本校401教室において、創造科学科3期生(2年)文系選択者を対象に、大阪大学大学院国際公共政策研究科の松繁寿和教授と同大学人間科学研究科院生の内田桃子さんをお招きし、松繁教授には「研究とは何か」をテーマに、大学院生の方にはご自身の研究について講義を行っていただいた。
講義後の質疑応答では、多くの質問があった。生徒たちは、研究の進め方や論文の書き方、問いを深めることについて知ることができ、学問や哲学の本質について深く考えるきっかけとなった。授業後も個人的に質問を行う生徒が現れ、実りある学びの機会となった。
〈生徒感想〉
今日の授業で、普段何となく過ごしている中でも疑問を持つことで話がさまざまな方向に広がっていくということを感じました。本当に素朴な疑問でも自分が聞かれたら答えに自信を持てなかったり、正解がわからなかったりしたので身近なことに疑問を感じられるというのは研究を進めていくうえでも重要だと思いました。また、自分とは違う立場になりきってその立場の視点から物事を考えるということも今回の授業で体験することができて良かったと思います。そして、この体験から前提ありきで考えてしまったり自分の追い込みで突き進んでしまってはいけないなと感じました。また、「研究とは何か?」ということが今回の講義のテーマだったと思いますが、授業を受けて、研究が自己満足のためのものになってしまわないようにこれから研究に取り組んでいこうと思いました。
今回すごく心に残ったことは、“研究の限界を書く”ということです。これまで、研究は完璧に終わらせないといけないと思っていたので、高校生ができる範囲はどこまでだろうかということを考えて仮説や調べる方向性を決めようとしていました。しかし、松繁先生の研究は限界があって、必ずしも完ぺきではないという言葉を聞いて、しっかりと範囲を定めれば、その中を追及すればいいのだとわかり、迷走しかけていた研究の軸が見えてきたような気がしました。もう1つ参考になったことは、松繁先生の研究例の中の“本論”の部分です。私なら1つのデータを取って無理やり結論につなげていただろうと思います。しかし、そうすると説明しきれてない部分があったり、無理やりなので理論が成り立っていなかったりすると思います。だから松繁先生の研究では、きちんと論理的に順序立てて説明をしていて、そのおかげで見ている我々が「そういう結果があったからこの結論が言えるのか。」と理解しやすくなっていると思いました。これから研究を進める上で迷ったりしたときは、必ずこの講義に戻って軸がぶれないようにしたいと思います。