校長通信 No.11

第48回卒業式 式辞

校庭の木々のつぼみは膨らみ、六甲の山々から吹き下ろす風にも春の訪れが感じられる今日の佳き日に、本校PTA会長 頼 洋理子 様、本校同窓会である翔雲会会長 森 光司 様をはじめご来賓の皆様方、そして保護者の皆様のご臨席を賜り、ここに兵庫県立東灘高等学校第48回卒業証書授与式が挙行できますことを、心から感謝申し上げます。

ただ今、卒業証書を授与致しました210名の卒業生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。また、保護者の皆様をはじめ、ご家族の皆様、本日は誠におめでとうございます。入学以来、今日に至るまで、いろいろな出来事があったことと思います。その度に陰になり日向になり、お子様を支え続けてきたご家族のたゆまぬ努力が実を結び、ここにめでたく卒業をむかえられました。教職員一同、心よりお祝いを申し上げます。そしてここに至るまでの本校の教育に賜りましたご支援に、改めて深く感謝を申し上げます。

卒業生の皆さんは東灘高等学校に入学し、以来三年間、本校の校訓である「自主・協調・創造」の精神のもと、「『夢を体感』見える形に~人に学び地域に学ぶ、未来に輝く東灘高校~」という教育理念の実現を目指して、日々の学習や部活動、学校行事など東灘高校での高校生活に、精一杯取り組んで来たことと思います。そして、皆さんは今日こうして晴れやかに卒業を迎えることができました。これは皆さん一人ひとりの努力の賜であることは間違いありませんが、それだけではなく、ご家族を始めとして先生方や皆さんを取り巻くたくさんの方々の協力があったことも忘れず、感謝の気持ちを持って今後も生活してもらいたいと思います。

さて、卒業を迎えた今日、改めて皆さんの東灘高校での三年間を振り返ってみるとどうだったでしょうか。入学当初は、世界的に大きな混乱を招いた新型コロナウイルス感染症との共存、いわゆる「ウイズコロナ」の社会でしたが、昨年5月には感染症法上の位置づけが第5類に引き下げられ「アフターコロナ」の社会に転換し、様々な規制が緩和され、学校生活もコロナ前の姿を少しずつ取り戻すことができました。昼食時には皆さんの楽しそうな会話が聞こえ、文化祭や体育祭といった学校行事では、マスクのない弾けんばかりの笑顔をたくさん見ることができました。ただ、全くコロナ前と同じ状態に戻るということでは無く、「密閉・密集・密接」といった三密への配慮や手洗い・消毒・検温の定着といった基本的生活習慣の確立などを受けて、これまでの取り組みの継承と同時に、新しいスタイルの模索が課題となり、発想の柔軟性や、新たな枠組みを作る想像力や調整力といった力が求められる世の中になっていると感じます。

そして、コロナを経験して私がもう一つ感じたことは、対面での対応の重要性、顔と顔を突き合せて、相手の表情を感じることの大切さです。その中でも私は皆さんから「笑顔の力」ということを教えられました。私は皆さんと直接接する機会は少ないですが、朝の校門での立ち番や廊下ですれ違う時に、これまでマスクをしていたらあまりわからなかったのですが、ニコッと笑って挨拶してくれる人がたくさんいることに気づきました。逆に自分もニコッと笑って挨拶するように心がけてみると、相手もそれを返してくれることが多いような気がしました。ささやかなことかもしれませんが、でもこのささやかな温かさこそコロナという大きな試練を経て私たちが改めて気づかされた大切なものの一つではないでしょうか。皆さんがこれから歩む人生が、このような温かさに包まれることを願っています。

最後に私から皆さんの卒業にあたり贐の言葉を送ります。それは、月並みな言葉かもしれませんが「努力は人を裏切らない」という言葉です。皆さんは東灘高校でたくさんの努力を積み重ねてきました。その努力は必ず返ってきます。これから先も壁にぶつかり苦労することがあるかもしれません。でもその時は労を惜しまず努力してください。時には結果に繋がらず報われないと感じることがあるかもしれませんが、その時こそ,後で考えると、得られるものが大きかったということがよくあります。必ず努力は何かで返ってきます。目の前の結果だけにとらわれず、思うようにならない苦しい時でも忍耐強く取り組んでください。

本校は今年度創立50周年の節目を迎え、昨年の10月には記念式典を無事、盛大に実施することができました。皆さんは50年の歴史の最後のページを飾ってくれました。当然、本校の歴史がこれで終わるわけではありませんので、皆さんが卒業したあと、どのようなページが彩られるのか期待し、後輩達を温かく見守ってください。卒業生の皆さんの新しい人生の旅立ちにあたり、ご健康とご多幸をお祈りし、式辞といたします。

 

令和6年2月28日

兵庫県立東灘高等学校長

島 田 育 生