創造科学科1年生1班の2名が長田区社会福祉協議会が主催する「よーせて!シンチャオ」にボランティアスタッフの一員として神戸ベトナム人会の方と一緒になってベトナム料理の揚げ春巻きを作り、子供たちに提供した。地域住民の方との交流を目的としたイベントに参加し、今後の研究のありかたについて考えることができた。
今回、私たちは「よーせて!シンチャオ」というイベントに参加した。このイベントは、親子で長田に移住されて来たベトナム人の母親に、日本のお弁当作りの文化を体験してもらうこと、地域の親子と交流することを目的に行われた。そこではいくつか学んだことがあった。
1つ目は、長田区には外国の乳幼児の人数が圧倒的に多いということだ。他の区では数名から十数名だが、長田区には198名もいるということを知った。そのため、子供達が学校に行くようになっても日本独特の文化であるお弁当作りに困らないよう、このようなイベントを開催する必要があることや、昨年イベントを行ったら翌日早速お弁当を持ってきたベトナム人の子供がいたということも知った。今日のイベントでも、お弁当の具材を卵焼きやブロッコリー、トマト、おにぎりといったベトナム人のお母さんでも比較的作りやすいものを提供するという工夫もされていた。
2つ目は、長田区はこのような背景から地域に住む外国人への支援が手厚いということだ。今日のイベントでもベトナム語と日本語が話せる通訳の方が来られており、母国語の違う方々のコミュニケーションの大きな助けとなっていた。このイベント自体の参加費は無料であり、区や市の補助によって開催できていること、日本人が外国の親子を呼び込んで交流するイベントは例が少なく、長田区はこの点で先進的であるということも分かった。
3つ目は、今回のイベントで多くの団体の協力を得ているということだ。今回のイベントでは、地域婦人会や児童会、民生委員、ベトナム人会の方々に、それぞれのお弁当の具材を作って頂いていた。長田区社会福祉協議会の田谷さんは、「文化交流のイベントを個人的に小規模・短期間で行うことはできる。しかし、何年にも渡って継続するためには様々な団体に協力してもらわなければならない。このイベントをきっかけに、様々な団体間の繋がりを木の枝のように広げていきたい」と仰しゃられていた。
一方で、このイベントの課題もあった。
それは、ベトナムの親子の参加人数が少ないということだ。長田区全体の乳幼児の人数である198名と比べてはるかに少ない。その背景としては、文化、言語の違いや普段からの交流が少ないことによるベトナム人側のためらいがあると考える。また、今回のように地域の行政関係者が主体となって開催したイベントにベトナム人が参加することがあっても、ベトナム人が主体となって開催したイベントに地域住民の参加がほとんどないことも分かった。そのようなことから、同じ長田区に住んでいてもベトナム人と地域住民がそれぞれで独立したコミュニティを形成しているということが根本的な課題であると感じた。
長田区に住むベトナム人親子は増加傾向にあり、地域住民との交流は重要である。今後の活動の中で、ベトナム人主催のイベントに地域住民が参加してもらうためにはどうすれば良いかということを考えていきたい。