令和3年度 兵庫県小学校長会 活動方針
― 生きる喜びと夢を持ち 未来を切り拓く子どもの育成 ―
兵庫県小学区兵庫県小学校長会(以下、兵小長と言う)は、結成以来、兵庫県の小学校教育を充実・発展させるために、真摯に研究と実践を積み重ね、着実に成果をあげてきている。
近年、知識基盤社会の新たな進展、グローバル化の進行、人口減少社会の到来、人工知能(AI)の飛躍的な進化等により、政治・経済等社会情勢が急激に変化し、先を見通すことが難しい時代を迎えている。
一方で教育現場では、未来社会としてのSociety 5.0の姿をしっかりと見据えつつ、新学習指導要領を着実に実施することや急速に複雑化していく教育課題への対応が喫緊の課題となっている。
こうした中、学校は校長の確固たる経営方針のもと、自主性・自律性を確保しながら確かな学力、豊かな心、健やかな体の調和を重視する「生きる力」を育む「社会に開かれた教育課程」の実現に取り組んでいかなければならない。
本県においては、子どもたちが安心して通える学校、保護者や地域住民から信頼される学校とするために、教職員の資質向上、授業改善、危機管理体制のさらなる強化、特別支援教育の充実が求められている。また、学校統廃合・学校規模適正化等に係る課題の解消等、あらゆる教育環境の整備・充実に向けて積極的に取り組む必要がある。さらに、「学校における働き方改革」の推進、キャリア形成の支援、組織の活性化に取り組み、教職員が働きがいのある学校としていかなければならない。
東日本大震災や集中豪雨による風水害等、各地で大規模な災害が多発している。このような状況の中で、様々な自然災害から自らの生命を守るため、迅速かつ的確に対応できる力を育てなければならない。わたしたちは,阪神・淡路大震災からの復興や東日本大震災等への支援の経験とそれから得た教訓を踏まえ、「『伝え』『活かし』『備える』実践的な兵庫の防災教育の推進」に取り組む。
このような現状を深く認識し、わたしたちは、「生きる喜びと夢をもち 未来を切り拓く子どもの育成」をテーマに掲げ、これまで培ってきた強固な団結力をいかし、「兵庫は一つ」を合言葉に課題解決に努めていく。そして、今後の教育の方向性に注視しながら、県民の信頼に応える取組を推進していく。
そのために校長は志と情熱のもとにリーダーシップを発揮し、教職員が力量を高め合い「生きる力」を育む創意と活力に満ちた魅力ある学校づくり、人権を尊重し、心が通い合う学校経営に努めていく。
加えて今後の兵小長組織や活動のあり方についての検討・改善を図り、組織力の強化に努める。
兵庫の教育のさらなる充実を目指すことを強く決意し、次の活動を重点として推進する。
1 学校経営の充実
校長自らが研鑽に励み、学校経営上の課題を明確にし、全教職員が協働して組織的に対応できる体制を整え、自主性・自律性のある活力に満ちた魅力ある学校づくりを進める。また,学校園所及び家庭・地域社会・関係機関との連携を密にして「生きる力」の育成と創意ある教育活動を推進し、「安全・安心で信頼される学校づくり」「地域とともにある学校づくり」に努める。さらに、教職員一人一人が個性と能力を十分に発揮できるとともに、心温かく支え合い・高め合う人間関係のある「風通しのよい」職場環境の実現を図る。特に、勤務時間の適正化を図るとともに管理職候補者の育成を推進する。これらの取組を進めるとともに、第71回兵小長研究大会(神戸大会・西播磨大会)の充実を図り、その成果を踏まえ学校経営の質的向上に取り組む。
2 教育内容の充実
新学習指導要領の趣旨に基づき、「社会に開かれた教育課程」を実現するために各学校において、「カリキュラム・マネジメント」を確実に進める。また、「主体的・対話的で深い学び」の実現のための授業改善を推進する。そして、「豊かな心」を育む道徳教育や人権教育等の充実、「健やかな体」を育む体育や食育等の充実を通して、心身ともに健康な子どもを育成する。さらに、外国語教育及びプログラミング教育、特別支援教育、キャリア教育や防災教育の充実を図る。
3 教育環境の整備・充実
教職員が子どもと向き合う時間を確保し、新学習指導要領を確実に実施するためには、教育課題に対応するための人的配置が急務である。併せてICT機器の充実などの物的措置も必要である。学校現場での長時間労働の解消を主眼とした「学校における働き方改革」をはじめ、教育環境の整備・充実、学校教育予算の拡充に向けた取組を行う。
