今年もEUIJ関西主催で兵庫高校生を対象に「EUの専門家からEUと日本の関係を学ぼう」というテーマでシンポジウムが行われました。未来創造コース生に加えて、一般クラスからも希望者が参加し、例年通り同時通訳もしていただきながら3名の講師からEUの現状や課題について講義があり、活発な質疑応答がありました。今年の講演テーマは以下のとおりです。
「イタリアで見た不整脈治療の最前線:日本の医療との違い」大阪大学医学部附属病院医師 水野 裕八 氏
「EUと日本におけるアクティブ・エイジング」(英語講演)神戸大学大学院法学研究科教授 関根 由紀 氏
「イタリアとEU」在大阪イタリア総領事 マルコ ロンバルディ 氏
以下、生徒の感想です。
私にとって近そうで遠かったEUについて学ぶことができたと思います。多くの争いを経験したからこそ発言されたであろうロンバルディさんの「平和は私たち人類にとって繁栄のための最強の道具である」という言葉はぐっときました。また、ロンバルディさんが貧しい国もEUに加入することに賛成だ、と言っていた理由が一時的には問題がおきるが長い目で見ると加入した国にとってもEUにとっても良いことがあるから、というものだったことには驚き、大きな視野で物事を見ることは大事なことだと思いました。EUのことを学ぶと、地域統合のメリットやデメリットが見えそうだと思いました。アジアにおける日本の役割について考えてみたいと思います。
今までは留学は“いつかするかもしれないもの”というイメージだったけれど、今回の講演でそれがより近いものになったような気がします。また、全体を通して日本は恵まれていると思いました。医療に然り、政策に然り、進んでいる部分が多いのにEU諸国の本当の実態は、宗教や文化の面などもあり、理解できないだろうと思いました。でも、日本と比較して聞くことで、例えば労働などにおいて、EU諸国の課題だけでなく日本の課題についても知ることができたと思います。第二次世界大戦は、ヨーロッパ諸国にとっては、強さを失い、首長が会談をすることによって平和のもとで社会を築くという新たな考えが生まれたので、ネガティブな影響だけを及ぼしたわけではないという話を聞いて一見悪影響だけを及ぼすようなことも、思いがけず良いことをもたらすこともあるのだと知ることができました。
普段は聞くことができないヨーロッパやイタリアの話、また実際にイタリアの方の話を聞くことができ、とてもいい機会になりました。初めてのトランシーバーを使う事もできました。私が一番印象に残っているのはマルコさんの話です。日本に住んでいると、物や人が自由に他の国に入ったり出たりすることは想像できません。しかし、EUにとってはこのつながりが重要な役割を果たしていて、それぞれの国の繁栄のためになくてはなりません。それは古代のローマや戦争のときのような支配する形であってはいけません。平和の中にあるからこそ意味があるという話です。グローバル化が進んでいる今、EUだけでなく世界各国でこのつながりのあり方が大切になってくると思いました。
3つのテーマ、3つの言語、3人の講師の先生方の講演を通して、EUに対して多様な角度から見ることができた。歴史から社会問題、宗教観に至るまで沢山の知識や考え方を得ることができ楽しかった。EUについての講演が中心だったが、その中で、客観的に海外からの視点に立って日本を見ることができた。死生観に関しても、医療に対するイメージにしても日本とイタリアの違いが明確に出ていてお互いのメリットやデメリットなども考えられた。高齢化問題に関しては、単なる出生率の低下だけでなく、労働問題や経済を背景にして、また発展途上国でも高齢化が進むというのはすごく興味をひかれた。イタリアの関係者が多く「EUとイタリア」というイメージも深く残ったが、EU機関でも考え方が違うかったり多様性のうえで全ての国の犠牲の上で、統一を目指すというのは初めて知って驚いたうえ、お互いの文化などを大切に寄生する考え方が素晴らしいと感じた。