第45回入学式 式辞

 桜花爛漫、相生湾を臨む閑静なこの高台にも、春の到来を感じられる今日の良き日、兵庫県立相生高等学校 第45回生の入学式を挙行するにあたり、大高PTA会長様のご臨席を賜りましたこと、心より感謝しお礼申し上げます。ありがとうございます。
 ただいま、入学を許可いたしました200名の新入生の皆さん、入学おめでとう。また、保護者の皆様、お子様のご入学、誠におめでとうございます。心からお祝い申し上げます。
 新入生の皆さんは、今、不安が入り交じりつつも、将来の夢や相生高校での新しい学校生活への期待に、心弾んでいることでしょう。今日この日に至るまでに、ご家族の温かい愛情や、中学校の先生方の熱心なご指導があったことを決して忘れないでください。その感謝の心とともに、入学後も初心を忘れず、さらに努力を積み重ね、自ら考え、主体的に学ぶ意欲を持ち続け、この3年間で、一層人間的な成長を遂げて欲しいと願っています。
 私ども教職員は、皆さんを心より歓迎し、皆さんが充実した学校生活を送ることができるように、情熱と愛情を持って指導に当たっていきたいと決意しております。

 さて、本校は高度経済成長という社会背景の中、地域の方々の熱い思いが実り、昭和52年に開校し、今年で創立45年目を迎えました。校訓「自律 創造 敬愛」の精神を基調として、こころ豊かな人間性の涵養、主体的に学ぼうとする意欲、激動する社会変化に柔軟に対応する力、地域社会や国際社会に貢献できる人材の育成を目指してきました。この教えの元、本校は、国内外に優れた人材を多数輩出してきました。皆さんは、この歴史と伝統ある相生高校の第45回生としての誇りを胸に、常に志しを高く持ち、夢の実現、目標の達成に向けて学び成長し続けて欲しいと思います。
 今、本校は、「相生高校から世界へ」というスローガンを掲げています。この言葉のように、まずは大きな夢と目標を持ってください。

 これからの我が国は、第4次産業革命が進展し、AI、Iot、ビッグデータなどの急速な技術発展と更なるグローバル化により、産業社会構造が劇的に変化するといわれています。また、「答えのない時代」とも「予測できない時代」ともいわれています。こうした変化に伴い知識や技術も高度化し、それに対応できる人材が強く求められるようになってきます。「高い学力」や「主体的に学び続ける力」ももちろん重要ですが、答えのない、予測できない課題を解決するためには、他者との「協働」が絶対的に必要となってきます。そこで重要となるのが、他者との人間関係・信頼関係を構築するため「人間性と感性」なのです。AIやロボットには無い豊かな感性や表情、人間性を有し、高い学力と高い人間性・人間力を兼ね備えた人材に成長してください。期待しています。

 最後になりましたが、保護者の皆様にお願いがございます。高校3年間というのは、人生の方向を決定する大事な時期であり、その一方で悩み苦しみが大きい時期でもあります。私たち教職員は、お子様が自らの生きる道を、自らの力で切り拓いていけるように、そしてお子様の健全な成長をサポートするために全力で指導に当たっていく所存です。どうか、連絡・連携を密にしていただき、学校と家庭が相互に補完し合う体制をつくって行きたいと思っていますので、ご理解とご協力の程よろしくお願いいたします。
 新入生の皆さんのこれからの学校生活が、安全で安心なもので、かつ実り多きものになることを祈念しまして、入学式の式辞といたします。

