卒業生に贈る言葉

「不易流行」

私たちが今、暮らしている社会は少しずつ変化しています。ITの発達や人工知能の進化によって、その変化は今後ますます加速していくと言った方がよいかもしれません。オックスフォード大学のマイケル・A・オズボーン准教授は、「今後、10年~20年程度で、約47%の仕事が機械化される可能性が高い」と述べています。今は、人間が行っている仕事も近い将来、機械にとってかわられることになるのかもしれません。また、ニューヨーク市立大学のキャシー・デビットソン教授は「今の子供達の65%は、大学を卒業する時に、今は存在していない職業に就く」と予想しています。

このような変化の激しい時代を迎えるにあたり、これからの若者はどうすればよいのでしょうか。一つ言えることは、現時点において、有効で必要な知識や技術を身につけることもとても大切ですが、それと同時に、将来、世の中の変化に応じて、その都度その都度必要となるものを習得することができる力、自分自身が変化できる力、変化に対応できる柔軟な心などがこれからは必要になってくるということを、覚えておいて欲しいと思います。

進化論で有名なチャールズ・ダーウィンは地球上の生命の進化について、「最も強いものが生き残ったのではない。最も賢いものが生き残ったのでもない。最後に生き残るのは、変化することができるものである」と述べています。たいへん示唆に富んだ言葉だと思います。

しかし、一方で時代の流れや流行の変化に惑わされることなくいつまでも大切に守り続けなければならないものもあります。家族や友達を大切にする心、人権を尊重する心、他人に対する思いやり、自分が生まれ育ったふるさとの自然や文化を愛する心などは、時代の変化に関係なく揺らいではならないものでしょう。

『不易流行』という言葉があります。「不易」とはいつまでも変わらないこと、「流行」とは時代時代に応じて変化することです。つまり『不易流行』とは、「いつまでも変化しない本質的なものを忘れない中にも、新しく変化を重ねているものを取り入れていくこと。」という意味です。時代の流れに応じて柔軟に変化していくことが求められるこれからの社会においても、時代に流されずに変えてはならない大切なものがある、変えなければならないものと変えてはならないものがある、そんな大切なことを教えてくれるこの『不易流行』という言葉を卒業生の皆さんに贈りたいと思います。

兵庫県立多可高等学校 第41回卒業証書授与式 学校長式辞より(抜粋)