アルバイトで塾の講師をしていたときのこと。普段は中学生相手に授業をしていたのだが、夏休みに小学生対象の授業を受け持つことになった。理科や社会や算数を教えるのだが、大人になった固い頭では、小学生に「わかる」説明ができない。どうしたものかと悩みながら、子ども向けの参考書やらテレビ番組をみて、せっせと情報集めをしていた。
以前にも書いたことだが、私自身分数の乗除でつまずいた経験がある。なんとかここだけは「わかる」説明がしたいと、熱心にある番組を見ていて、そこで大きなヒントを得ることになる。番組では、掛け算と割り算の説明をそれぞれ、「2個のかたまりが2個あるといくつ」、「4個のかたまりを2個の大きさに分けるといくつ」という説明がなされていた。これだと思った。これなら分数の乗除が説明できる。
「2個のかたまりが2分の1個あるといくつ」、「4個のかたまりを2分の1個の大きさに分けるといくつ」。つまり掛けると増える、また、割ると減るのではない。理屈がわかれば、後は便利な計算方法を身につけるだけ。理屈があって初めて方法は確立される。
結論を出すための「how to」しか知らないものは、いつまでも真理に到達できない。