令和3年4月8日
兵庫県立相生高等学校長 栗林 秀忠

令和3年度 1学期始業式 式辞

 みなさんおはようございます。
 伝統あるそして、今勢いのあるこの相生高校に着任して、私はとてもわくわくしています。
 春休み中、多くの生徒がコロナ禍にも関わらず、しっかりと挨拶をかわし、かつ礼儀作法もしっかりとできている皆さんに感心させられました。すばらしい学校だとすぐに感じられたことが、今のわくわく感につながっています。
 さて、昨年はコロナウィルスにより、2年生は入学式、3年生は修学旅行の中止、また多くの学校行事の中止や延期、縮小となってしまい、さぞかしつらく悔しい思いをしたことでしょう。先日の早稲田大学の入学式で学長が、「そんな君たちだからこそ、これからの未来を切り拓く強い力・強い心を持っているはずだ。」といっていました。まさにその通りだと思います。皆さんは、辛く悔しい思いを胸に秘めながら、この困難な状況を自分達のアイデアと工夫で何度も難局を乗り越えてきました。例年とは違った形であったかもしれませんが、皆さんは、確実に成長しています。
 この4月に入り、再びコロナは猛威を振るう状況となってきています。変異株の存在も不安をあおりますが、今年度本校は、生徒のみなさんと先生方の協力のもと、しっかりと感染症対策を行いながら、できるかぎり行事を実施して行く予定です。もちろん縮小や内容変更はあると思います。皆さんには苦労をかけるとは思いますが、前向きにとらえ、学校生活を送ってほしいと思います。よろしくお願いします。

 次年度から完全実施される新しい学習指導要領は、近い将来、第4次産業革命の進展によるAIやIoTの急速な発達により、「答えのない時代」が到来することを見越し、探究的な学習、実用的な学習、他者との協働(チーム力)、AIにはない人間性やコミュニケーション能力の育成に重点を当てています。こうした時代の到来は、もう少し先の話だろうと思っていましたが、期せずして、このコロナ禍により、「当たり前が当たり前ではない時代」「全く予測ができない時代」「何が正解かわからない時代」が到来してしまいました。大きな声で挨拶できない。合唱や演奏ができない。楽しく会話しながら会食ができない。帰省したくてもできない。病院にお見舞いにもいけない。
 皆さんにお願いしたいのは、こうした状況でありますが、こんな時だからこそ、後ろ向きにならず、前向きで明るく、強い心をもって欲しいと思います。強い心をつくために、一番重要な事は、人に優しく、人の立場に立って物事が考えられるように訓練することです。挨拶もその一つです。挨拶するにも勇気がいりますよね。人に助けを求めることも重要です。自分のプライドが邪魔しますよね。要するに、自分自信が強がってしまうことの反対をすることこそ、「心を豊かに、そして強くする訓練となるのです」。人は、あるいは脳はそういう風にできています。

 最後に、2年生は中堅学年として、また進路決定に重要な年になります。3年生は部活動も最後の大会を控え、そしていよいよ進路実現の年になりました。「進路の手引き」にも、進路実現のためには、最後の最後まで諦めず、「目標を勝ち取る!」という強い意志・心を持ち続けることだと書いてあります。やはり、「強い意思・強い心」です。以上のことを念頭に置いて、この一年間頑張ってください。

