天を仰いで 719 当たり前の今日

校長室から出て廊下から中庭を見ると、昨年植え替えた枝垂桜の前にボトルが整然と並んでいました。県高生は体育の授業があると、誰が注意するわけでもないのに、こうやってきちんと置くんです。生徒たちはグラウンドで時間走をしています。並べられた水筒は、走り疲れて帰ってくるみんなを静かに待っています。

今日はこんな当たり前の光景が目に染みます。27年前の今日、大震災がありました。たった数秒、大地が揺れただけで、見慣れた町はすっかり消えてしまいました。家が崩れ、塀が倒れ、見たこともない光景になりました。町だけではありません。学校に行ったら、去年書いたように、親しかった教え子がいなくなっていました。

町は復興し、新しい景色に生まれ変わりました。我々の生活も元に戻りました。しかし、亡くなった人だけは帰ってきません。ずっと年を取らず、今もみんなと同じように高校生らしく笑ったままで遠くにいます。彼女だけではない。見境なく、一瞬で奪われてしまった多くの命が微笑みながら我々を見守ってくれているような気がします。

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