高校時代は帰宅部。勉強も苦手。内気で人と話すことも好まない。そんな生徒だった。そのくせ負けず嫌いで怖がりで。頑張ってもできないことがわかっているので、「やればできる」を言い訳にして、何にもしなかった。
授業も行事も常に「お客さん」。当然毎日がつまらなかった。そんな高校生活だから大学に合格するはずもない。両親から1年だけの猶予を許され、浪人することになった。
予備校に入学した日、暗い浪人生活を覚悟していた私に、ニコニコ話しかけてくるやつがいた。クラスの親睦を深めるためにみんなでレクリエーションをやろうというのだ。話し合いの結果、予備校そばの河川敷で、ソフトボール大会をすることになった。全く知らない者同士がワーワー言いながらボールを追いかけ回っている。転んで泥だらけになるやつもいる。そんな様子を見ながら、ふと思った。「人生楽しまないと損や。今まで俺は何しとったんやろう」。
相変わらず勉強は苦手だったが、「何でもおもしろがってやろう」という姿勢で勉強と遊びに励んだ結果、なんとか第3志望の大学に合格することができた。
教師になって初めて勤めたのが定時制高校。私と同じで勉強嫌いな生徒ばかり。しかも、昼間の仕事で疲れている。4年生の担任をしたとき、クラスのみんなに宣言した。「勉強では一番をとれないかもしれないけれど、すべての行事で一番を目指そう」。結果、文化祭でも体育祭でも優勝することができた。
体育祭の仮装リレーで「レレレのおじさん」に扮して激走する私の写真が、今も手元にある。