本校同窓会館武陽ゆ~かり館において、未来創造コース2期生(1年)対象に、元外務事務次官、現在、外務省顧問、立命館大学総長特別招聘教授の薮中三十二氏をお招きし、「世界の中の日本」というテーマで講義をしていただきました。米国の影響力の低下と中国の台頭にともなう国際情勢の変化のなかで、日本が米国やロシア、東アジア(中国、韓国、北朝鮮)、ASEANとどのような外交関係を築いていくべきかについて、ご自身が主催した「六者協議」など外交経験の一端を紹介したり、生徒と対話をしながら深めていきました。以下は生徒の感想です。
今日の講演を聞いて、将来世界に出るためには日本の視点だけではなく、海外から見た視点がとても重要だという事が分かった。私は中国が世界一の大国になることはないと思っていたけど、欧州などから見ると、中国はアメリカを追い抜くだろうと思われていることを知って、まだまだ国際的な視点が持てていないと自覚できた。中国が経済大国になっていくので、今後日本は中国と友好的な関係を築かなければならないと分かった。領土問題など直接的な問題や、北朝鮮の核保有などの間接的な問題も多くあるので、日本も保守的な姿勢ではなく、もっと意見を言っていくべきだと感じた。また、ASEAN対象の「信頼できる国」調査にもあったように、日本はアジアを引っ張ってきた国で、他国からも信頼されているので中国と衝突してしまうと周りの国に迷惑がかかってしまう。逆に日本が中国と友好的になると、他国も後押ししてくれるので、日本は他国のためのことも考えていかなければならないと気付いた。アメリカ選挙の話で、今までどうしてトランプさんが支持されているのか疑問を持っていたけど、理由が知れたのでよかった。アメリカの大統領は世界に及ぼす影響も強いので感情的でなく客観的に判断して投票が行われて欲しいと思った。これからは、日本の事だけでなく世界のニュースにもっと興味を持ってみようと思う。
今回の講義では、日本の経済や外交の現状だけでなく、世界情勢についても合わせて学ぶことができました。実際に外交に携わっていらっしゃった方からお話を聞くと、教科書の事実がより身近なものに感じられました。私は、中国経済がアメリカ経済を追い抜くほど成長することは無いのではないかと考えていました。しかし、それはあまりに主観的な考えだったと思います。欧州の人々の60%が「中国はアメリカを追い抜く」と考えていることを知って驚きました。具体的な経済成長率(日本0.5%、中国6.9%、アメリカ2~3%)も知り、アメリカが衰えたとは言われながらも成長率を維持していて、改めて日本の成長率の低さを数値で感じました。また、安全保障の問題や核実験の問題も詳しく教えて頂き、薮中さんの経験に基づく日本の在り方を学びました。やはり中国、アメリカとの関係を今後どのように続けていくのかが大きな問題です。「好き」「嫌い」の感情論ではどうにもならないものだし、他国に頼り切って国を維持するという状態もいつまで保つか分かりません。お互いの要望や利益に沿った新しい制度、政策が必要だと思いました。
薮中さんは部屋の中を回って質問を投げかけたりされていて緊張したが、その分自由に思ったことを聞いてもらえたりして、講義に参加しやすく嬉しかった。薮中さんは世界の情勢についてたくさんお話されていたが、特に印象に残っているのは中国とアメリカについてだ。薮中さんは「日本人は中国を甘く見るような傾向がある」とおっしゃっていたが、確かにその通りだと感じる。今の中国は数字でみると顕著なように非常に高い経済力を持ちつつあり、世界を台頭するようになってもおかしくはない。そんな大国だが危ない国でもある中国を日本が監視していくことが大切だという言葉が印象に残っている。私は、日本は中国とケンカするのではなく、平和的な関係を維持しようと努めていくことが日本の役割ではないかと思う。また薮中さんは「アメリカがいつまでも日本を守ってくれるとは限らない」とおっしゃっていて衝撃を受けた。日本は自分たち自身で守り、行動していくことが求められているのだと思う。本当にためになるお話で1分1秒が貴重な講義だった。今後は自分で中国のことについて調べてみたいと思う。
