天を仰いで 218 柿を守ってきた土地柄

今朝の読売新聞地方版に「伊丹の台柿 今年もたわわ」という見出しを見つけました。「台柿(だいがき)」とは固有名詞なのでしょうか。「菊平」という品種のようです。初代は枯れましたが、接ぎ木された2代目が柿衞文庫の庭に残り、さらに接がれた3代目が継承プロジェクトによって市内に約70本も植えられました。

そのうちの1本と思われる木が県高にもあります。80周年記念館の南側で、まだ低く細い幹に大きな実が5つも6つも生っています。渋柿(不完全甘柿)なのでそのままでは食べられません。渋抜きをしたり、干し柿にしたりすると甘くておいしいのだとか。

同じ柿を200年近く前、教科書にも出てくる頼山陽が食べたというのだから面白い。当時は伊丹の酒だった「剣菱」の蔵元で、岡田家からもらった台柿を頬張ったそうです。あまりにうまかったのでおかわりをしたけれど、木が1本しかないからと断られ、その情趣を漢詩に詠みました。書き下し文と口語訳はともに我流です。

柿 記   頼山陽

誰栽碩果杜翁園
記得秋霜流歯根
口爽更呼藍尾酒
咲吾饕餮勝胡孫

誰が栽(さい)す 碩果(せきか) 杜翁(とおう)の園
記得(きとく)す 秋霜(しゅうそう)歯根(しこん)に流るるを
口爽やかにして 更に呼ぶ 藍尾(らんび)の酒
吾(われ)を咲(わら)へ 饕餮(とうてつ)胡孫(こそん)に勝ると

誰が育てたのか こんなに大きな実を あの造り酒屋の庭で
噛めば忘れられない 秋の霜が歯ぐきに降りてくるようだよ
口が爽やかだから もっと呼び込みたい 立て続けに飲む酒を
俺を笑ってくれ さすがに大食の怪物は猿よりもよく食うなぁと

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