11月24日(火)人と自然科2年生32名を対象に農業先進地見学(バスセミナー)を実施しました。この事業は阪神農業改良普及センター様にお世話になり、学校施設では学ぶことのできない先進的な農業の生産現場、園芸植物の普及拠点の見学を通じて見識を深めることを目的として行っています。
今年度の研修先は県立フラワーセンター(園芸植物展示施設)、(株)ネクストファーム(大規模トマト栽培施設)の2か所です。新型コロナウィルス感染対策のため、32名の生徒のために大型バス2台を準備。マスクの着用、手指消毒、座席の間隔を十分あける・・・など細心の注意を払いながら万全の対策で実施しました。
まずは兵庫県加西市にある県立フラワーセンターです。(聞くと多くの生徒が初めて訪れたようです。)今年で開園45年。春のチューリップがとても有名な公園です。
シンボルツリーである樹齢100年ともいわれる欅の木がお出迎えです。
2班に分かれて園内施設の植物の説明をしていただきました。ストレプトカーパス属とウツボカズラ属のナチュラルコレクションに認定されているフラワーセンター。この季節温室に入るとポインセチアと宿根ベゴニアがお出迎えです。
そして、たくさんの開花しているものを見るのが大変珍しいイワタバコ科のスミシアンサを観察することができました。
熱帯ゾーンではソーセージの木を観察し・・・
いよいよ食虫植物ゾーン。ウツボカズラやハエトリソウ、モウセンゴケ類、タヌキモ・ミミカキクサなど様々な種類の食虫植物を観察。
最後はサラセニアの群生を観察しました。中には捕らえられた昆虫がたっぷり入っていますね。
食虫植物は植物同士の競争で弱者に分類されます。そんな食虫植物がなぜ虫を捕まえ、栄養とするように進化したのかを詳しくお話しいただきました。
その答えのヒントは『湿地』だといわれてます。興味のあるい方はぜひフラワーセンターを訪れてみてください。
園芸の展示方法や学校では見られない花に興味を持ったようです。そして植物の生態や特徴を、わかりやすく、面白く説明していただいたので、生徒も興味が持てたのではないでしょうか。フラワーセンターの職員の皆さま、興味深いお話をありがとうございました。
天気がいい中お弁当を食べて、池を眺めながら少したそがれた後・・・
最後の見学先は兵庫ネクストファームです。ひょうご次世代施設園芸モデル団地として整備されているこの施設は、敷地面積8.2haに、中玉トマト、ミニトマト合計9万本を栽培している巨大トマト生産施設です。
施設には手を洗い、消毒し、病気や害虫を持ち込まないようにエアーシャワーを浴びて入ります。
まずは担当の方から施設概要や、環境制御技術、栽培、作業管理体制、販売状況などの説明を受けました。
施設は気温、湿度、二酸化炭素濃度、日射などを制御し、作物の生育環境を最適化して生産性の向上や合理化を図っています。養液栽培のシステムで、もちろん肥培管理もコンピュータ制御となり、データを見える化したICT農業です。
温度、CO2管理のため、栽培しているゾーンの扉はあまり開けられません。特別に10秒だけ見せてもらいました。
先が見えない・・・遠くまで続くこの光景・・・圧巻ですね。
栽培している品種はミニトマトのスプラッシュ・カリーナ、そして中玉トマトの天然水トマト・ごちそうトマトです。
収穫後の調整、袋詰めも機械化と人力を組み合わせた体制です。ちなみにこの施設は、適正に農業を生産している国際的な指標である『GGAP』も取得しています。
他にも溶液タンクや巨大冷蔵庫・・・
さらにこの施設の特徴である、バイオマスエネルギー(木質チップ)を利用したボイラー施設も見学しました。良質な木質チップは多可町から供給されているそうで、冬場LPガスを燃やして暖房したときに発生したCO2は、温室内に送られ、光合成を活発に行うよう環境制御されているそうです。(右のオレンジ色のボイラーがバイオマスエネルギ用です)
今回実施した先進地見学では、普段学校での座学で学んだ内容を実際に自分の目で確かめることができた、大変有意義な時間となりました。今回見学させていただき、ご説明頂いたいた施設担当者の皆さま、そして全面的にバックアップいただいた阪神農業改良普及センター様、本当にありがとうございました。