北高 校長室から 299 「下唐櫃」のススメ

「マイブーム」とでも言えるのでしょうか、最近、「下唐櫃」に魅せられています。「下唐櫃」(しもからと)とは、北高の北東の方角に位置する集落/地区の名前です。大変古い歴史を持っています。

北高は、今では古くなったとは言え、昭和40年代の「新興住宅地」の中に在ります。当然のように、正門から唐櫃台駅までの「オモテ側」のルートにしか目を向けません。でも、一度「裏門」から出てみてください。

裏門から出て、北に向けて坂を下り、更に北の方角に進んでみてください。すると程なく、「日本の原風景」のような集落が表れます。北高は曲がりなりにも「新しく開発された土地」にあると思っていたのに、ほぼ隣接してこんな古い集落があることに驚くと思います。

上の写真は、分かりにくいですが、裏門を出て北に少し進んだ所から下唐櫃地区を見たものです。写真中央の集落が下唐櫃地区です。その左端あたりが神鉄・有馬口駅です。「北高から有馬口駅まで歩く」と言うと、驚く人もいますが、十分に徒歩圏です。私の足(歩くのは速い)で、早ければ10分、ゆっくり歩いても15分はかかりません。

そうなんです。2月になってから何度も、帰りは下唐櫃地区を通って、有馬口駅から神鉄に乗って帰っているのです!

最初に下唐櫃地区を通ったのは、令和元年8月のこと。古寺山クラブで、逢山峡からの帰りに有馬口駅に向かったときでした。因みに、現在の有馬口駅は、神鉄が開業した昭和3年(1928年)から昭和26年(1951年)まで、唐櫃駅という名前でした。現在の唐櫃台駅が新設されたのは、昭和41年(1966年)のことです。

ずばり「これが下唐櫃地区だ!」と言える写真はないのですが、下のような風景です。北高から、ほんの数百メートルの位置です。

集落の中の道路は、非常に狭いうえに、場所によっては曲がりくねっています。上の右の写真に写っている道路は、最も広いものですが、それでも車のすれ違いはできません。乗用車でも大型の車だと、場所によっては両側の塀にこすれそうになる箇所もあります。運転に自信のない人や、巨大な車の持ち主は、車では入らない方がいいと思います。いずれにしても、ゆっくり歩いて行くべき場所でしょうね。


下唐櫃には何があるのか!?

下唐櫃の歴史について語り出すと非常に長くなりますので(多分)、今日は端的に、お勧めの2箇所をご紹介します。

(下唐櫃)山王神社

私は、神社は大好きです。特に、人がいない、商業化されていない神社に行くと、霊気に包まれ、本当に心が安まります。この山王(さんのう)神社もそんな場所です。上唐櫃地区にも山王神社があるので、区別のために「下唐櫃」を付けなくてはなりません。

創建年も分からないほど古いそうですが、立て札に書かれているように、「源平」の頃に遡るようです。正に「鎮守の森」(上の2枚目の写真)に囲まれていますが、この神社は直接見えないものの、北高の裏門からの直線距離では、本当に目と鼻の所にあります。

下の写真に写る灯籠も、非常に古い物です。

いかがですか、静寂に包まれたこの佇まい。心が洗われるようです。「パワースポット」という言い方をしても良いのかも知れません。

さて、もう一箇所は、この山王神社から、有馬口駅方面に向かって約400m進んだ所にあります。


専念寺

北高のすぐ南東に専照寺という似た名前のお寺がありますが、この専念寺は、そのお寺とは違います。「おしゃもじ地蔵」、更に「あじさい寺」とも呼ばれているとのことです。

下唐櫃地区の「メインストリート」沿いに、下の1・2枚目の看板や石碑が立っているので、迷うことはありません。

お寺の歴史は1574年創建と非常に古いものの、建物自体は阪神淡路大震災後に建て替えられたとのことで、新しいものです。しかし、写真はありませんが、右手奥の墓地は、非常に古い墓石が多数あります。太平洋戦争での英霊の墓標も多くありました。

恐らくハイシーズン(夏場)には、逢山峡に行き来する多くの観光客が、この下唐櫃を通過するものと思われますが、オフシーズンの下唐櫃は、私にはとても魅力的な土地です。

下唐櫃山王神社でも、専念寺でも、私は願をかけました。叶えてくださるでしょうか。

兵庫県立神戸北高等学校
校長 長澤 和弥