北高 校長室から 256 「Zoom 始業式」ほか

3年生にとっては、高校生活で最後の始業式でしたが、今回も「リモート」で行うことになってしまいました。

思い返せば、今年度初めというより、去年の3月、昨年度3学期終業式以降、体育館で通常の始業式・終業式ができたのは、8月24日の2学期始業式だけです。今年度最後の3学期終業式の頃は、以前のように体育館で実施できる世の中になっているのでしょうか…。

しかし、今日は「リモート」とは言っても、「放送」ではなく、Zoom を使って各教室で映像も見られるものになりました!

この「Zoom 始業式」は、私がやれ!と言ったものではありません。北高の先生たちの独自の発想です。そして、ごく短時間だったのに、非常にフットワーク軽く準備もしてくれました。自分で身内を褒めて申し訳ありませんが、実はこれは、なかなかすごいことだと思います。

「兵庫県立高校」は130校ほどあったはずで、恐らくその殆どで、今朝は放送を使った「リモート」始業式としたと思われますが、Zoom を駆使して映像も流した高校は、北高のほかに何校あっただろうかと思います。

なぜここまで「褒める」のかは、先に書いた先生たちの動きだけでなく、その効果の絶大さ(放送音声のみの場合との差)でもあります。

放送のみだと、当然「音声」のみが頼りです。でも、人間どうしの「コミュニケーション」は、「音声≒言語」だけで行っていると思いますか?

実は、全然そうではないのです。「コミュニケーション」の中で「言語」のみが果たしている役割は、1割にも満たないと言われています。大部分は、お互いの表情や声の大きさ/トーンなどなど、「非言語」(non-verbal)な要素が大きく働いているのです。

例えば、「君、ちょっと」という発言、発話者の性別、声の大きさやトーンの違いで、実に色々に聞こえる可能性があります。強く叱責したい場合、優しく呼びたい場合、何か嬉しい発見を伝えたいとき、などなど…。

話が逸れました。今日の Zoom 始業式が効果絶大だったというのは、教室にいた教員の証言によるものです。ある教員は、「テレビを見ているのと同じ」で、大変分かりやすかったと絶賛していました。そして、もう一つ、体育館での実施では得られないメリットもありました。上の左の写真と、下の一連の写真です。

今日は私から、一つには「BYOD」についてお話ししました。その際、先の写真のように、手軽に見やすいフラッシュカードを用いることができます。体育館の壇上で同じ事をするには、模造紙サイズ以上の大きなものが必要となります。

今日 Zoom 始業式にしたかった理由の一つは、新生徒会役員の認証式と表彰伝達があったためでした。生徒会役員認証式もさることながら、今回は表彰を受ける生徒が大変多かったのです。それら受賞生徒たちの姿も、体育館では「遠い所」ですが、このようにすれば、非常に身近に見ることができます。

更に、この環境を利用して、上の最後の写真のように「きれいな表彰状」を大きく見せることができました。「きれいな」というのは、今回は美術や書道、写真の入賞者が多く、それらの表彰状は、文字だけでなく見応えがあったということです。

今日の始業式で話をしたのは、私のほかに生徒指導部長のO先生でした。下はそのときの様子ですが、1枚目のみ教室側の写真で、ほかは「スタジオ」であった図書室での様子です。

図書室を「スタジオ」として、全教室でその映像を見る…。大変な準備が必要であるようにも思えますが、そうでもなくて、要するに図書室でも各教室でも同じように、Zoom の会議室に入っているだけなのです。だから、図書室から各教室に一方的に流しているのではなく、どの教室からでも同じことはできるわけです。

今日午後たまたま、尼崎市立小学校の校長をしている知り合いと話をしていて知りましたが、彼の小学校では、「校内テレビ放送システム」を使って、放送室から全教室に映像を流し、始業式をしたとのことでした。

私は、今日の Zoom 始業式を終えて思いました。「いつもこれでもいいのではないか?」と。コロナ感染予防のことは除いても、体育館への往復の時間が節約できるとか、前述のように色々なものが見やすいとか、真夏・真冬には酷暑・酷寒が避けられるとか、そのようなメリットの方が大きいのではないでしょうか。

コロナのために既存の色々なものが変わりつつあります。始業式・終業式についても、柔軟な発想で見直しても良いかも知れません。


別投稿にするかどうか迷いましたが、今日の話題としてあと一件、「職員室のアクリル板」を続けさせていただきます。

新聞報道されたので、ご記憶の方は多いと思います。先月初め、神戸市内の県立高校でクラスターが発生し、その高校は「学校閉鎖」となりました。その学校のクラスターは、生徒ではなく職員室の教員の中で発生したのです。それを受けて県教委は先日、全県立学校の職員室用に透明なアクリル板を供給してくれました。職員室内の教員の机は、殆どが「対面」になっていて、自分の前には他の人が自分の方を向いて座っているのです。これが当てはまらないのは教頭席くらいでしょう。

今回届いたアクリル板は、その対面している机の真ん中に置き、飛沫の拡散を遮るものです。今日の午後、全員で一斉にアクリル板を設置するというので、終わった頃に写真を撮りに行ってみました。ところが!

透明すぎて、何度やっても、アクリル板が写真に写らない!(悲)
上の2枚の写真とも(左は教頭席)、アクリル板は写っているのですが、殆ど分からないでしょ?

よ~く見れば、せいぜい「ここが縁かな?」くらいしか分からないと思います。目的を考えれば、それの方が良いのでしょうけど、皆さまに紹介するための写真撮影は諦めました。代わりに、学校に届いた日に、1枚だけ保護シートを貼ったまま事務室の机に置いてみたときの写真を載せます。これだと、アクリル板が、どんな大きさ・形であるかは分かっていただけると思います。

兵庫県立神戸北高等学校
校長 長澤 和弥