にしきた花だより 第85号 梅とウイルス

にしきた花だより 第85号 梅とウイルス

先日、2年生理系生物の今年度最後の野外実習を行いました。北山緑化植物園から北山貯水池を抜け、甲山大師、甲山森林公園に至るコースです。北山梅林の紅梅、白梅が見事でした。一枚目の写真です。二枚目の写真は甲山大師の寒桜です。三枚目は緑化植物園の椿です。

さて、梅には「源平咲き」という品種があります。花びらごとに紅白になったり、絞り模様になるのが特徴です。梅のゲノム(遺伝情報)のなかで、「トランスポゾン」というDNA領域が働いているようです。「トランスポゾン」は、生物進化の途中で、ゲノムDNAに、寄生するようになったDNAで、過去のウイルス感染の痕跡と言われています。

ウイルスは、NASAの地球外生命の定義である「ダーウィン進化が可能な自己保存的な化学系」に当てはめると、非生物になります。ひょっとしたら「トランスポゾン」から、ウイルスができたのかもしれません。これは、「卵が先か、鶏が先か」のたぐいの議論になります。

 ウイルスは、寄生する相手の細胞を利用して、自己を複製・増殖する微小な構造体で、タンパク質の殻と、その内部に入っている核酸(DNA or RNA)からなります。生物基礎で勉強しましたね。

 さあ、梅の「源平咲き」では、何が起こっているのでしょう。

 「トランスポゾン」が勝手に移動し、ゲノムDNAの配列が変わると、有害な突然変異が蓄積してしまうので、通常は「トランスポゾン」は抑え込まれています。たまたま、花色を決める遺伝子の近くに「トランスポゾン」が入りこむと「トランスポゾン」を抑え込む作用が、隣にある花色の遺伝子にまで影響し、正常な色素を作れなくなる事があります。

 逆に、「トランスポゾン」が出て行くと、遺伝子の配列が元に戻り、その部分だけ花色が回復する事も考えられます。

「 春を待つ心を持たぬ三月に 遅咲きの梅 君と見ている 」   俵万智

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