天を仰いで 138 青い炎

先日、神戸高校に行くことがありました。リュウゼツランの花が咲いたと神戸新聞に載っていたので、事務室の方に場所をうかがいました。グラウンドを見下ろす掲揚台ののり面に、大きな株がいくつもあります。そのうちの一つがひょろ長い幹を空高くさし上げ、小さな花をたくさんつけていました。半世紀に一度しか咲かないのだそうです。

大正10年(1921)、23歳の八木重吉は神戸へやってきました。それから5年間、御影師範学校(現神戸大学発達科学部)の教壇に立ち、病身の妻と新婚生活を送りながら、1,800編もの詩を作りました。千葉へ転居した時、これらを編集し、処女詩集『秋の瞳』を出版します。そのわずか2年後、29歳の若さで病没しました。

『秋の瞳』は、「私は、友が無くては、耐へられぬのです。しかし、私には、ありません。この貧しい詩を、これを、読んでくださる方の胸へ捧げます。そして、私を、あなたの友にしてください。」という序から始まります。36番目にリュウゼツランの詩があります。夏の終わりに神戸の空を見上げて重吉を思いました。

竜舌蘭     八木重吉

りゆうぜつらん の
あをじろき はだえに 湧(わ)く
きわまりも あらぬ
みづ色の 寂(さ)びの ひびき

かなしみの ほのほのごとく
さぶしさのほのほの ごとく
りゆうぜつらんの しづけさは
豁然(かつぜん)たる 大空を 仰ぎたちたり

※豁然:広々とした様子。

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