ワンタンミースープ

ワンタンミースープ
マレー語(マレーシア語)で「ミー」は「麺」のことです。なので、ワンタンミースープを日本語でいうと「汁に入ったワンタン麺」ということになります。(ちなみにワンタンミードライ=「汁なしワンタン麺」というのもあります)
食文化にも多民族国家マレーシアの特徴が見られます。マレー料理、中華料理、インド料理のほか、違う民族同士が融合し創り出した料理なども各種存在しています。
クアラルンプールにはチャイナタウンもインド人街もあり、これがマレー料理だ!、とひとことでは決められないほど様々な料理に出会うことができます。今回はマレーシア料理の紹介、第1回目です。

青年海外協力隊員としてモルディブ共和国で陸上競技の指導をしていたわたしが、マレーシア国際陸上競技大会にモルディブ選手を連れて訪問したのがわたしの初マレーシアでした。かれこれ25年も前の話で、イスラム教国モルディブでの生活も2年が終わろうとするタイミングでした。

そのとき選手村になったのがチャイナタウンの真ん中に位置するマラヤホテル。わたしたちの泊った部屋には窓がなく少々胡散臭さかったのですが、ホテルを一歩外に出るとチャイナタウンにはモルディブにはない猥雑と中華料理がありました。

ローマ字読みできるマレー語表記や漢字で書かれた看板などを出し、野菜や果物、下着や雑貨品など数多くの物を売る屋台が道の両脇にズラリと並んでいるその中に、「Wantan Mee Soup」の文字を発見した時のわたしの喜びがどれほどであったかを想像してもらうのは難しいことだと思います。

モルディブは100%イスラム教の国のため豚肉はありません。とんかつ、かつ丼、カツカレー、生姜焼き、豚しゃぶ、肉じゃが、餃子、豚まん、酢豚などなど、もし2年もの間食べられなかったらどれほど辛いか、また、そのような状況下で、ワンタンミースープの上に鎮座するチャーシューを発見した時の喜びがどれほどのものか想像してみて下さい。(そういわれても・・、というところでしょうが)

宿泊している間、ホテルで出される夕食を食べた後わたしはホテルを出て、モルディブでは決して食べることのできない数々の料理を夜な夜な歩き求めていました。
「食べ物の味はシチュエーションで決まる」、これがわたくしの自論です。