10月23日。伊勢神宮では、年間約1500回を数える祭典の中でも最も重要とされる神嘗祭が、いよいよ大詰めを迎えようとしていた。
多くの参拝客で賑わう伊勢神宮からほど近い「三重交通G スポーツの杜 伊勢 陸上競技場」では、全国の精鋭が集うU18陸上競技大会が開幕。競技場は熱気に包まれた。
2026年のトラックシーズンを締めくくるこの全国大会に、本校から2年生の吉本が女子300mHに出場した。
本大会の出場権を得られるのは、参加標準記録を突破した選手のうち、ランキング上位40名のみ。
300mHは高体連主催の公式大会では実施されないため、記録に挑戦できる機会は限られている。吉本は8月26日に加古川市で開催された競技会で参加標準記録の突破に挑み、わずか一度のチャンスを見事にものにした。ランキング38位でエントリーリストに名を連ね、全国への切符を掴み取った。
●全国の強豪を相手に、決勝進出をかけた予選!
吉本は予選4組5レーンに登場。
普段400mHを専門とする吉本の真骨頂は、他の選手が大きく失速する350m付近からの驚異的な巻き返しにある。
しかし、今回挑む300mHは、その強みが十分に発揮される前にレースが終わってしまう可能性のある種目だ。だからといって、序盤から無理にスピードを上げようとすれば、力みが生じ、持ち味である終盤の爆発力を失いかねない。
それでも、こうした難しい条件に柔軟に対応できる適応力と、本番で力を発揮する勝負強さもまた、吉本の大きな武器である。
本大会を見据え、練習ではスプリント力の向上に重点を置き、動きづくりやスピード強化のメニューに取り組んできた。前半から無理なくスピードを引き上げる走りを身体に染み込ませ、万全の準備を整えて本番を迎えた。
そして迎えた予選。吉本は序盤から力みのない走りでスピードに乗り、全国の強豪を相手に堂々とレースを展開する。
迎えた終盤、ここからが吉本の真骨頂。
距離が100m短くなっても、その持ち味は健在。最後までスピードを維持し、持ち前の粘り強さと力強いラストスパートで追い上げを見せた。
前半のスピード強化に取り組んできた成果と、これまで磨き上げてきた後半の強さが見事にかみ合った会心のレース。
ランキング38位から予選14位通過という大躍進を遂げ、堂々のB決勝進出を掴み取った。
●今シーズンの経験を糧に、さらなる高みへ!
今回の300mHへの挑戦は、単なる全国大会への出場にとどまらず、吉本にとって新たな可能性を切り拓く機会となった。
持ち味である後半の強さを維持しながら、課題としてきた前半のスピードを高めることができれば、専門種目の400mHでもさらなる記録更新が期待できる。
何より、全国の強豪が集う舞台で、ランキングを大きく覆す走りを披露できたことは、大きな自信につながるはずだ。
2026年のトラックシーズンを通じて積み重ねてきた経験と努力は、着実に実を結びつつある。



