平成31年2月6日 創造基礎A 薮中三十二氏講義「米中貿易戦争」

本校同窓会館において、創造科学科3期生(1年生)39名を対象に、立命館大学客員教授・外務省顧問の薮中三十二氏をお招きし、「米中貿易戦争」というテーマで講義を行った。前半は、米中貿易戦争の背景や世界に与える影響について生徒と議論しながら話を進めていただいた。後半は、生徒からの質問に答える形式でご自身の経験談も踏まえながら、議論をした。講義時間は3時間半に及び、生徒からは質問が途絶えることなく熱気に満ちた講義となった。

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〈生徒感想〉

これからの世界では、中国が急成長までとは言わずとも確実に成長していくと思います。そして結果的にはアメリカを抜くことにもなると思います。アップルの本社はアメリカにありますが、工場は中国にあります。アメリカがこのまま中国を圧迫し続ければ、中国の工場も被害を受け、アメリカのアップル本社も損害を受けることになります。アメリカ第一主義のトランプ大統領がアメリカの損になるようなことをするとは思えません。またアップルやその他の大きな企業を敵に回すとも思えません。だから、トランプ大統領はどこかで妥協してしまうのではないでしょうか。そして、中国が着実に成長していくと考えます。また薮中さんの話を聞いて、アメリカ周辺の話をしていたかもしれませんが、何かしらアメリカに関係した話が多かったように思います。つまり、昔も今も未来も少なからず世界はアメリカから影響を受け回っていると思います。逆に言えば、アメリカをうまくコントロールできれば、世界は良い方向へと進んでいくと思います。

私はこのままだと世界により保護主義の風潮が広まってしまうと考えました。アメリカという大国が保護的で自国の利益を重視しすぎているように感じるからです。また、中国は著しい発展を遂げていますが、国民や政府自体に大国としての意識が足りないように感じました。だから、私は米中新冷戦は長くなるだろうと思います。そして、サイバー攻撃や知的財産権など新しい時代の内容が複雑にからんでいるので、他国への影響も大きくなるだろうと思います。そのときに大国同士だと損害も大きくなるので、代理戦争などがおこったりしないように、今の米中に自由貿易や他国との共生をEUや日本が訴えるべきだと思います。

僕はこの授業で、自分が想像している以上に世界は変わってきているのだと学んだ。欧米では、ナショナリズムが台頭してきており、EUもイギリス離脱や移民問題で揺れに揺れている。再び保護主義的な風潮が出ている中、日本はこれからそうしていくのがいいのか、それを考える参考となることがこの授業のあちらこちらに散りばめられていて、現在ある情報の中からこれからの日本を考える力が身についたと思う。その一方、今回の授業を通してその基礎となる情報収集の力を身につけなければならないと改めて思った。日露平和条約の締結のためにお互いの領土を認め合う必要があるというのを知らなかったし、米中貿易戦争がこんなにも大きな背景があるということも知らなかった。そのために以前の下村先生の講義であった「メディアリテラシー」を実践していきたい。

私はこの授業を受けて2つのことを学ぶことができた。まず、物事について双方向的に考える大切さだ。たとえば私は、北方領土は日本固有の領土であるから絶対全島返還を主張すべきだと日本側からしかこの問題について考えていなかったのだが、ロシアの立場にたってこの問題を考えると、住人がいる簡単に全島返還することはとても難しい。このように一方向から見ただけではわからないことがあり、自分(自国)の事情だけでなく、他人(他国)の事情についても考えることが大切だとわかった。そして、アメリカが世界の中心をやめると言ったことに対しての日本のとるべき立場である。今まで日本はアメリカの言うことを聞けばいいだけだったが、そのアメリカとの関係が不安になってきた今、日本はアメリカだけにこだわらす、中国・韓国・ASEANとも強固な関係をつくらなければならない。今回学んだことを将来生かせるようにしたい。

アメリカの学校の学生がよく国際情勢について議論をしているというお話がありましたが、それは学生たちがただ議論好きなだけではなく常にたくさんの問題について自分の意見を持っているからだと思います。だからこそ、これからは国際情勢を「知る」だけではなく「自分の意見を持つ」ところまでできたらいいなと思います。今回の講演で印象的だったのは、「一定の防衛力は蓄えるべき。しかしそれは軍事力を高めることとはちがう」というお話です。周辺諸国との関係を考えながら、日本が安全を確保する方法を探して自分の意見を持つのは難しいことだと思います。その中で自分の意見がどんなものか分析し、立場を明確にしているのはすばらしいと思いました。自分の意見を持つことができたら、次はそれが誰にでもわかってもらえるように見直せるようになりたいです。