中国の経済成長がこのまま続いてアメリカを抜かすとはどうしても思えないです。その理由は、中国の貨幣制度にあると思います。ほとんどの国では政府の他に金融機関を設けて、お金の発行をしていますが、中国では共産党政府が行っています。今までは出し放題だったから中国は順調に経済成長してきましたが、人民元が国際貨幣となり、中国国内にドルやユーロが入ってくるにつれて、人民元の価値が暴落し、株価が暴落したそうです。水問題や環境問題、貧富の差など問題は山積みです。どれだけ勢いがあっても、地盤が不安定だといつかは崩壊します。だから僕は中国の成長はそう長くは続かないと考えます。しかし、中国が強くなろうと、弱くなろうと日中関係の回復はこれからの日本の課題だと思います。その障害となるものはたくさんありますが大きく2つ、尖閣諸島の領有権の問題と日中戦争における両者の認識の相違です。両方ともこんなに時間が経ってしまったし、相手が相手なので、話し合いでは決着がつかないと思います。残された唯一の方法は国際司法裁判所の裁判に委ねることだと思います。ずっと日本の外交の最前線で活躍されていた方の話が聞けて、貴重な体験になりました。
今日の講演を聞いて、自分はもっと国際的な視野を持って客観的に物事をとらえなければいけないと感じた。世界中のさまざまの問題は色々なことが理由で起きている。例えば北朝鮮の核問題や、アメリカの大統領選挙などさまざまだ。北朝鮮の核問題で言えば、中国との関係だ。アメリカなどは中国から北朝鮮への物資の流を断ち切れと言うが、中国は緩衝地帯としての北朝鮮への支援をやめられない。アメリカ大統領選挙においては、選ばれる大統領によっては日本とアメリカの安全保障における関係が大きく変わるかもしれない。そして中国やASEANとの関係を慎重に進めていかないと日本はこれから世界で地位を維持できないと思う。中国といがみあってばかりいないで、協力できる所で協力していくことでアジア情勢をより良いものにしていけると思う。もっと世界のいろいろなことに関心を持って、自分が選挙権をもった時に正しい判断をできるようにしたい。
自分の海外への考えの薄さを実感しました。知識はうろ覚え、考えはあやふやで何より危機感が足りていないことを実感しました。状況は常に変化していて、あらゆるものを論理的に考えて自分の意見を持ち続けなければならないという当たり前のことを認識できていなかったようです。私には今回2つの驚きがありました。1つ目は、アメリカ国民が安保条約に難色を示していることです。「安保でアメリカは動くのか?」とまでは漠然と考えていましたが、それが中国との関係やアメリカの動きの注視、考察へ繋がっていませんでした。「知的怠慢」だったわけです。分からない所で止まってしまい、しかもそれを放置していたのです。2つ目は薮中さんがその場でとったアンケートで、自分が「なんとなく」や「感情」で物事を考えているのが分かったことです。背筋の凍るような話です。盲目でしかも耳を閉じていたのです。お話中の応答でもそれが分かり、自分の浅慮さにただただあきれかえります。これからはもっと海外のことを良く調べもっと思考すべきだなと思いました。
日本人は自分の願望によって客観的な判断が薄れることが多い。実質的に中国では経済成長が加速し、日本が抜かれ、そのままアメリカを抜く可能性は多いにある。しかし、中国は公害の問題や品質が悪いというところだけに目を向けていずれは崩れ去るだろうと思っている。また、アメリカは日本が他国に軍事攻撃を受けると助けに来ると多くの日本人は思っているが、それをアメリカ人は不公平と考える。確かに一方的な保護を与えるだけで利益がない。しかし戦後アメリカ主導のGHQによって定められた憲法で平和主義と戦力の放棄によって自衛力が弱くなっていて、その状態にした張本人が不公平だっていうのは筋違いと思われる。
今回の話でアメリカの大統領の話が出ていましたが、我々日本にとってもアメリカの大統領が変わることによってこれからの日本とアメリカの関係が変わってくるので、注目すべき話だと思います。このように一見関係ないような外国の問題でも直接または間接的には関わってくるので、遠い所で起こっているからと言って見過ごすわけにはいけないのだと思います。今日の話でイギリスの話が印象に残っています。イギリスやドイツは先を見越して次は中国がくるといって仲良くしているという話だったのですが、日本もイギリスのような賢さがいるのかなと思います。これから日本は確実に新興国に経済力は負けていくと思います。今はアメリカと仲良くしているので、少しは頼れるのかもしれないですが、いずれアメリカも抜かされるだろうと今日の話で学びました。だったらイギリスのように経済力が日本ほど高くなくても生き残れるような影響力を身に付けるべきだと思います。