令和2年度3学期始業式校長式辞全文

 皆さん、明けましておめでとうございます。
  新しい年が始まりましたが、コロナが終息する兆しが全く見えません。昨年に引き続き、このような形で行います。しっかりと聞いて下さい。  
 今日は「人まねのすすめ」を話します。皆さんは、赤ちゃんがどのようにして言葉を覚えていくのかを知っていますね。両親や兄姉、年長者のまねから始まります。親も、自動車のおもちゃを持って、これは「ブーブー」などと言います。子どもがそれをまねして「ブーブー」と言うと親は大変喜ぶので、ますます自動車イコール「ブーブー」がすり込まれていきます。
 小学生はどうでしょうか。ひらがな、漢字、かけ算、どのように覚えていきますか。先生のまねからスタートします。中学生になり、部活動が始まります。自分の好きな選手のフォームをまねしたり、好きなチームのウェアを着て、リスペクトなどしたりしますね。
 このように、自分の好きな人を「まねて形から入る」ということは、人間の進歩の根幹をなしてきていると言えます。「まねる」が変化して「まねぶ」、そして「まなぶ」になったと言われています。
  僭越ですが、私の話をします、私が高校生の時、ある社会の先生に出会いました。その先生は面白くて、授業を熱心に教えて下さいました。私もあのような先生になりたいと思い、その先生の人まねをするようになりました。大学を卒業して、高校の教員になり、何度か指導を仰ぎ、また悩みも相談しました。生徒としてだけではなく、教員としても沢山のことを教えていただくことができました。今度は私が教えた高校生が、私のまねをしてくれるようになりました。今では、中学や高校の先生、部活動の顧問として活躍する卒業生が沢山います。教員として、こんなに幸せな経験はありません。
 皆さんも、まず最初は憧れの人や、尊敬できる人のまねから始めてみてはいかがでしょうか。そして、その師匠を超えていくのです。「青は藍より出でて、藍より青し」という言葉があります。「青い色は藍という草から絞り込んでできたものですが、それはもとである藍よりもさらに青い」ということです。「門人が師よりも一歩進んだ修養ができている」「努力によって修養を高めることができる」という意味です。
 「藍より青い」をひとつご紹介します。「呑牛の氣(どんぎゅうのき)」。これは、私が担任をした生徒が教員となり、その彼から新年の賀状をいただきました。「呑牛の氣(どんぎゅうのき)」、牛を丸呑みにするほど大きな心意気という意味から、やる気に満ちあふれていることをあらわすそうです。皆さんも、コロナ禍でも、ぶれない充実した高校生活を歩んでほしいと願い、エールを送ります。
  ここまで、「人まねのすすめ」の話をしてきました。皆さんも自分が尊敬する「人のまねをすること」からスタートし、「藍より青い」人間になることを目指して、頑張っていきましょう。私の話は以上です。

令和2年度2学期終業式校長式辞全文

 皆さん、おはようございます。令和2年度の長い2学期が終了します。新型コロナウイルス流行の影響が終息する見通しが全く立ちません。一斉に体育館に集合できません。このような形式で行わなければならないことは非常に残念ですが、仕方ありません。よく聞いてください。  
 新型コロナウィルスが流行して、10ヶ月が過ぎようとしています。皆さんには、三密を避け、マスク着用と、うがい・手洗いをお願いしています。新しい生活様式も次の3のことをお願いします。  
 まず、感染源を絶つこと。発熱等の風邪症状がある場合には、登校せずに、自宅で休養すること。冬期休業中でも、毎朝検温し、健康状態を確認してください。家族に風邪症状があっても、無理をせず、自宅で休養してください。
 次に、感染経路を絶つこと。新型コロナウイルスは、一般的に飛沫感染と接触感染で感染します。 飛沫感染は、くしゃみ・咳・つばなどと一緒にウイルスが放出され、他者がそのウイルスを鼻や口から吸い込んで感染します。接触感染は、感染者がくしゃみや咳を手で押さえた後、その手でドアやスイッチなど物に触れるとウイルスがつきます。他者がそれに触れるとウイルスが手に付着し、その手で鼻や口を触ると粘膜から感染します。特に現在、無症状の感染者が多発しています。感染経路が不明のため、原因を特定できなかったり、集団感染が起きたりします。  
 また、コロナウイルス陽性者の濃厚接触者は、2週間の外出禁止となります。特に、マスクをはずして、話していると、その可能性は極めて高くなります。無症状で外出禁止となると、退屈な2週間となります。年末年始は、親戚が集まり、世代を超えて賑やかになります。感染予防に努めましょう。  
 3つめは、抵抗力をつけること。免疫力を高めるために、「十分な睡眠」「適度な運動」「バランスの取れた食事」を心掛けましょう。
 私が、2学期で一番印象に残っていることは、11月4日に衆議院議員の山口壯氏を招いて令和2年度創立記念国際理解の講演です。今しておくべきことに、「小説を読んで人間の幅を広げること」「きちんとした英語を身につけておくこと」をあげられました。 読書をするとき、脳は特別な使い方をされるため、創造力が鍛えられます。 小説を読んでいるときの脳は現実の出来事に対するときとほぼ同じ働きをしていて、脳は小説で読んだ出来事と現実での経験をほとんど区別せずに処理しているそうです。小説は、現実世界で起こりうる出来事をシミュレーションすることに役立ちます。  
 また、小説は共感力を育むことにも役立ちます。小説を読むということは、すなわち他人の視点に立って、物事を眺めるということです。 さらに、著者との対話です。著者がどう考えているのか、どう感じたのか。自分以外の視点でものを考えることができるようになります。本を多く読んだ人は、多くの視点を持っています。広い視野を持つことで、周りの人とは違うユニークな価値を提供できます。 読解力も高めます。読解力は今のところAI(人工知能)には習得が困難な能力のため、読解力の高い人はAIに仕事を奪われないだろうと考えられています。  
 最後に、山口氏も語られていた、英語です。英書を読むことは英語の学習に最適です。最低限の文法さえ知っていれば、容易に理解できます。英書を一冊通読すれば、長文の試験問題が短く感じられたり、英文に対する抵抗感が少なくなるでしょう。今後、皆さんが社会で活躍する時代は、ボーダーレスとなり、あらゆる言語が飛び交う世の中になるでしょう。  年末年始、不要不急の外出は自粛しましょう。時間のある人は本を読んで自分力を高めましょう。  
 3年生は、自己実現に向けて、もう一踏ん張りです。応援しています。3学期は元気な姿で登校してください。以上、2学期の終業式の式辞といたします。

