「西高 校長室の窓から №016(2016.1.8)」
今日から3学期のスタートです。約2週間ぶりに西高生の歓声でキャンパスが賑やかになりました。3学期の始業に際して、久々に顔を合わせた西高生の皆さんが、校内をきれいに清掃して学習環境を整えた後、予定どおり9時20分に始業式が始まりました。4月の着任以来、定刻前に整然と集合できる西高生を誇りに思っています。
今日の始業式で、私は西高生へ次のようなメッセージを送りました。
西高生の皆さん、あらためまして、新年あけましておめでとうございます。
平成28年元旦、皆さんはそれぞれ新年を清々しい気持ちで、決意を新たに迎えたことと思います。この冬休みは、慌ただしい日々の生活から解放され、自由に様々なことに思いを馳せる絶好の機会だったのではないでしょうか。季節外れの温かさで穏やかな年明けでした。
3年生(37回生)の皆さん、私は4月から始業式や終業式等で様々なことを話題にしてきましたが、今日が高校生活最後の話になります。この3年間心身共に大きく成長した皆さんに、2月、私の名前で卒業証書を授与できる喜びを感じています。
センター試験が目前に迫っています。「受験は団体戦」とよく言われます。37回生が一丸となり、努力してきた自分自身を、そして何よりも3年間西高で、思い出と貴重な時間を共有してきた仲間を信じて、最後まで自己実現に向けて真摯な努力をしてください。
さて、私の年の始まりは、毎年2日、3日と、箱根大学駅伝をテレビでのんびりと鑑賞することです。東京・箱根間往復10区間217㎞余りを、10人の選手が、大学の名誉や伝統を背負い、襷を途切らせずに繋いでいくドラマはまるで人生の縮図のようです。
監督や部員全員の様々な思いの染みこんだ襷を繋げずに、思わず泣き伏してしまう選手もいれば、淡々と自分の役割を果たして伝統の襷を繋ぐ選手もいます。まさしく人生のように「上り坂」も「下り坂」も、そしてよく言われる3つ目の坂「まさか」もあります。2日間で10時間以上に及ぶ感動のドラマが今年も展開され、青山学院大学が2年連続39年ぶりの往復総合完全優勝を飾り閉幕しました。
初日、往路、箱根の山上りとなる5区、1位で襷を受けた青山学院大学の主将 神野 大地くんが昨年に続き独走し「三代目山の神」の名を不動のものにしました。164㎝、43㎏の小柄な身体で、山上りの難所を、笑顔で走り抜けた彼の姿がとても印象的でした。
原監督から「模範生」と評され、陸上部の仲間からは「陸上のために生活全てをかけている」と一目置かれる存在だそうです。寮生活でも真面目さが際だっており、誰かが起きていても必ず就寝時間の15分前までに就寝する。レースに向けた練習が始まれば、一切菓子類を食べない。練習前後にも補強練習を、他の選手の何倍も行うそうです。そして週1回のオフの日には、思いっきり遊び生活にメリハリをつけることも忘れなかったとのことです。
レース後のヒーローインタビューでは、「チームが一丸となってここまでやってこられた」と、とびっきりの笑顔で、青学大の総合力の勝利を強調していました。
彼は、昨年の華々しいデビューとは裏腹に、故障や重圧に苦しんだ1年間であり、一時は箱根出場をあきらめたこともあったそうですが、それでも強い思いを保って間に合わせ、往路優勝という満足のいく結果で幕を閉じました。彼のこの一年間の成長ぶりは映像をとおして私にまでその喜びと感動が伝わってきました。
そこで、私は、年のはじめに、「常勝」「常昇」「常笑」という3つのことばを送ります。
「三代目 山の神」の異名を持つ神野 大地くんは、これからの練習次第で確実にさらに「常昇」はできるでしょう。ただし、いつかは記録を破られ「常勝」するのはなかなか難しいかもしれません。これはどんな場合においても世の常だと思います。しかし、どんな時も彼の「常笑」している姿は容易に想像ができます。
西高生の皆さん、私たちも「常笑」できる1年でありたいと思います。年の初めにあたり、皆さんに伝えるメッセージとします。
校長 八木 基雄