天を仰いで 123 「鬼(き)の貫之」

紀貫之は平安時代を代表する大歌人ですが、江戸時代、自分は俳諧の紀貫之になるのだと決意した男が伊丹にいました。「鬼の貫之」を略して「鬼貫(おにつら)」。上島の姓を持ち、武士として生きようとする傍ら、句作を続けました。1738年8月2日78歳でなくなりました。今日はその命日「鬼貫忌」です。

によつぽりと秋の空なる不尽(ふじ)の山

鬼貫は26歳の時、江戸に行くことになりました。その時、4歳年下の鸞動(らんどう)が、評判に聞く富士山とはどんな山なのか、よく見てきて話してほしいと頼みました。固く約束したものの、しかし、鬼貫が帰郷したとき、鸞動はすでに病没していました。鬼貫は墨染(ぼくせん)寺の墓前でこの句を吟じたそうです。

有名な句ですが、こんな逸話があったとは知りませんでした。たまたま読んでいた岡田利兵衛著作集Ⅳ『鬼貫の世界』に出てきました。二人の友情を確かめたくて、伊丹シティホテル南にある墨染寺へ行ってみました。鬼貫のお墓はすぐにわかりましたが、鸞動のお墓は見つかりませんでした。

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