こんにちは!今年度からミュージアムサポーターズとして活動している白湯と申します。大学では歴史学、考古学を学んでいるので、それに関係した博物館の記事を書いていきたいと思います。よろしくお願いします。
今回、取材するのは兵庫県立歴史博物館、通称歴博(れきはく)です。アクセスはJR姫路駅から徒歩25分、バスで12分。姫路城の北側にあります。私は駅から博物館まで徒歩で行きましたが、7月中旬の日差しの中でも、姫路駅北側のアーケードがある商店街を通れば、日陰を歩くことができました。
それではさっそく、歴博のなかを見ていきましょう。
入館してエントランスでまず目に入ったのはワークショップ。



開催中の企画展『れきはくノスタルジー のりもの図鑑』に関連した絵柄の缶バッチを作ることも、自分でオリジナルの絵を描いた缶バッチを作ることもできます。小さなお子さんが楽しそうに缶バッチを作っていました。
企画展の展示室は2階にあります。エントランスのエスカレーターを上ろうとしたら姫路城の天守模型がありました。

縮尺1/15なのでかなりの存在感です。さすがは歴博!特別史跡姫路城跡内に位置しているだけあります。
2階に上がると特別展示室が見えてきました。

特別展示室の入り口には電車の垂れ幕が!ユニークですね。企画展示会場の中は撮影OK!ただし、強い光は作品の傷みにつながるので、フラッシュはNGです。
それでは、企画展『れきはくノスタルジー のりもの図鑑』の展示を紹介していきます!……と、言いたいところなのですが、記事に全てを書くことはできないので、私の印象に残った展示を紹介させてください。(とても素敵な展示なので全部紹介できないのが残念です……)

今回ご紹介するのは、こちらの飛行機の組立模型です。
カーキ色の機体に、前方のプロペラがかっこいいですよね。おや?よく見ると翼のところに文字が。両翼に「神風」と大きく書かれています。キャプションによると、この模型は朝日新聞社の純国産飛行機「神風」号を模して作られたものだそうです。「神風」号は1937年に東京―ロンドン間を給油、休息時間をあわせて94時間で飛行しました。そのころはヨーロッパから日本へ飛行機でも10日間かかっていたそうなので、4日弱で到着したのは、当時の人々からすれば相当な衝撃だったでしょう。
ここで、「神風」という単語に注目してみましょう。この言葉が広く知られるようになったのは元寇(蒙古襲来)がきっかけでした。元寇?それって何だっけ?という方、安心してください。今から解説していきます。そんなん知っとるわ!という方、さすがです!ここから数十行は読み飛ばしてください。
さて、それでは解説です。鎌倉時代の後半、日本は2度にわたり、モンゴル帝国(元)の襲来を受けています。
1度目の襲来(文永の役)では、元と元に征服された高麗の連合軍が九州北部にやってきました。元軍の集団戦や優れた兵器に対し、一騎打ち戦を主とする日本軍は大苦戦。しかし、元軍にも戦の損害や内部対立などがあって、撤退していきました。
元の襲来を受けて、幕府は1回襲撃があったら2回目も来るやろ?!と警戒し、九州北部の警備体制を強化したり、博多湾沿いに石の防塁を築いたりと対策します。しかし、元も手をこまねいていたわけではありません。南宋を滅ぼして、再び日本にせまってきました(弘安の役)。前回とは違い、元、高麗に加えて南宋もいる大軍ですから、さすがに大ピンチ!ですが、偶然、九州北部に大型台風が直撃し、元軍は撤退していきます。(弘安の役での元軍撤退の理由については諸説あり)そして、弘安の役で来た台風のことを、人々は「神風」と呼ぶようになりました。
元寇の解説が長くなってしまいましたが、つまり、「神風」とは大型台風のことだったんです。
(解説終了!読み飛ばした方はここからお願いします。)
ここで、この文字が書いてあった場所を思い出してください。そう、機体の翼の部分です!そして、飛行機の名前でもあります。
いや、飛行機と台風ってめっちゃ相性悪いやん!そんな名前つけてええんか?!
……失礼。心の中の関西人が思わずツッコミを入れてしまいました。
ともかく、不思議な名前だったので、「神風」号について少し調べてみました。
前述した通り、記録的な飛行に成功したこの飛行機ですが、実は日本陸軍の97式司令部偵察機が朝日新聞社に払い下げされたものでした。私が気になっていたこの「神風」という名前は、払い下げの後、全国で募集した名前の中から選ばれたようです。(募集を担当していた人はなんでこの名前を採用したんだ……?)
1937年の4月1日に東京の羽田飛行場で、命名式と東京―ロンドン間飛行の出発式が行われましたが、翌2日に九州南部での悪天候のため引き返してきます。
ほら!!「神風」とかいう名前つけるからホンマに嵐(時期的に台風の可能性は低そうですが、引き返すくらいの悪天候だったのでしょう)に遭ってるやんか!!
そして、4日後の4月6日に東京の立川飛行場を出発し、9日に無事、ロンドンに着陸しました。今度は、嵐には遭遇しなかったわけですね。
名前はともかく、このような組立式の模型が生産されていたり、写真上のような「神風」号のポスターがあることから、当時の人々が「神風」号の飛行記録に、いかに関心を持っていたかが伝わってきます。
取材を進めていると、学芸員の鈴木さんのお話を伺うことができました。なんと、この企画展の企画を担当されたのは、鈴木さんだそう!
そんな方とお話しできるなんて!とテンションが上がりつつ、質問をすれば、気さくに答えてくださいました。ありがとうございます。
鈴木さんによると、展示を企画するにあたっては、難しい展示をするのではなく、楽しんでもらえる展示を目指した、とのこと。
たしかに、飛行機の模型や車、電車のおもちゃが多く展示されていて、ワクワクしながら展示を見ることができました。
また、企画展を開催するにあたっては学芸員の方々をはじめ多くの方が関わっているのだそう。鈴木さんは、それぞれのメンバーが、ワークショップやアンケートのノベルティなど、いいものを作ろうと動いてくれたと嬉しそうにお話されていました。
エントランスで開催されていた缶バッチ作り体験や、企画展の最後にあるアンケートに答えるとシールがもらえたりするなど、ユニークな企画が開催されていました。それも関係者の方々の熱意があってこそなんですね!
鈴木さんとお話していると、館長の奥村さんがご登場!鈴木さんと一緒に、企画展にちなんだ制帽のレプリカをかぶっていただき、写真をパシャリ。素敵な写真が撮れたので、掲載させてください。

