兵庫県野生絶滅種 ムラサキが開花

 龍野高校では地域の生物多様性の保全を目的とした「生物多様性龍高プラン」に取り組んでいます。地域の絶滅危惧植物の生息域外保全もその一つです。

兵庫県では野生絶滅した希少植物ムラサキの生息域外保全もおこなっており、先日から白い花を咲かせています。

 ムラサキの根(紫根)は、古来高貴な人物が身に着ける衣類などの染料として利用されていました。聖徳太子が制定した冠位十二階の最高位(大徳・小徳)の役職を意味する冠の色も紫でした。

茜(あかね)さす、紫野(むらさきの)行き 標野(しめの)行き 野守(のもり)は見ずや 君が袖振る

 万葉集、額田王の歌ですが、当時もムラサキは希少な植物だったようです。この歌のムラサキの生育地は天皇の領地で、見張りの番人がおり一般人は生育地に立ち入ることが禁止されていたことがわかります。

 現在は、化学染料の普及により「紫染」は見かけることがなくなりましたが、ドラッグストアには紫根を成分とする「紫雲膏」が販売されています。この薬は江戸時代の医師、華岡青洲が発明しました。彼は全身麻酔薬も発明し、世界で初めて全身麻酔による乳癌の外科手術を成功させたことで知られています。

 日本国内外の医療従事者や研究者が、新型コロナウイルス感染者の治療や新薬の開発に尽力する日々が続いています。過去においても、華岡青洲のような研究熱心な医師がおり、彼の開発した薬が現在も市販されていることに畏敬の念を持たずにおれません。

本校で生息域外保全しているムラサキは、2006年にたつの市で発見されたムラサキの系統株です。生育地ではシカの食害のためか野生絶滅してしまいました。