天を仰いで 412 若き日の快事

国旗掲揚台(1952年講和条約発効を記念して生徒決議により設置)

今朝、校門で生徒のみんなを出迎えていると、御老人がグラウンドに面した道に立ち止まり、サッカー部の朝練をずっと眺めておられます。やはり何か通じるものがあるのか、一緒にいた本校OB教員が「卒業生の方ですか?」と声を掛けました。その方はこちらを向き、嬉しそうに「7回生です」と答えられました。

当時は1学年9クラス生徒450人だった、県伊祭ではファイアーの周りでダンスを踊った、肩車をして練り歩き、教員の悪口を大きな声で言いあった等々、しばし歓談した後、「吹奏楽部の副部長でしたが、当時、楽器の盗難事件があってな」と感慨深くおっしゃいました。なぜ卒業後65年も経ってそんなことを?とは思いましたが、それ以上はうかがわずに別れました。

校長室に戻り、『兵庫県立伊丹高校100年史』を読んでわかりました。1954年3月15日(月)、部長が部室に行くと楽器がすべてありません。10万円近くの大損失。バスの運賃が20円の時代です。今なら100万円以上になるでしょう。部内で話し合った結果、3年生の修学旅行の積立金で弁償しようとなりました。しかし、生徒会長が話を聞きつけ、待ったをかけます。急遽、生徒総会を招集。生徒1人につき月5円を1年間積み立てた上、不足は生徒会予算から捻出し、楽器を購入するという決議をしました。

「あれは終生忘れられない感激だった」と、臨時総会の議長を務めた方が書き残しておられます。盗難といえば誰にとっても不愉快なことです。しかも、損害が大きければなおさらに。それでもみんなの善意があれば、素晴らしい思い出に変えることができる。今日は、朝からとても大切なことを教えていただきました。

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