本校同窓会館ゆ~かり館において、創造科学科2期生(1年生)を対象に、WHO神戸センター上級顧問官 野崎慎仁郎氏をお招きし、「UHC(Universal Health Coverage)に向かってともに歩もう」というテーマで講義を行っていただきました。UHCの実現のために、WHOの考え方や取り組みについて、また、超高齢社会である日本が今できることなどについてお話していただきました。
〈生徒の感想〉
○UHCについて、特に理解が深まったこと
私は「UHCは人権」ということについて一番学べたと思います。野崎さんは「UHCは先進国だけの特権だと思われていた。」とおしゃっていましたが、私は逆にパンフレットなどに目を通し、発展途上国やアフリカの人にだけ行われているものだと思っていました。私は日本に住んでいて、UHCは充分に達成されていると感じていてパンフレットの「生きるか死ぬかの選択」の話を勝手に先進国では無いと考えていたため、野崎さんの「これはおそらく先進国の人」と言う言葉に驚きました。UHCとは誰一人取り残さないために「誰もが」とか「全ての人が」という事を大切にし、医療そのものだけでなく政治についても大きく携わっているのだと思いました。
UHCの達成に最も大切なことは、国民全体に等しく、負担が少ないことだと感じた事だし、実際にそうだと思う。ただ、いくら医師を増やしても交通網が全く発達していない多くの途上国にとっては診てもらいにいくのに負担がかかる。そこで必要になるのは先進国の技術でそういった面での支援が重要だと思う。支援と言えばお金のイメージが強かったけど、財政はそれぞれのできる範囲で少しずつ段階を踏んでいくことがUHC達成につながると分かった。また、少子高齢化をポジティブに捉えられる考え方が完全に変えられた。数年後には高齢化のアンダーラインが65歳から70歳になっていてもおかしくないと思う。
どうしてUHCが優先課題にするほど重要なのかについて、特に理解が深まりました。冬休みに私が冊子を読んで考えていたものでは、全然理解が足りていないということを感じた講義でした。現在のWHOの事務局長は初めてのエチオピアのテドロス・アダノム氏で、その方が「UHCは全ての国で達成が可能だと確信している」とおっしゃっています。これは、経済問題と健康問題は相互に関係していて、経済を発展させるには、健康な国民がいることが大前提だということを理解しました。
○UHC実現に向けて、日本ができること
日本はUHCを達成している世界でも3割程度しかない国の1つであるので、多くの国の見本となるべきだと思います。それが日本にできる1番のことだと思います。今日の議論でも公害対策、震災からの復興や健康に気遣った食生活の様子などいろいろでてきて面白いと思いました。また、発達した医療技術や、お年寄りの健康診断など医療面でだけでなく、食についての話もあったので身近なところに世界に発信すべき事があるんだと感じました。日本が今、こうしてUHCを実現することができているのはとても誇らしいことだと思います。
授業中にもありましたが、私が日本で1番できることは震災の教訓を伝えると言うことだと思います。明日1月17日は阪神・淡路大震災が発生した日ですが、医者が少なく、また電気や水道が絶たれた状態でいかにけが人を手当したそうです。ということは、南米での医者や水不足である現状と重なるのではないでしょうか。全く同じ状況ではありませんがあのときの知恵を低・中所得層に伝えられれば、また足りない医薬品などを支援できていれば、少しでも現状の改善につながると思います。また、カイロなどのアイデアの提供など、日本の安くても高い技術を伝えること。あとは、少し難しいかもしれませんが、給食に和食にを取り入れるなど、子どもたちも異文化に触れることができ楽しみが広がると共に、健康につながると思います。
○UHCに向けて、あなたができること
世界全体のUHC実現に向けて私ができることは、日本のUHCの取り組みを発信するために、日本の経験を学ぶ事ではないかと思う。今、学生の私たちには、本格的な活動をするのは難しいが、今までの日本のことを学び、それを将来、外国のために活かそうとするのはできるはずだ。また、UHCがほぼ実現している日本のことのみ考えるのではなく、アフリカ・アジアの諸国のために学ぶことも必要だと思う。日本のUHCの完璧な実現のために私ができることは、高齢者たちが生きやすい、働きやすい社会を作るために少しでも貢献することだと思う。それから、自分が高齢者になったときに自分たちの世代が日本のUHCを担う存在になるのだという自覚を持つことが大切だ。
「日本ができること=私ができること」ではないのですが、日本の食に対する意識を自分自身でもっと知っておきたいと感じています。もともとこれは興味のあるテーマで、SDGsがTABLE FOR TWOという取り組みも知られているのですが、海外に伝えるとなると、まだまだ高校生が知らない日本の取り組みがあるはずで、それを知るべきだと思います。私たちの世代が知識をを増やして社会に出ることで、UHCの実現につながっていくと考えます。私にできることは少ないと思いますが、何か一つ、今日の講義を受けて行動を起こせば変わってくると思います。WHOに活動も興味が湧きました。