2学期始業式 式辞

 皆さん、おはようございます。1学期が終わって3日目ですが、気持ちを切り替えてください。梅雨も明けて、大変暑いです。少しだけ、時間をください。体調の悪い人は座っても結構です。
 手短に、3つのことを話します。よく聞いてください。
 1つめは、今日から3日間は、期末考査の返却を中心に行われます。結果に一喜一憂するのではなく、どのように準備して成果はどうだったのか。を知る大事な機会となります。次に活かすために、どのように計画するか、途中で修正も、改善もあるでしょう。これが反省ということです。悪いことばかりではなく、いいことについて振り返ることも大切です。
 2つめは、2学期は、もともと4ヶ月ですが、さらに5ヶ月と長くなります。体育大会やフォーラム、球技大会、オープンハイスクールなど行事を計画しています。それらを成功させるためには、「With Corona」。新型コロナウイルス流行の影響の下、感染予防を徹底して、日常の学校生活を徐々に取り戻していきたいと考えています。そのためには、みなさんがルールやマナーを守り、前を向いて進んでほしいのです。
 3つめは、地域の方からご意見を頂きました。登下校中ですが、残念ながら、あいさつをしても、返事が返ってこない人がいるそうです。相生高校は地域との連携を行い、素晴らしい評価を頂いています。地域住民との良好な関係を継続していくためには、しっかりとあいさつをしましょう。あいさつは、相手を認める。自分も相手に認めて頂く、という大切なコミュニケーションです。家族、友達、先生、多くの方々に支えられて生きています。すすんであいさつすることを希望します。
 未来をつくっていく皆さんは、相生高校で多くのことを学び、吸収して、共に順調に、快調に、成長して行きましょう。以上、2学期始業式の式辞とします。

1学期終業式 式辞

 皆さん、おはようございます。期末考査が終了しました。お疲れ様でした。
 1学期の終業式も、このような形式で行わなければならないことは非常に残念ですが、仕方ありません。よく聞いてください。
 令和2年度は4月に始まったことになっていますが、実際に学校がスタートしたのは6月で、通常授業になったのは6月15日からでした。この1学期には様々な事があったり、なくなったりしました。特に部活動で頑張ってきた多くの皆さんにとっては、大会や公演が次々に中止や延期になり、悲しい思いをした人が沢山いたと思います。しかしこのような状況の中でも、できることにしっかり取り組んできた皆さんがいたことを私は知っています。与えられた条件の下で、仲間とともに成長してきた皆さんのことを誇らしく思っています。よく頑張ってきました。

