人と自然科 ひとはく連携セミナー 農業と外来生物との関係について学ぶ

6月21日(金)人と自然科1年生「人と自然」の授業で、今年度3回目となるひとはく連携セミナーが行われました 。1年生学校設定科目「人と自然」の授業では年間8回、県立人と自然の博物館を訪れ、博物館の専門員から、各分野のユニークかつ専門的な講義を直接受講することができます。この日もみんなで歩いて20分。県立人と自然の博物館に向かいます。

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この日は『農業と外来生物~ヒアリを例に~』をテーマに橋本佳明研究員より、外来生物の現状と対策について学びました。

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皆さんは『ヒアリ』を覚えていますか?2017年5月に兵庫県の港でヒアリの国内初侵入が確認されました。その時はマスコミにも連日大きく取り上げられ、皆が警戒し、アリを殺すための殺虫剤も多く売れました。

しかし現在ほとんどニュースになっていません。『もうヒアリが日本に入ってくることはなくなったのかも・・・』それは全くの誤解です。現在も日本中でヒアリの侵入が確認され、2019年2月現在で14都府県、38事例になっており、その脅威は日々増加しています。

少しヒアリについて勉強しましょう。ヒアリはもともと南米原産の外来アリで、1900年代に南米貿易が盛んとなり北アメリカに広がり、その後中国とオーストラリアに広がりました。まさに経済のグローバル化と共に分布域を広げたと言えます。

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そして皆さんご存じの通り、現在貿易の中心は中国。中国から韓国や日本へと生息域を広げています。ということで日本におけるヒアリの発見場所の多くは中国から輸入されるコンテナが入ってくる港湾が半数以上です。加えてコンテナが運び込まれた内陸部の工場でも発見されています。ということでヒアリの日本定着は時間の問題であり、避けられないことだと予測されています。

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また、あまり知られていないのが、ヒアリは農業害虫だということです。(日本はヒアリの対策は環境省が管轄ですが、海外では農林水産省の管轄なのだそうです)実際に海外ではダイズやトウモロコシ、ジャガイモなどへの被害や放牧地への侵入による家畜の被害も報告されており、多くの農地が放棄せざるを得ない状況となっています。ちなみにもし兵庫県にヒアリが定着してしまったことを想定した場合、その被害想定額は2億73万6千円と算出されています。

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橋本先生からはその他の外来生物の侵入例も紹介いただきました。例えばセイヨウオオマルハナバチ。もともとトマトなどの着果をよくする受粉のため、益虫として海外から導入されましたが、農家の管理不足で逃亡、野生化し、競合や雑種化により在来マルハナバチの絶滅化が危惧されています。また有馬高校でも問題化されている害獣アライグマ。ペットとして持ち込まれたものが野生化したもので、狂犬病を媒介する可能性もある危険動物です。

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また園芸や緑化のために持ち込まれた例として、桜の苗木を輸入したときに持ち込まれたクビアカツヤカミキリ、園芸用の山野草として持ち込まれたコマクサ、三田市も含め多くの道端で繁殖しているオオキンケイギクも人の手によって持ち込まれ、現在特定外来生物に指定されている植物です。さらに地域性を配慮しない安易な放流によって、繁殖が困難になったホタルの『国内外来種』の現状も説明いただきました。

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さらに日本が加害者になってる例も紹介していただきました。もっとも有名なものはワカメです。ワカメは日本人は当たり前に食しますが、海外ではただの厄介物。貨物船の運搬時に船の重量調整のため、船内に海水を注排水する海水をバラスト水と言いますが、その海水の中にワカメの胞子が入っていたため、世界中の港に日本のワカメが繁殖し、困っているという例を教えていただきました。

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このようにここでは説明しきれない、メモを取る生徒の手が止まることがないくらい、とても興味深い話をたくさん聞かせていただきました。

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すべては人間の手による人間の利益のために起こっているということを理解することが出来ました。橋本先生、本当に心に残る講義をありがとうございました。最後にクラス全員で集合写真をとりました。

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次回の人博連携セミナーは、9月13日(金)『象と恐竜を比べてみよう』をテーマに、古脊椎動物学がご専門の三枝春生研究員より、講義をいただく予定です。

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