11/9(土)、10(日)の2日間で、神戸大学人間発達環境学研究科に本校2年生理数科の6名が伺い、「X線天文衛星データの解析」に関する講義を受講してきました。六甲山の麓にあるキャンパスは、眺望の素晴らしい立地で、神戸の港を一望できる場所でした。また、神戸大学のこの2日間はちょうど学祭実施日で、少し下の本キャンパスの盛り上がりは、かなりのものでした。
時間通りに到着した一行は早速講義室に案内され、「超新星残骸」から得られる宇宙の神秘についてのテーマに関する授業を受講しました。まともに受けるとかなり難解な分野であるにも関わらず、神戸大学の伊藤真之教授は高校生にもわかるようとても丁寧に話をしてくださり、宇宙が我々に伝えてくれていることを魅力たっぷりに教えてくださいました。
まだまだ未知なる宇宙。6000光年先から地球に届くメッセージは、技術が進歩したとはいえ、神秘そのものでした。観測したいX線は、大気に吸収されて地上には届かないため、その度ごとロケットに観測器を搭載して打ち上げる必要があり、失敗が許されない中でのデータ収集となります。今回の実験は、1572年にティコという天文学者が発見した超新星(以下『ティコの新星』)について、現在の技術を用いてX線データを収集し、そのデータを分析することで地球外のことを調べる本当に小さな一歩です。6人で手分けしてデータをまとめ、計算することで6000光年先の星に含まれていたであろう物質を探っていきました。壮大な宇宙の話だったはずが、データを分析するためには原子レベルのミクロの実験が必要となり、その緻密さに深く感銘を受けました。結果から、1572年から452年以上も爆発を続けている『ティコの新星』には、我々の地球と同じような物質が存在していたことが想定でき、生命が存在していた可能性があることがわかりました。
今回のサイエンスツアーで、改めて宇宙物理学の魅力を肌で感じ、未知なることに挑み続ける多くの研究者の存在を知ることができました。何より、ほとんど無知な我々に対して、本当に楽しそうに話をしてくださる伊藤教授の顔は、(本人は定年前とおっしゃっていましたが)希望に満ち溢れていました。宇宙の魅力に取りつかれ、一生をそれに捧げることを厭わなかった一人の研究者は、未だ20代の気持ちのまま今日もデータと格闘しているのだろうと実感できる2日間でした。
終了後、電車の出発時間までの束の間で『六甲祭』を楽しみ、充実した2日間の締めくくりをしてから帰路に着きました。帰りは神戸大学から駅までの下り(2km程度)を徒歩で下ったことでかなりヘトヘトになりましたが、心地よい疲労感と共に、自分たちの将来像を重ねながらこの旅を無事に終えることができました。神戸大学の伊藤教授には、本当にお世話になり、心より御礼申し上げます。ありがとうございました。