数の12も日数の31も、5と7の組み合わせでできる数字だ。私たちの生活のリズムがそのまま言葉のリズムと合致しているように思われて仕方がない。
感性や感覚が鋭敏でないと人の心を打つ作品は生まれない。ロートルの私の句は、夏井先生の視野から瞬時に外されてしまった。