「西高 校長室の窓から №037 (2016.9.1)」
夏休み中の酷暑が幻だったかのように、打って変わって、秋の気配が感じられる爽やかな朝でした。ここゆずり葉の大地に気高く聳える西高に、再び賑やかな歓声が戻ってきました。朝一番に第2学期始業式が、いつものように厳粛に滞りなく終わりました。私が体育館に入ったとき、久しぶりの再会で賑やかに歓談していた西高生が、生徒会執行部が前に立つと、一瞬にして体育館が静寂に包まれました。
私は始業式にあたり西高生に次のようなメッセージを送りました。
地球温暖化や様々な自然環境の変化のせいなのでしょうか、殊の外暑かった今年の夏もようやく終わりを告げようとしています。先日、迷走した台風10号が、強い勢力を保ったまま東北地方に初上陸し、人間の力ではどうにもコントロールできない災害を、東日本大震災の被災地や北海道にもたらしました。台風の影響を受けて土砂災害の被害に遭い、尊い命を奪われた人々のご冥福を祈るとともに、今なお避難生活を余儀なくされている方々の一日でも早い心の安寧と復旧・復興をお祈りしたいと思います。また、本日、このように清々しい気持ちで始業式が迎えられる「日常」に感謝したいと思います。
今日9月1日は、関東大震災の教訓を忘れず後世へ伝えるために設けられた「防災の日」です。また、阪神淡路大震災から21年、今なお復旧・復興の途上にある東日本大震災から5年の歳月が流れ、熊本大地震で今なお避難生活を余儀なくされている方々が多い中、これらの教訓を次代に伝えて繋げる役割が皆さんに課せられています。
さて、長いようで短かった夏休みが昨日で終わりました。私自身この夏休みにあれもこれもと計画を立ててはいましたが、残念ながら実行できたのはごくわずかでした。私の経験からしても、西高生の皆さんが全く非の打ち所のない夏休みを過ごしてくれたと思ってはいません。多少計画が狂っても、実行できなくても、宿題が全て終わらなくても、今日、西高生の皆さんとここで再会できたことに感謝しています。
私はこの夏も、兵庫県下はもちろん全国の高校球児たちの筋書きのない感動の青春ドラマを数多く観戦してきました。兵庫県下162校の頂点に立った市立尼崎高等学校は、残念なから1回戦で強豪八戸学院光星高等学校に惜敗しました。「不撓不屈」を部訓に掲げ、市尼らしく粘り強く最後まで強豪を追い込みました。33年ぶりの勝利にはなりませんでしたが、スタンドからは市尼球児たちに惜しみない拍手が送られていました。
また、先日閉幕した「もうひとつの甲子園」、第61回全国高等学校軟式野球選手権では、兵庫代表の報徳学園高等学校が、前年度優勝校の作新学院と対戦しました。残念ながら惜敗しましたが、報徳らしい爽やかな旋風を、軟式野球の聖地「明石球場」に巻き起こし、最後までやりきった報徳球児の顔には涙がありませんでした。私にとっては、この夏は、阪神地区の高校2校が奇しくも兵庫代表となり、大いに活躍してくれた素敵な夏でした。
夏の甲子園は、入場者が9年連続80万人を超え、夏の国民的行事となっています。ひとつの白球は夢であり、その白球を全員で必死に追う姿が多くの人々を魅了します。
「多くの人々が高校野球に感動するのは、どこかで忘れてしまった自分の汗だろう」
この夏、AKB48に「光と影の日々」を応援ソングとしてプレゼントした作詞家 秋元 康氏は言っています。皆さんと同じほぼ10代のAKBの歌う人生の応援ソングは、皆さんの心にどのように響いたでしょうか?
悔しさをあと何回 乗り越えればいい?
グラウンド あと何周 走り続けるの?
勝利とは? 敗北とは? 何を教える?
泣けるほど熱くなれる大事なもの
その片隅に陰があるから
やがて差し込む希望がもてる
今、「光」は皆さんの前にあります。どうか自分のことを信じて、あきらめなければ、きっと空は晴れてくるでしょう。皆さんの瞳にきっと映るはず、眩しすぎる夢が・・・皆さんの人生の道を照らしています。
平成28年度第2学期始業式、西高生の皆さんと、創立40周年の節目に巡り逢えた幸運に感謝しながら、私は西高生の皆さんの「眩しすぎる夢」の実現を応援することを約束して式辞とします。
生徒指導部長から二つの「感動」の話を聞きました。
①喜んだり、感涙したりして心が「感動」すること。
②相手を敬い周囲に配慮しながら「感じて、動く」こと。
私にとっても心に残るお話でした。
校長 八木 基雄