3学期を終えて

校長 西 茂樹

 本校ホームページをご覧いただき誠にありがとうございます。早いもので、平成30年が終わろうとしています。2月28日(木)に40回生の卒業式を終えました。その40回生ですが、神戸大学や岡山大学等の国公立大学や難関私立大学に多数合格するなど、好結果を出してくれています。その粘り強く最後まで諦めずに努力し続ける姿勢が結実したものと考えています。一方、2月の自然科学コース推薦入試に続き、第4学区複数志願選抜を行い、43回生になる158名が合格を勝ち取ってくれました。4月8日(月)に予定している入学式を心待ちにしているところです。
 さて、3月22日(金)に3学期終業式を行いました。その際、生徒達に話したことを記します。

 3年生が卒業し、1・2年生だけの終業式となりました。少し寂しい気持ちもしますが、2年生は最高学年、そして受験生になるという自覚、1年生は学校の中核、そして先輩になるという自覚を持てているかどうか、自問自答してみてください。
 今日は英語から入ります。皆さんは「That′s a moonshot」という英語を知っていますか。知っている人は手を挙げてください。では、どういう意味か分かりますか。ヒントは「moon」と「shot」です。「moon」は「月」、「shot」は「発射」、「moonshot」は、月へのロケット発射という意味です。これをヒントにして「That′s a moonshot」という英語の意味を考えてみてください。
1961年、アメリカのケネディ大統領は、「今後10年以内に人類を月に着陸させ、無事に帰還させる」という声明を出しました。いわゆる、アポロ計画です。この声明が出された当初、不可能に挑戦する馬鹿な奴だ、ということで、「That′s a moonshot」と言われました。しかし、挑戦することに奮い立ち、情熱を掻き立てられるアメリカ国民の国民性を理解していたケネディ大統領は、「容易だからではなく、困難だからこそあえてやるのだ」と発言し、アメリカ国民の絶大な支持を得ました。そして、8年後の1969年に、アポロ11号による月面着陸を成功させました。
よく、「現状より10倍良くする方が、10%良くするよりも容易だ」と言われます。どういうことかと言うと、現状より10%だけ良くしようとすると、どうしても既存の概念ややり方にとらわれてしまい、良いものは産み出されません。それに対して、10倍良くしようとすると、新たな発想や創造力が必要となります。その結果、思いも寄らない良いものが産み出される、というのです。アポロ計画はまさにその産物だったのです。
 「That′s a moonshot」という英語は、最初は「また馬鹿なことをやっている」という意味で使われていましたが、アポロ11号による月面着陸を成功させてからは、「不可能だと思われても、夢に向かって努力すれば、それは叶うのだ」という意味で使われるようになりました。
 10倍をめざす発想、ムーンショットの発想は、人類の歴史を大きく変えてきました。特に、テクノロジーの発達、発明には目を見張るものがあります。例えば、パソコン、スマホは、今から数十年前には到底考えられませんでした。まるで、ドラえもんの四次元ポケットから産み出された夢の道具のようです。ドラえもんが生まれたのは2112年です。100年先からタイムマシンに乗ってやってきましたが、今から100年先にどんなものが産み出されているか想像もつきません。しかし、一つだけ言えることは、これから先、何かが産み出されるとすれば、それを産み出すのは間違いなくムーンショットの発想です。そして、この発想がこれからの社会を大きく変えていくはずです。私は、ここにいる相高生の中から、ムーンショットの発想で不可能を可能にし、これからの社会を大きく変えていく人が出てくれることを強く願っています。
 さて、平成30年度が終わります。この1年間、ここにいるほとんどの人は何かしらの夢や目標に向かって努力してきたことと思います。残念ながら、まだ成果が出ていない人も少なからずいると思います。努力不足なのか、やり方がよくなかったのか、真剣でなかったのか、自己を顧みて改善に繋げてください。往々にして、真剣に、ひたむきに、一生懸命努力すればするほど、行き詰まってしまうものです。そんな時は、10%ではなく、10倍をめざす発想、ムーンショットの発想を持ってほしいと思います。きっと現状を打開するヒントが見つかるはずです。
 今日は皆さんに、「That′s a moonshot」という英語を伝え、いい意味で使える自分、いい意味で使われる自分づくりをめざし、今後、皆さんがさらに飛躍し成長してくれるを期待して式辞とします。