 さて、今の世の中には、心配や不安がたくさん存在しているように思えてしまいます。新型コロナのような感染症、大雨による甚大な被害、地震や火山の噴火などの自然災害などです。なぜこのような不安を抱えてしまうのでしょうか。その原因は二つあります。
 一つはメディアの報道です。現代は世界中の情報が、短時間のうちに映像として配信される時代です。もう一つは、たくさんの人やモノが世界中で移動することによって、経済が活性化してきた実態があります。これがストップすると、途端に多くの国や企業が立ちゆかなくなります。このような不安定な予測のつかない時代に私たちは生きています。では、皆さんの将来はどのようになっていくのでしょうか。皆さんに一つ伝えたい言葉があります。 「過去は変えられないが、未来はつくることができる」
 つまり、「未来への道を切り拓く力」をつけてほしいのです。
 例えば、身近な自動車について考えてみましょう。江戸時代の地上での交通機関は徒歩か、カゴ、馬に乗るくらいでしょうか。現在はガソリンエンジンの自動車が多いですが、数年後には電気または水素で動くと予想されます。化石燃料を使用せず、排気ガスも出しませんから、環境に優しい乗り物です。また、自動運転も実用化が見えてきました。交通事故が激減するでしょう。科学技術の進歩により、我々の生活はどんどん良い方向に変わっていくでしょう。それらを開発して、利用して、楽しむのは、皆さん方に間違いありません。
 最後にもう一つ、今回皆さんに是非伝えておきたいことがあります。相生高校の先生方のご尽力です。前例のない事態に対応して、先生方は多くのアイディアを出して、何度も会議を開き、実践し、皆さんを引っ張っていってくれました。これからも何かあれば、先生方に遠慮なく相談して下さい。未来をつくっていく皆さんは、相生高校で多くのことを学び、吸収して、共に順調に、快調に、成長して行きましょう。以上、1学期終業式の式辞とします。

