姫路西高校で、ネリカ米プロジェクトが進行中!(その1)2016年8月25日
全ては、「ネリカ米は本当にそんなにすごいのか」という高校生の疑問から
ネリカ米を知っていますか。ネリカとは、New Rice for Africaの略称で、病気や乾燥に強いアフリカ稲と、高収量のアジア稲を交雑した品種です。現在、JICAおよびUNDP(国連開発計画)等の支援により、アフリカで普及が進んでいるお米です。 このネリカ米を学校で栽培しようと取り組んでいる高校生がいます。
ネリカ米を、学校で栽培しようと取り組んでいるのは、兵庫県立姫路西高校2年生の6人(田渕景太さん、石坂大和さん、森木駿斗さん、吉田真希さん、日下実優さん、黒子真南さん)です。姫路西高校は、文部科学省のSGH(スーパーグローバルハイスクール)に指定され、それを受けて「リベラル・アーツプロジェクト-世界に飛翔するグローバル・リーダーの育成-」という研究事業を実施しています。その一環として、学生たちはグローバリゼーションに係るテーマを設定し、課題研究を行っています。 6人は、まず世界にはどのような問題があるのか調べました。多くの問題が挙がる中、メンバーの中に、アフリカ地域に興味がある学生がいたことから、スーダンへの農業支援を研究していくことになりました。スーダンは、国民1人当たりのGNIが1,710ドル(2014)、二つの内戦を経て2011年には南スーダンが独立しましたが、南スーダンでは先月、政府軍と反政府勢力の戦闘が再燃し、不安定な状態が続いています。しかし、6人は、スーダンには広大な可耕地があることから、ネリカ米の栽培指導を行い、現地の人たちの手で生産した米を流通させて産業にしていけば、収入が安定し、飢餓が軽減され、援助への依存から脱却できるのではと考えました。 そこで、彼らが疑問に感じたのは、ネリカ米は本当にそんなにすごい米なのかということでした。そんなにすごい米なら、校庭の片隅の肥えていない土でも栽培できないとおかしいのでは? そんな彼らの疑問から生まれたのが、このネリカ米プロジェクトです。彼らは、JICA筑波からネリカ米の籾米を入手し、早速実験を開始しました。
校庭の片隅に畑が出現!
彼らの畑は、校舎の裏にありました。鍬で耕してみると、大きな石がごろごろと出てくるような場所です。チーム・ネリカ米の6人は、慣れない鍬に苦戦しましたが、米作りの経験がある先生に指導を受けながら、なんとか畑を完成させ、ネリカ米の籾を蒔いていきました。 畑を完成させた6人からは、「ネリカ米が収穫出来たら、おにぎりにして食べたい」、「他のお米と食べ比べしたい」、「ネットの情報だけじゃなく、実際に確かめたかったので楽しみ」という意見が出ました。また、担当の先生からは、「詰め込み型の教育ではなく、このような探究型のアクティブ・ラーニングがSGHの活動に繋がり、大きな学びになるのでは」とのお話がありました。 JICA兵庫デスクでは、今後もこのネリカ米の成長を見守り、レポートしていきたいと思います。
(JICA関西 市民参加協力課 国際協力推進員(兵庫担当) 中村彩乃)