平成29年1月17日 創造基礎A 講義「WHO神戸センターとこれからの保健医療課題―高齢化―」

本校同窓会館ゆ~かり館において、創造科学科1期生(1年生)を対象に、WHO神戸センター上級顧問官 野崎慎仁郎氏をお招きし、「地域包括ケアシステムについて」というテーマで講義を行っていただきました。日本が現在世界有数の超高齢化社会であること、そして、大勢の高齢者を支えるために技術的なイノベーションだけではなく、新たな制度・システムの構築が今後必要となることをお話していただきました。

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〈生徒レポートより〉

1.日本の保健医療の問題が世界の保健医療の問題のどこに位置づけられるのか

講演の中でもあったように日本は先進諸国と比べても、高齢化が著しい。だから感染症などよりも介護の面での問題に目を向けるべきだと思う。しかし、介護施設になかなか入れない高齢者がいたり、「地域包括ケアシステム」という言葉があったが都市部ではなかなかそうはいかなかったりと、まずは社会的な環境の方に問題があると思う。日本は衛生面は整っていると思うので、社会的な体制の問題から解決するために政府などにはたらきかけるべきだ。

日本は比較的衛生環境がよく、誰しもが医療をうけられるので、国内だけで見ればWHOで言うUHC(Universal health coverage 世界中の人々が適切な医療を適切な費用で享受できるようにすること)はある程度達成していると思う。そこで国内で問題になるのは糖尿病などの生活習慣病やがん、認知症などの高齢化による疾病だと思う。そしてそれらは主に世界の中で高齢化の進展の中に位置づけられる問題だと思う。

2.「なぜ?」と思ったこと。

エボラ出血熱で新しい対抗策を取ることを強いられたと伺ったが、現在地球温暖化による新興感染症の発現が危ぶまれており、これからもっと社会システムの構築が必要となるが、それに対応する目処はついているのか。医療と介護では賃金の差が大きく、介護を選ばない人が多いということだったが、命に直結するとは言い難い介護が後手に回ってしまうことも仕方ないとは思う。また経済的な面もあるだろうから、賃金を上げるという方法はWHOでも非常に難しいと思うが、介護を活発化させるためにどうするのか。医者が足りないのは、教育がまだ完全ではないということもあるだろうが、その根本解決についてWHOで考えているのか。

疑問に思ったことは、なぜ高齢化が特にアジアで進展しているのか、ということです。私は、日本で考えると、女性が男性と同じように社会に進出しようとして、結婚や出産をしないという人が増えたのと、医療が発達して治せる病気が増え、医療サービスも受けやすいため、高齢者が長生きしやすくなったからではないかと考えました。野崎さんがおっしゃっていた「ぴんぴんころり」という言葉通り、高齢者が元気に生活できる環境を作っていけるように、高齢化対策をしっかり考えていきたいと思います。

3.講義の感想

今回WHOの方が来られるということでてっきりウイルスやワクチンなどといった理系的な話を聞くのかと思っていたが、実際は社会科学のような講義だったので驚いた。「健康」と「高齢化」や「政策」といった要素を結びつけることは普段ないのでとても新鮮な講義だった。日本の高齢化問題がどれだけ深刻かを実例を用いて説明してもらったことで一層高齢化についての問題意識が高まったし、最近の高齢化対策の現状についても深く知ることができた有意義な時間だったと思う。

高齢化にどのように対応するか。私の答えは「高齢者の娯楽を増やす!」です。震災復興のボランティアに行ったとき、地元アイドルKOBerrieS♪のステージでものすごく熱狂的に盛り上がっている高齢者の方々を見ました。それを見て、高齢者といっても元気な方はたくさんいるし、まだまだ自分の力で生活していける人も多いのではないかと思いました。だから、現役の時ほどとは行かなくても、少し楽で貯金と合わせて生活できるぐらいの給料で雇用すれば、労働人口も増え一石二鳥だなと思いました。高齢者が明るく生活することで、地域も明るく活性化して行くのではないかとも思います。

二学期の創造基礎Aの授業で、どのような政策をすれば日本がよりよい国に発展するかということについて考えた。そのとき僕は高齢化を最大の課題として考えていた。また、今日の講義でも高齢化について対策をどのようにすべきかという課題に触れていた。そしてWHOも最善策を見つけられていないと知り、それほど難しい問題であるのだなと感じた。世界保健機関という名前であるから、伝染病や新しい病気、ウイルスを、対象に活動を行なっているのかと思っていたが、政治家のように高齢化対策も考えていると初めて知った。何もしなければこれから先も高齢化は続いていくし、困るのは自分たちの世代へとなっていく。そうならないためにも、今のうちに若者が困らない政策をたてるべきだと改めて思った。

野崎さんがお話ししていたように「元気な高齢者の増加を目指し、高齢者にあてる費用を抑える」という案に共感しました。将来のこと考え高齢者だけでなく、若い世代にも健康的な行動をして貰えばいいと思います。具体的な案として高齢者にはラジオ体操に参加してもらったり、若い世代にはみんなが持っているようなスマホを使って何かの会社と連携してサービスを提供したりして健康的な生活を促したりすればいいと思います。この案を考えていて、高齢化問題じゃなくても問題解決のための策を考えるのは本当に難しいことなんだと知りました。

アメリカやスイスでさえ、理想といえるような保健システムは整っていないということに衝撃を受けた。救急車が来て、1番に「クレジットカードの種類を教えろ」と言われるなんて日本では考えられない。技術にシステムがついてきていないというのはこういうことをいうのかと納得した。文系に進む自分がこの先、システムを技術に追いつかせるということに少しでも貢献したいと思った。 ケアマネが地域の高齢者の健康を管理するというのが面白いと感じた。施設に入ってくる高齢者ばかりをみるのではなくて、全ての高齢者を見ていくようにしていくというのが面白い。

カテゴリー: SGH(学科1期生), 創造科学科1期生   パーマリンク

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