入学行事 校長訓話

 ただ今、入学を許可いたしました二百名の新入生の皆さん、入学おめでとう、教職員一同、心からお祝い申し上げます。保護者の皆様、本日はお子様のご入学、誠におめでとうございます。心からお祝い申し上げます。
 本来ならば、来賓ご臨席の下、盛大に入学式を挙行すべきところではございますが、新型コロナウイルス流行による緊急事態宣言を受けて、新入生説明会という形で開催させていただきます。どうかご理解を賜りますようお願い申し上げます。
 さて、新入生の皆さんは、不安が入り混じりつつも、輝く希望と期待に心弾んでいることでしょう。相生高校での新しいスタートの喜びは、皆さんの努力の賜物であります。3月、新型コロナウイルス流行による突然の休校。入試に臨むにあたり不安は底知れないことだったと察します。しかし、その試練を乗り越えた今、皆さんは相生高校で学ぶことを選択しました。ここに至るまでに、ご家族の温かい愛情や、中学校の先生方の熱心なご指導があったことを決して忘れず、感謝するとともに今日は、皆さんの自ら学び、自ら成長を願う決意を改めて確認する場であり、ここにおられる多くの先生方や保護者に対する宣誓を示すものであります。
 「春風や 闘志抱きて 丘に立つ」
 この高浜虚子の俳句は、時代を超えて心に響く句であると思いますが、今、皆さんの心はいかがでしょうか? 意欲に燃えていますか。
 人間は、誰しも楽をしたいと思います。でも、今の自分をもっとよくしたい、向上させたいという気持ちがあることも事実です。入学式はこのような気持ちの切り替えに一役買ってくれる機会でもあります。
 さて、本校は高度経済成長という社会背景の中、地域の方々の熱い思いが実り、昭和五十二年に開校しました。国内外に優秀な人材を多数輩出いたしております。周囲を、緑豊かな木々に囲まれた閑静な高台に位置し、眼下には、相生の町並みや波穏やかな相生湾を臨むことができます。皆さんはこの恵まれた教育環境のもとで、人生で最も意義深い、青春の三カ年を送ることになります。この大切で貴重な時期を本校で学ぶ皆さんにひとつお話します。
 第35代アメリカ合衆国大統領である、ジョン・F・ケネデイ大統領が、1961年1月20日、大統領就任演説で話した言葉です。
 「我が同胞アメリカ国民よ、国が諸君のために何が出来るかを問うのではなく、諸君が国のために何が出来るかを問うてほしい」
 私はこの演説を次のように言い換えたいと思います。「新入生の皆さん、相生高等学校が皆さんのために何が出来るかを問うのではなく、皆さんが相生高等学校のために何が出来るかを問うてほしい」
  相生高校を作り上げてきたのは、生徒の皆さん、先生方、同窓会、PTAの皆様、地域の方々、その他大勢の皆様です。長い伝統がこの環境を作り上げてきました。皆さんは入学当初は戸惑うことも多いでしょう。しかし、相生高校から与えられることだけで満足していては、それ以上の進歩はありません。主体的・対話的で深い学びをしていくためには、自ら学び取る姿勢が必要です。これまでの先輩方が築きあげてこられたこの相高という環境を、自分の力でさらに発展させてほしいと願っています。皆さんは、この歴史と伝統ある県立相生高等学校の第四十四回生としての誇りを胸に、常に志を高く持って、夢の実現、目標の達成に向けて学び成長し続けてほしいと思います。
  最後になりますが、保護者の皆様にお願いがございます。高校の三年間は、人生の方向を決定する大事な時期であり、その一方で悩みや苦しみが大きい時期でもあります。私達教職員は、お子様が自らの生きる道を、自らの力で切り拓いていけるよう、全力で指導に当たって参りますが、お子様の健全な成長を願い、豊かな個性を育てていくためには、学校と家庭がそれぞれの役割を果たしながらも、相互に補完し合い、連携を密にしていくことが重要であると存じます。どうか、本校に対するご理解ご協力、そして信頼をよろしくお願い申し上げます。
 新入生の皆さん、本校の校訓「自律」「創造」「敬愛」のもと、知・徳・体の調和のとれた、心豊かに、高い志を抱き、未来を主体的に切り拓いて行く人間として成長していくことを期待し、訓話とします。
              令和二年四月八日 兵庫県立相生高等学校長 小西信吾