今の世の中、インターネットによってたくさんの情報があふれ、それによって自分たちもたくさんのことを知っていると思っていたが、本当に知りたいと思うことや知るべきことはまだまだ知らないと思った。なので、実際に外交の現場にいる方のお話が聞けてよかったと思ったし、そういう方の考えもきくことができて良かった。今回のお話で特に憲法について多くを学んだ。自分は薮中先生への質問で、基本的人権・平和主義・国民主権の今後とこの件の情報の少なさについて聞いた。これに対し先生は憲法のはじめにあるこの3つはとても大切なことで、守って何が悪いとおっしゃった。情報の少なさゆえはっきりせず、結局中途半端に軍備を拡大し、どっちつかずのまま軍拡に進んでいかないよう、しっかり議論すべきだとわかった。この3つがとても大事なことで、それはゆずれないという確固たる意志を持つことが大切だと学んだ。国を守るための力は決して軍事力だけではないと思うので、平和的に日本を守る方法を模索したい。

この講義では、日本が現在おかれている状況について学んだ。日本が米中の間で揺れ動いてアメリカをとるか中国をとるかどちらかだと世界から思われていると知った。また、日本の今までの支援で世界の各国から「いい国」という認識をもたれていると知った。私は今まで日本に利益の少ない支援はやる必要ないと考えていたけれど、長い目で見ると「信頼」という利益に変わっていくので大切なことなんだと感じた。私は今まで将来のことについてはある程度豊かで人に対してなにか尽くせる仕事ならいいと考えていたけれど、国のためにする仕事もいいと思った。なので、国のためだけとは言わないが、サイバーやITに関係する知識をつけたり、他国の首脳が何を考えているのかニュースやツイッターをチェックしたりすることを習慣化したいと思った。

この授業で僕は、国際情勢の中で一つ一つの関係には理由があることを学んだ。例えば、中国と日本が良好な状態にあるのは、アメリカの影響があったりなど、二国間の関係があってもその二国間だけの要素が理由なのではなく、他の国との関係が理由になる場合もあると知った。ここから、少数国間だけに着目するのではなく、世界全体を見て、今何が起こっているのかを正確に知ることで、国同士の関係も読み解くことができることがわかった。つまり、僕たちが「グローバルリーダー」となっていく上で必要なものとして、物事の全体から一部を見ていく視野の広さを身につけるべきであると強く感じた。一概に視野の広さと言っても地理的な広さ(世界各国の出来事)と時間的な広さ(歴史的背景)の二つを使い分け、時にはその二つを同時に利用していかなくてはならないと考える。日米安全保障条約においては第二次世界大戦という歴史的背景と北朝鮮等からの攻撃への抑制力という世界情勢を踏まえた面という両方の要素を含んでいることがわかる。このような「四次元的な視点」を身につけたいと感じたので、日々のニュースに目を向けてみようと思う。

今回身についたのは、1つの問題に対して①自分はどちら側の意見か、②なぜそう思ったのか、③自分の意見に対して反論の意見があるとしたら、どう意見があるのか(自分の意見の弱点)の3つを考える力です。また、それをもっと延ばす必要があると思います。①と②に関しては、本にも書かれてあった「個」の力とロジック力にあたるものだと思います。それに加えて、なぜ③の力に注目したかというと、今回の授業で世界の問題を解決する方法に正解は全くないのだと思い知らされたからです。特にそれを感じたのは北朝鮮の話の時です。薮中さんは、「北朝鮮がどうなったら交渉は成功したと言える?」と問いかけていました。目指すべきは “非核化”なのですが、交渉の時に非核化すると北朝鮮が言って実行してももしかしたら残っているかもしれないし、経済緩和をしたら、また作り始めるかもしれません。本当にその方法で非核化できるのかと反論があるわけです。他の国際問題でも同じように、1つクリアしたら別の問題はアウトになるという状況でした。だから、答えのない問題について考えるとき必ずその意見は完璧ではなく弱点があるわけで、その弱点を補うためにはどうすればいいかと考えることで、よりその問題を深く考えることができ、議論するときに説得力も増すのではないかと思いました。

薮中さんの講義を聞いて、トランプ政権が世界にもたらした影響の大きさを学んだ。国内の政策では、他国とのつながりを絶とうとして世界が目指していく方向性が失われていくという危機が迫っているというのを知り、トランプ政権の危うさを感じた。そんなトランプ大統領と安部総理は仲が良いので、今の良い関係が続いているうちに、日本はアメリカに対して今のままでは世界の状況が悪化するということを伝えるべきではないかと思う。世界の中での日本の役割というものが今回よくわかった。また、この授業でそれぞれの国を客観的に見る力が身についた。自分の願望が混同した意見ではなく、現状から見た情勢の将来を見据え、意見を持てるようになれたのではないかと思う。中国がアメリカの経済を抜く、そしてアメリカがいずれ日本を守らなくなる、そういった事柄に着目できるようになったので、これからはそれに対してどう対処していくかを考えなくてはならないと感じる。日本は、文化力や技術力、そしてアメリカと仲が良い、ASEANの信頼が厚いといった強みを存分に生かし、世界に日本の存在をアピールし、リーダーシップを発揮していくことが求められる。日本人である私個人も、自分の強みや考えを大いに主張していく力を身につけたいと考える。

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