北高 校長室から 300 「上唐櫃」のススメ
4月18日(日)追記あり
北高ブログ、記念すべき?300号ですね。これまで何度か書いてきたように、投稿の回数を稼ごうと思ったことは一度もないですが、話題(書きたいこと)が豊富なため、300回に達してしまいました。
さて、下唐櫃のことを書いたなら、上唐櫃(かみからと)のことを書かないわけにはいきません。でも実は、上唐櫃には、下唐櫃ほど頻繁に行ったことはないのです。
下唐櫃地区の最寄り駅が有馬口駅なら、上唐櫃地区の最寄り駅は、神鉄六甲駅です。神鉄六甲駅は、昭和63年(1988年)までは「六甲登山口」駅といいました。それも道理で、ずっと昔は、この駅のあたりは、六甲山を超えて山陽道に至る幹線登山道「唐櫃道」(からとみち)の起点だったのです。
昔のこの辺の人が、たとえば大阪などに行くときには、この「唐櫃道」を通って行ったはずで、この「唐櫃道」には、多くの昔話/民話が残っています。そんなわけで、昔のこの駅周辺は、今と違って、かなり賑わっていたらしいです。
この大昔からの幹線登山道「唐櫃道」は、今は(なぜか)「シュラインロード」と呼ばれています。なぜ、「からとみち」という立派な日本語があるのに、訳の分からんカタカナにしてしまうのか、この手のことは、ずっと昔から全く理解できません(怒) 誰が出てきて説明して!
4月18日(日)長澤が追記: 上のマーカーを付けた部分のこと、本日参加した「古寺山クラブ」の「ほぼ」歴史研究家であるSさんに聞いてみたところ、私の大きな勘違いであったことが分かりました。
「シュラインロード」という名前は、近年(戦後など)に付いたものではなく、明治時代頃に神戸に居住していた西洋人が名付けたもので、唐櫃道沿いには「野仏」などが点在していることに由来したものだろうとのこと。
当時の日本人にはなかった文化だが、彼らにとっては「山歩き」は娯楽であり、色々な「ハイキングコース」の呼び名を付け、今ではそれらの呼び名の方が定着してしまったとのことです(ほかに「アイスロード」なども有名)。
大変失礼しました。
まだ前置きが続きますが、北高を中心に見ると、北方向に「下唐櫃」地区、南方向に「上唐櫃」地区が位置しているわけです。北高があるあたりは、昔は田んぼや畑のみでしたから、村落は、上唐櫃/下唐櫃地区にあったわけです。
それはいいとして、では、どこを向いて「上/下」なのか?
私の無知な感覚では、「上/カミ」というと京都(か大阪)方面。となれば、現在の有馬口駅あたりから有馬温泉を経由して大阪方面に向かうなら、「下唐櫃」地区が「カミ」ではないかと思うのですが、その逆になっています。
となれば、先に書いたように「唐櫃道」を通って大阪方面に向かうから、神鉄六甲駅あたりが「カミ」なのか?
このあたりのことは、今度「古寺山クラブ」に参加したときに、「知恵袋」の方々に尋ねてみます。
上唐櫃でお勧めのスポット!(3箇所)
西光寺
3箇所とも駅からすぐです。この西光寺(さいこうじ/浄土宗)が最も遠いですが、それでも、駅から「唐櫃道」を東に登って徒歩5分ほどです。でも、私が行ったときには入口に鍵がかかっていて、中に入れたことはないのです。ここにも、太平洋戦争の英霊の墓標が多く在ります(下の写真)。
(上唐櫃)山王神社
昨日書いた「下唐櫃 山王神社」に対して、上唐櫃の山王神社です。こちらも歴史の古い神社ですが、本殿自体は、ご覧のような強固な鉄筋コンクリート造り。明治と昭和時代に火災に遭った結果らしいですが、残念ながら風情は削がれます。西光寺と同様、山王神社にも、「昔、六甲山系から山津波があった」との伝承があります。
上唐櫃の山王神社にも、本殿だけでなく、いくつかの社殿があります。「御大典記念」とあるので、昭和天皇の時のものかと思ったら、大正天皇の時のものでした。さすが、古い神社です。
神社の鳥居正面から延びる道を進めば、徒歩や自転車で(自動車道を跨ぐ歩道橋を通って)唐櫃中学校のそばから北高に行くことができます。徒歩圏です。
最後の1箇所は、実は、ご案内するには、知識がちょっと不十分なのですが…。
多聞寺
ここは、ほかの2箇所と違い、神鉄の線路や有馬街道の西側に位置します。でも、駅から見えるくらい、すぐ。駅の「筋向かい」ですね。
大昔には、古寺山にあったらしいのですが、今ではこの地に在るとのことです。実は、ゆっくり中に入ったこともないので、こんな「グーグル先生」にも遙かに劣ることしか書けなくてすみません。
そんなわけで(昨日と今日書いたように)、北高の周囲には、こんなに歴史的な場所(私にとって魅力的な場所)が多く在るのです。もっと早くに気付いていればよかったです。
最後に一点、くだらないことを(笑)。先に、「カミ/シモ」の話題に触れましたが、日本の「橋」では、少数の例外を除き、全て「入口/出口」が決まっているのをご存じですか?
「橋」なんて、どちらからでも通れるから「入口/出口」なんてあるわけがないと思われるかも知れませんが、「カミ/シモ」が決まっているのですよ。
唐櫃台駅前の橋にしてもそうですが、橋の銘板とでもいうのでしょうか、両端に付いている名前が書かれた板です。これらは、一方は漢字ですが、もう一方はひらがなになっているのです。
漢字の側が「上/カミ」= 入口なのです。ひらがな表記の側は、出口なのです。なので、唐櫃台駅前の橋の銘板は、信号側(有馬街道側)が漢字で書かれているのです。あの橋は、どう見ても有馬街道側が「入口」(神戸の中心部に近い)ですよね。
「少数の例外」の中には、明石海峡大橋が含まれます。理由は、(走る車の中から)「見えないから」だそうです。
兵庫県立神戸北高等学校
校長 長澤 和弥