4 教職員の資質・能力の向上
教育に携わる者としての強い使命感や情熱、高い倫理観、子どもたちに対する深い愛情を基盤とし、家庭や地域社会から信頼される学校づくりを進め、県民の信頼確保と厳正な規律の保持に努める。
主体的な校内研修体制の充実を図り、教職員の実践的指導力の向上に努めるとともに、教職員一人一人の力を組織的かつ機動的にいかしていく協働体制を確立する。
5 組織力の強化
兵小長は、活動方針のもと会員相互及び各地区・各支部小学校長会並びに幼稚園・保育園所・こども園、中高および特別支援学校の校園所長会との連携を一層密にし、組織の充実と活性化に努める。また、教育委員会をはじめ関係機関や地域社会と連携し、学校が本来の機能を果たせるよう小学校教育に対する家庭や地域社会の理解の促進と啓発に努める。
引き続き、今後の兵小長や兵小研(兵庫県小学校教育研究会)の組織と活動については、兵小長のあり方検討委員会や兵小研理事会において協議し、検証・改善を重ねていく。
〈本部・委員会活動目標〉
1 庶務部
(1) 総会・研修会,代表者会,理事・地区長会等の会合を的確に計画し,会員相互 の連帯が深まる 内容にするとともに,総意の結集に努める。特に、評議員・支部長会にかわる代表者会の運営 については,綿密に計画する。播磨東地区で開催する「総会・研修会」については,運営面の 簡素化を推進しながら,充実した内容を提供できるように努める。
(2) 組織活動の状況を正確に把握し,各部・各委員会の有機的運営を図る。
(3) 教育諸施策の運用・推進について,兵庫県教育委員会・市町組合教育委員会等 の関係機関や全 国連合小学校長会(全連小)・近畿小学校長会協議会(近小協〉等の他団体との連絡・提携を 図る。
(4) 本部・地区・支部間の連絡の緊密化と迅速な情報の交換を行い,会員意識の高揚と組織体とし ての強力な活動の推進を図る。
(5) 中学校長会や私学連合等関係諸団体との連絡・提携を図る。
(6) 第71回兵小長研究大会(神戸大会・西播磨大会)の開催の連絡・調整を行う。
2 会計部
(1) 予算の見直しを行い,効果的・効率的な執行を図るとともに,財政基盤確立のための新規加入会員の協力を求めていく。あわせて将来を見通した適正な経理確立のための調査研究に努める。
(2) 全連小活動を支援し,財政確立に協力する。
(3) 第71回兵小長研究大会(神戸大会・西播磨大会)の開催のための財政確立と適正な予算執行 に努める。
3 経営委員会
(1) 全連小・兵小長の活動方針を踏まえ,教育諸課題の解決に向けた実践的研究を推進し,創 意工夫した教育活動及び学校経営の実践交流を通して,活力に満ちた魅力ある学校づくり に努める。
(2) 本年度より全面実施となる新学習指導要領の趣旨を踏まえて,「社会に開かれた教育課程」 の実現に取り組み,小学校教育の充実に努める。
(3) 確かな学力の定着を図るとともに,豊かな心・健やかな体を育て,教育課程全体を通じで 「生きる力」の育成に努める。
(4) 家庭・地域社会及び関係機関との連携を一層密にし,安全・安心な教育環境づくりに努め る。
★具体的目標
①研究組織としての機能を十分に発揮して,第71回兵小長研究大会(神戸大会・西播磨大会) を意義ある研究協議の場とする。
ア 全連小研究主題「自ら未来を拓き ともに生きる豊かな社会を創る 日本人の育成を目指す小学校教育の推進」を受けて,「夢をもち 未来を創る 心しなやかな子どもの育成」を新たな研究大会主題として研究を進める。
イ 今後の学校経営に生かせるよう,研究大会の成果や課題をまとめ,「経営紀要第51集」を発行する。 ②第71回近小協研究大会を兼ねる第72回全連小研究大会京都大会に積極的に参加する。
②第71回近小協研究大会を兼ねる第72回全連小研究大会京都大会に積極的に参加する。
4 人事給与委員会
(1) 全連小・兵小長の活動方針を踏まえ,学校運営組織の充実強化を期し,教職員定 数・学級編制基準の改善を図るための調査研究活動に努める。
(2) 調査研究活動によって兵庫県と神戸市の人事給与等の実態を把握し,「学校教育の 水準の維持向上のための義務教育諸学校の教育職員の人材確保に関する特別措置 法」の堅持と職責に見合う処遇の改善に向けた取組を進める等,課題の解決に努め るとともに,全連小・近小協の活動に協力する。
