天を仰いで 216 サザンカ咲いた道

今日は冬らしい曇り空が広がり、しんしんと寒さが募りますね。朝、校門に立ったとき、自衛隊の官舎に小さなサザンカが咲いているのを見つけました。常緑の葉の間に、大ぶりな薄いピンクの花がいくつもついています。登校する生徒たちは気付いているのでしょうか。

若い時分はあまり好きではありませんでした。咲いたそばから、すぐに茶けてしまって、散ってしまいます。清らかな花であるだけに残念な感じがしました。それがいつの頃からか、くしゃくしゃに散ってしまうところも良いなぁと思うようになりました。年を取るということは、こういうことに気付くようになるということなんでしょうか。

サザンカの花を見ると、いつも村野四郎さんの詩を思い出します。意味はよくわかりませんが、何となく今日のような天気にぴったりします。

冬深む    村野四郎

野川に
かれ草折れ ながく浸り
そこを渉りくる人かげもなく
杉の梢をみあげれば
ぼろぼろな時間が堕ちてくる
陽ざしは 苔の上に
たちまち消え
たえて私の膝にとどくこともなかった
さくばくたる庭に対い
ひとり
けんらんたる論理の書をひらく

ああ かって葡萄のごとく私を搾るもの
また私から滴る血をうけるもの
すべては すでに遠く
声もなく
山茶花さき ちり
しばし
冬深む

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