1学期始業式 式辞

 皆さん、おはようございます。令和2年度が始まりましたが、前回3学期の終業式に引き続き、1学期の始業式をこのような形式で行わなければならないことは非常に残念ですが、仕方ありません。よく聞いてください。
 新型コロナウィルスが今後どのように蔓延し、いつ頃どのように収束していくのか、今のところ分かりません。このことにより、皆さんの相生高等学校での学校生活には、多くの面で不自由な、良くない影響が今後も予測されます。皆さんが学習に、部活動に十分打ち込める環境を整えていくために、三つのお願いをします。
 まず一つ目は、自分が感染しないということです。当たり前の事ですが、誰しも自分が感染するとは思っていません。マスコミで報道される感染者数や感染が拡大している地域のニュースを見ても、実感がわかないのではないでしょうか。実際相生市では感染者はありません。しかし著名な芸能人やスポーツ選手の感染が報道されると、ああ、あの人もか、と少しは実感が湧くかもしれません。手洗い、うがい、マスクの着用等を行うことと、三つの密 密閉空間、密集場所、密接場面を避けることを徹底して、まず自分が感染しないということに重きをおいてください。
 二つ目は、次のように考えてください。自分は既に感染しているが、自覚症状がないだけである状態であると。肝心なことは、他の人にうつさないようにすることです。今回の新型コロナウィルスで亡くなっている方は、圧倒的に高齢者と基礎疾患の方々です。とすると、若い皆さん方は、自分は感染しないとか、自分は感染しても死んでしまうことはないだろう、と思いがちです。しかし、もし自分が既に感染しているとするならば、知らないうちに、無意識のうちにウィルスをばらまいていることになります。そして自分は症状がなく元気であるが、自分の周囲の高齢者や持病のある人たちの命を奪ってしまうかもしれない。だからこそ、人にうつさない行動を取ってもらいたいのです。休日に多くの人が集まる密閉空間へ出かけていくことを控えるということには、このような意味があると思います。
 三つ目は、今まで気がつかなかったことを、理解し、実行することです。新型コロナウィルス流行により、時差の登下校、時間割となります。休み時間も学年でずれます。教室移動は静かに行うこと。掃除の時間もずれます。机の移動も、椅子を逆さにして、机の上に置き、引きずらず、持ち上げ、音を立てずに行う。不要不急の外出の外出は控えるということ。時間がたっぷりあるということです。家庭学習、体力作り等自主的に行っても、時間は余りあります。例えば、食事の配膳、風呂掃除、洗濯物干し・取り入れ等家の手伝いを積極的にする。家族の負担が軽減でき、幸せにする。登下校の交通事故に遭わないように、道を譲る。駅待合マナー・電車乗車マナーに気をつける。全車両に分かれて乗車する。栄養を摂って自己管理を徹底する。不摂生により体調を崩して、病院に行く。新型コロナウィルス流行により、病院スタッフはストレスが溜まっていらっしゃる。余分な仕事を増やすなど、迷惑を掛けない。身のまわりで、気づくことはたくさんあります。細かな点に留意すると、周囲の人、地域の人、社会を幸せにする行動を取ることができます。小さなことから、積み重ねると、この危機を乗り越えられ、明るい社会が戻ることを信じて、生活しましょう。皆さんは必ず成長します。
 先生方も、この休業中、いろいろな事を考え、皆さんの登校が始まるときに備えて、準備をしてきました。一緒になって、この困難な時期を乗り切っていきましょう。
 令和2年4月8日 兵庫県立相生高等学校長 小西 信吾

令和元年度3学期終業式

 皆さん、おはようございます。今年度の3学期の終業式をこのような形式で行わなければならないことはまことに残念です。
 精一杯のお話をしますので、よく聞いてください。
 まず、2月28日の卒業式は全員マスクを着用という光景でしたが、来賓や保護者の方々から「素晴らしい」と褒めていただきました。ありがとうございました。来年は、また再来年は皆さんが在校生にお祝いいただけるように相高生として後輩たちに模範を示してほしいと思います。
 また、卒業生は国公立大学の入学試験を終え、続々と合格の報告を受けているところです。
 次に、皆さんです。3月3日から20日間、臨時休業が続きます。この間、どのような生活を送ってきたでしょうか。最初のうちは休校と聞いて「嬉しいな」という感想を持ったかもしれません。しかし、だんだんと学校に行かない、行けないということがこんなに大変なことだという思いに変わってきたと思います。
 さて、3学期の始業式に、エイミー・モーリンさんの「メンタルの強い人」の話をしました。「時間を無駄にしない。孤独を怖がらない」ということでした。この20日間いかがでしたでしょうか。
 通常の長期休業であれば、当然補習や部活動などで、登校することがあるでしょう。しかし今回は、補習も部活動も自粛と言うことで、これまで頑張ってきた皆さんにとっては大変つらい思いをしたと思います。
 普段当たり前に存在しているものが、なくなってみて、その存在のありがたみを思い知るものです。
 病気をした人ほど、健康のありがたみが身にしみます。先生方も生徒の皆さんがいないことで、どれだけ寂しい思いをしてきたことでしょうか。毎日、通信を発行し続けられた、その思いは計り知れません。
 今回の臨時休業は確かにピンチです。しかし、皆さんならこれをチャンスに変えていくことができると信じます。明けない夜はありません。止まない雨もありません。通常の学校活動が始まったときから、そのありがたさを感じつつ、これまでの休業分を取り返すために、集中して学業に部活動に取り組んでいきましょう。