(3) 人事給与に関する研修会を実施し,人事給与に関する事項の周知を図り,教職員の 意識改革,意欲向上に努める。
★ 具体的目標〉
① 兵小長関係 ア 会員カード等による各種基礎資料の収集分析を通して教育諸条件の整備充実のため調査研究活動を推進するとともに兵小長活動に調査結果を反映させる。 イ 主幹教諭や加配教職員,再任用教職員の配置状況,へき地校の実態等の調査を行い,教育環境充実のために各方面にわたり反映させるように努める。 ウ 教職員人事給与制度の現状と今後の課題についての研修会を実施する。 エ 兵庫県へき地・複式教育研究連盟の人事給与を中心とした処遇改善に向けた活動に協力する。
② 近小協関係 ア 近畿各府県と人事給与等に関する資料を交換し,情報の把握に努める。 イ 校長と教頭の年齢,経験年数,給与制度等の実態調査を行い,「調査研究第 59集」の編集に協力する。
③ 全連小関係
ア 他府県と教育諸条件整備等に関する資料を交換し,情報の把握に努め,活 動の充実発展に資する。
イ 全連小の諸調査に協力する。
5 調査広報委員会
(1) 全連小・兵小長の活動方針を踏まえ,直面する教育上の諸問題についての調査活動を実施する。 さらに,必要が生じた場合は,これに加えて随時調査を行い,実践的な研究活動を推進する。
(2) 兵小長の目標達成に必要な,会報・資料等による情報の提供やホームページ等による広報活動 を推進し,会員相互の連携強化を図るとともに,活力に満ちた魅力ある学校づくりに努める。
★ 具体的目標
① 兵小長関係
ア 1学期の早い時期,独自に「兵庫の教育」推進上の課題等のアンケート調査を行い,要望書 作成委員会と協力して対県要望書および資料の作成にあたり,会員の要望を反映するように 努める。
イ 会報「兵小長」(153号・154号・155号)を編集発行する。
ウ 兵小長ホームページの更新・充実を本部事務局と連携して行う。
エ 各地区・支部における会員の声や教育に関する課題等をアンケート調査によって収集した資 料を分析して発信し,交流を図る。
オ 転学児童に関する情報交換を正確かつ迅速に行う。
② 近小協関係
ア 小学校教育推進上の課題に関する資料や会報を交換し,近畿各府県の情報の把握に努める。
③ 全連小関係
ア 「小学校時報」「研究シリ-ズ」「特色ある学校便覧」等への寄稿に協力し,それらの購読 を積極的に推進する。
イ 全連小HPへの「特色ある学校紹介」に毎年6校ほどを推薦して,掲載をする。
ウ 全連小の諸調査に協力する。
6 要望書作成委員会
兵小長の活動方針に掲げる活動の重点を踏まえ,新学習指導要領を着実に実施していくとともに, 「学校における働き方改革」を進め,教職員が働きがいのある学校にするため,施策の見直しや人 的・財政的措置が講じられるよう,以下の事項について要望活動を推進していく。
(1)教育委員会と校長会との連携強化
(2)兵庫の教育を担う人材の確保と育成の強化
(3)教育課程の推進に伴う施策の充実
(4)きめ細かな教育活動の推進
(5)実効性のある「学校における働き方改革」の推進(市町組合教育委員会への働きかけを含む)
(6)信頼関係に基づく円滑な学校運営に資する改善
(7)安全・安心な教育環境の整備・充実
(8)へき地教育の一層の振興 なお,緊急に対応する事項が生じた場合は,緊急要望書を作成し提出する。
7 兵小長のあり方検討委員会
平成26年度より権限移譲による県と指定都市神戸の関係性について検討を重ねてきた。2019年度から2022年度までを試行期間とし,組織・活動のあり方について一定の方向性を定めた。神戸地区に集中していた校長会の業務を各地区に分散し平準化することによって,「兵庫は一つ」の理念のもと,よりよい組織づくりを進める。今後は,改革の成果を検証し,一層の見直しを推進する。
(1) 全連小及び他の都道府県・指定都市各小学校長会の動向を注視し,情報収集に努める。
(2) 兵小長の組織・活動のあり方について検証・改善を進める。
(3) 兵小研理事会と連携しながら、兵小研の組織・活動のあり方について検証・改善を進める。
(4)「兵庫は一つ」の理念のもと、2023年度以降の組織・活動のあり方についても検討をはじ める。