総合科学類型4期生のIくん(東京大学推薦入試法学部合格)からのメッセージです。総合科学類型は今年度の卒業生をもって発展解消しました。
「創造科学科」の名にあるように、みなさんは単に“作る”のではなく、“創る”ことが求められています。これは思った以上に大変なことで、これから研究活動を行っていく中でも改めてその難しさを実感すると思います。単なる調べ学習や先行研究のまとめではない研究をするというのは、高校生にはなかなかハードルが高いものです。しかし、そこで考えることをやめずに、地道に目の前の課題に取り組むことで、きっと自分だけの研究を創り上げられると思います。ここでは創造科学科での活動や研究に取り組む上で、意識して欲しいことを2つ挙げたいと思います。
1つ目は、失敗を恐れずに、挑戦することを大切にしてください。新しいことにチャレンジするとき、多くの人は、不安を抱いたり、自信を失くしたりすると思います。僕自身、模擬安保理(神戸大学)や全日本高校模擬国連大会(国連大学)に参加する前は不安を感じていました。ところが、最初の一歩さえ踏み出してしまえば、後は案外うまくいってしまうということもよくあります。また、新しいことに取り組んだ結果、失敗したり、恥をかいたりすることもあるでしょうが、「失敗は成功の母」という俚諺(りげん)もあるように、その失敗から得るものは大きいはずです。そもそも、進んで失敗しようという人はあまりいませんから、失敗はとても貴重な経験とも言えます。何かに挑戦するということは、成功・失敗のどちらに転んでも、自分の成長に資するものとなります。ぜひ、少しでも興味のあることには飛び込んでください。
2つ目に、活動を通して得られる人との出会いを大切にしてください。創造科学科で学んでいると、大学の教授や官公庁の方、他校の生徒など、学外の人と関わる機会が多くあります。一度きりのお付き合いとなってしまうことが多いですが、自分が興味のある分野の先生にはぜひ声をかけてみましょう。偉い大学の先生であっても、関心を持って活動している高校生に嫌な顔をすることはないはずです(もちろん礼儀はきっちり守りましょう)。僕の場合は、高校1年生の時にお世話になった神戸大学の先生に、3年間、色々な形で指導していただきました。そして、おそらくこれからもお世話になると思います。研究の第一線で活躍されている先生との交流は大変良い刺激で、学ぶべき点が多くあります。このように、様々な立場・考えを持つ人との交流が、創造科学科における活動の醍醐味だと思います。高校3年間で培った人脈はきっと一生の宝となるでしょう。
最後に、少しだけ進路の話に触れます。ただでさえ忙しい高校生活で、創造科学科の活動や研究をやっていて受験は大丈夫なのかと思う人もいるかもしれません。近年の大学入試改革の流れを受けて、大学側も推薦入試やAO入試といった方法で、意欲ある高校生を集めようとしています。したがって、研究活動が進路実現に結びつく可能性も十分にあります。とはいえ、入試のために活動を行う必要はありませんし、そのような目的で活動しても、長くは続かないと思います。あくまでも自分の知的好奇心の赴くままに、楽しみながら活動してください。