本校ゆーかり館において、創造科学科3期生(1年)40名を対象に、「長時間労働の問題」をテーマに弁護士の古川拓氏と過労死等防止対策推進兵庫センター共同代表の西垣迪世さんにお話をして頂いた。過労死の定義や歴史、そのメカニズム、救済や責任追及に関して講義をして頂いた。また、実際に過労死で長男を亡くされた西垣さんのお話では、過労死の現状や実際の取り組みなどについて具体的に知ることができた。その後、質疑応答を行い過労死問題について考えをより深めることができた。
〈生徒感想〉
私や私の家族が過労死しないようにするために、できることは2つあると思う。1つ目は、自分がどれだけ時間外労働をしているのか、過労死ラインになっていないかを確認することだ。まずは、自分自身で長時間労働をしないようにすることで、睡眠時間を確保することが可能になるかもしれない。2つ目は、話し相手、相談相手をつくることだ。仕事でつらいことがあったと口にするだけで、ストレスが少しは減少するはずだ。それでも仕事がきついときは、弁護士や労働組合などに相談することで労働環境が改善されるかもしれない。社会がすべきことは、見て見ぬふりをせず、行動を起こすことが大切なのだと思う。過労死は絶対にいけないことだという世間の認識が強くなれば、今後、長時間労働は減っていくのではないかと思う。
私は冒頭の西垣さんの「普通の青年が過労死する時代になっている」という言葉が印象に残っています。誰でも過労死の当事者になる可能性があることを強く感じました。これから社会に出ていく自分たちは、自身を追い詰めて周りの人を悲しませないためにも、おかしいことはおかしいと言える強さと、本当に苦しいときは周りの人に頼り、逃げることのできるもう一つのある意味「強さ」が必要だと思います。自分が選ぶことのできる道は無限にるので、視野を広く持つことを忘れずにいきたいです。また、労働に関する問題をなくすには社会が変わる必要があります。企業は利益ばかりを優先するのではなく労働者のケアに力を入れ、労働時間などの情報をオープンにすれば、結果的に会社の発展にもつながるのではないかと思います。
本来は会社が自ら社員の働き方を管理すベきなのに、利益や効率を求めすぎて人を壊してまで働かせていることが過労死の原因なんだと思った。日本人は他の国と比べて勤勉で真面目で責任感のある人が多いので他の国でなぜ過労死が日本ほど起こっていないのか、また他の国の過労死の理由について調べてみると解決策が出てくるのかもしれないと考えた。政府が行っている改革では表面では解決しているように見えるけれど、中を見てみたら職種が限られていたり、時間を延ばせたりとなんだかんだ今と同じような環境が作れてしまうので法律を作ってはいけないと思った。今回学んだことは将来働くときに使えるので絶対に忘れないようにしたい。
今回の授業を通して“高度プロフェッショナル制度”に反対の人の意見を聞き、前回の働き方改革の政府側の話との両方の視点からの意見を聞き、両方が納得するような法案をつくらなければ、本当の“働き方改革”にならず、過労死が増えたり、労働生産性があがらなかったりすると思う。また、西垣さんのお話にあったように、過労死してしまう、ということに本人が気づくことは難しいので、会社側が過労死を減らすために十分な休暇をとり、仕事の量にあった従業員を雇うべきだと思う。そして、私たちはこれから、過労死などの問題を解決するために動いていかなければならないと思った。