<数学>
神戸大学大学院人間発達環境学研究科准教授 稲葉 太一氏にお越しいただき、視聴率を例にとって比率データの分析や、分割表を用いて比率分析を行う方法についてに学びました。また、生徒が将棋の勝ち負けに関するデータを集めてきたので、先手後手に加えて戦型についての勝敗分析を各自で試み、計算結果を共有して実践的な手法を学びました。
<物理>
今回は再度大阪大学下田研究室を訪問し、これまでに行った実験結果の報告と、今後の方針の修正・確認を行いました。高校生が実験を進めていく中で生まれた疑問点に対するヒントや、実験を進めていく上での考え方のヒントをいただき年内の実験の内容を確認していきました。今回の訪問で、実験を行う目的を明確にした上で実験を設計することの大切さ、実験結果をどのように理解すべきか、またどのように整理すべきかを学ぶことができました。
<化学>
化学7回目の探究活動は、大堺先生に来校していただき、前回の授業における疑問点について質問しました。正極と負極が逆転するのは、極板の表面上で起こっている反応の影響が考えられ、フレッシュな極板で実験することで解消されました。また、溶液の内部抵抗を考慮する必要も考えられ、外部抵抗を入れた2種類の回路で電圧を計測し、求める必要性をアドバイスとしていただきました。なお、負極に入れる泥については、いかに嫌気的な状態にするのかが課題であり、泥にタンパク質を含む物質を入れて腐敗させることを考え、次回準備することにしました。
<生物>
神戸大学洲崎研究室において、洲崎敏伸先生並びに研究員 小林真弓さんの指導を受けてグリーンヒドラの刺胞放出の電子顕微鏡観察を行いました。試料は、前回(10月25日)固定した材料を、エタノールによる脱水、エポキシ樹脂包埋後、切片にしたものを用いました。特に、アルテミアを与えた個体と酢酸水溶液を与えた個体の刺胞放出を比較しました。両者とも、放出された刺胞の刺糸を確認できました。前回の位相差顕微鏡の観察では、酢酸処理個体が、アルテミア処理個体に比べて刺胞放出が顕著でした。今回、電子顕微鏡の観察では、酢酸処理個体の組織の破損が目立ちました。
<都市工学>
本校HR教室において、大阪大学大学院工学研究科より澤木昌典教授が来校され、ご指導いただきました。最初に指摘されたのは、研究目的を明確にすることであり、「何を明らかにするか」という部分で議論を再構築することから始まりました。「景観の美しさ」を構成する要素や、「美しい」と関連のある形容詞の特定といった方向に課題意識が集約されていきました。更に、先日阪大で体験した印象評価実験の際に用いた写真のセットをもう一度見直して、どう感じたかを議論しました。特に生徒5人ともが「美しい」という指標に高いポイントを与えた景観写真を集中的に評価し、なぜ美しいと感じるのか、その要素の洗い出しを行いました。挙げられた要素は「高さが揃っている」「消点に向かってラインが揃っている」「道幅が広い」「木造建築が並ぶ」「左右対称」等でした。更に議論は、「音楽」「色彩・絵画」との関連性にも及びました。生徒らが引っかかったのは、どうしても「音楽と景観の関連」に注目すると、仮説がこじつけのようになってしまうことです。例えば、建物のスカイラインの統一性と、音楽における一定のリズムに関連があるといっても、それをどう証明するのか、それがどう生かされるのかを考えたときに、論に飛躍が生じてしまいます。先行研究を見ても「関連性」にまでの言及はありません。これらの議論を受けて、生徒らは「音楽との関連」について調査することをやめ、「色彩・絵画」に一本化する方向で意見がまとまりました。「色彩・絵画」においては、その構図や配色が「統一感」「あたたかみ」といった形容詞と関連付けられ、景観構成への示唆を得ることができるのではないかと考えている。その入り口として、まずは景観写真を用いた印象評価実験を行い、景観における『「統一感」と「美しさ」の関連』という仮説の立証と、関連付けの要因を特定しようといことになりました。