写真左には満面の笑みの奥村さん、右側の鈴木さんは「出発進行」のポーズです。キレッキレですね。
奥村さん、鈴木さん。お忙しい中、ご協力いただきありがとうございました。
さて、今回、私が兵庫県立歴史博物館を訪れたのは7月12日(日)だったのですが、実はとあるイベントが開催されていました。
それが、こちら『れきはく感謝祭』です。

『れきはく感謝祭』では、歴史資料にふれる体験会や学芸員の方による展示解説、ARなぞときスタンプラリー、ロビーコンサートなど、さまざまなイベントが開催されています。冒頭で触れた缶バッジ制作もその一つです。

中でも印象に残ったのは『れきはくロビーコンサート』。普段の静かな博物館からは想像もできませんが、この日に限り、歴博の広いロビーにピアノとヴィオラのきれいな音色が響いていました。
博物館にある資料たちも本格生演奏を聴けて喜んでいることでしょう(笑)。
この日は『れきはく感謝祭』が開催されていましたが、『自由に話せる観覧日』でもありました。普段は博物館ではお喋りは控えたほうが良いですが、この日に限ってはお喋りOK!赤ちゃんや小さいお子さんを連れてでも、周りを気にせずゆっくり鑑賞できます。
私も、友人と一緒に訪れたのですが、展示品を見て思ったことを自由に言い合えて、感想を共有することで、普段とは違う楽しみ方をすることができました。
兵庫県では7月9日(木)から7月15日(水)まで県内114の博物館・美術館の施設のほとんどに無料で入場できる「兵庫プレミアム芸術デー」が開催されていました。それもあってか、子連れの家族や私のような大学生、シニア世代など老若男女が博物館を訪れていました。『れきはく感謝祭』の名前のとおり、まさにお祭り状態。皆さん、普段とは違う博物館を、自由に、笑顔で楽しんでいらっしゃいました。
今回、たまたま『れきはく感謝祭』というイベント開催中に取材をすることができました。いつもとは違う、にぎやかな博物館を堪能できてとても楽しかったです。企画展の記事を書くにあたって、一つの資料を深堀りしましたが、他にもたくさん面白い展示があります。飛行機の模型の他にはどんな展示があったんや?!と、疑問に思われている方。ぜひ、歴博の企画展を見に行ってみてください。
取材をした中で、この記事には書ききれていない歴博のネタがまだまだあるので、いずれ、ご紹介できたらいいなと思います。
さて、宣伝です。今回取材した兵庫県立歴史博物館の企画展『れきはくノスタルジー のりもの図鑑』は2026年8月30日(日)まで開催されています。自動車、飛行機、電車のおもちゃ、姫路モノレールの展示など、レトロな乗り物から身近な電車まで世代を超えて楽しめる展覧会です。地域や歴史が好きな方だけでなく、乗り物好きな方も楽しんでいただけると思います。なお、毎月第2日曜日は『自由に話せる観覧日』となっております。次回は8月9日(日)です。企画展にあわせて、ワークショップ(事前申し込みが必要)や「展覧会みどころガイドツアー」が開催されているので、外で遊ぶのは暑すぎる!という方は、兵庫県立歴史博物館に足を運んでみてはいかがでしょうか?
最後になりますが、博物館の皆様に感謝を。鈴木さんをはじめ、取材にご協力いただいた、学芸員の皆様、スタッフの皆様。お忙しい中、お時間を割いていただき本当にありがとうございました。
読者の皆様、長々とした記事にお付き合いいただきありがとうございました。この記事をきっかけに少しでも博物館に興味を持っていただけると嬉しいです。それでは、またいつかお会いしましょう!
(Written by 白湯)
参考文献
昭和館デジタルアーカイブ 昭和館収蔵資料データベース『東京からロンドンまでの記録飛行に成功した神風号』https://search.showakan.go.jp/search/photo/detail.php?id=90037801
(2026年7月12日閲覧)
兵庫県立歴史博物館『企画展「れきはくノスタルジーのりもの図鑑」』https://rekihaku.pref.hyogo.lg.jp/exhibition/21100/
(2026年7月12日閲覧)