兵庫県立相生高等学校長 小西信吾

第四十一回卒業式式辞


 石(いわ)走る 垂水の上の さわらびの 萌え出づる春に なりにけるかも
 万葉の時代、志貴皇子(しきのみこ)は高らかに春の訪れを歌い上げました。そして今、相高坂にも芽生えたばかりの早蕨の姿があることでしょう。
 この佳き日に、相生市長 谷口 芳紀 様をはじめ、多数のご来賓、保護者の皆様のご臨席のもと、第四十一回卒業証書授与式を挙行できますことに、心から感謝いたしますとともに厚くお礼申し上げます。高いところからではございますが、心よりお礼を申し上げます。本日はまことに有難うございました。
 第四十一回生百九十七名のみなさん、ご卒業おめでとうございます。これまでのみなさんの努力を心から讃えたいと思います。
 「Road」、皆さんが歩んできた道は山あり、谷ありでしたが、道から外れそうになると先生方が導いてくださりました。しかし、差し伸べる手も徐々に減り、今、皆さんは立派に成長し、この学び舎から前途洋々と旅立たれます。
 次のステージへと進まれる皆さんに、二つの話をして、餞の言葉とします。
 1つ目は、「物事の見方は一通りではない」ということです。
 今年のNHK大河ドラマは「麒麟がくる」というタイトルで、明智光秀を主人公としたものです。皆さんは明智光秀と聞くと、どんなイメージを持ちますか。頭はいいが、陰湿で繊細な男だったので、織田信長とソリが合わずにいじめられ、それを逆恨みして本能寺で謀反を起こした、というものではないでしょうか。しかし、この光秀像は基本的に江戸時代の資料がもとになっています。信長側や家康側から見た資料や文献は「光秀は逆賊である」という発想からスタートしているので、そこには客観性が欠如しているのではないでしょうか。今年の大河ドラマでは、これまでにない明智光秀像を見せてもらえるものと期待をしています。皆さんも物事を見るときに、一つの方向だけから見るだけではなく、鳥の目、虫の目といった複数の目をもって見る姿勢を身につけてもらいたいと思います。
 二つ目は、「地球に優しく」ということです。
 昨年、吉野彰さんがノーベル化学賞を受賞されましたが、これはリチウムイオン電池の開発に対しての受賞でした。軽くて、安くて、何回も充電ができる電池の発明は、様々な分野に多大な貢献をもたらしています。しかし、リチウムイオン電池の原料であるリチウムという金属はどこにでもあるものではありません。また、地球上に無限に存在するものでもありません。人間はこれまでにないスピードで、地球にある化石燃料や地下資源を消費し続けています。大気中に放出される地球温暖化ガスによる、気候変動や異常気象も気になる点です。さて、SDGsという言葉があります。これはSustainable Development Goals の略号で、日本語では「持続可能な開発目標」と呼ばれています。2015年9月に国連サミットで採択され、2016年から2030年までに世界中で取り組むように決められたものです。この中で大切なことは、Sustainabl持続可能という言葉です。各国が自分の国だけの経済発展を目標にすることは間違っています。持続可能で、地球に優しい発展でなければなりません。私たち大人が皆さんの若い世代に対して、良い地球をバトンタッチできているのか、甚だ疑問です。実際にスウェーデンの環境活動家グレタ・トゥーンベリさんは国連気候行動サミットで、地球温暖化対策に本気で取り組まなければ、あなたたちを許さないと大人たちを叱責しました。我々大人も頑張りますので、皆さんの世代が社会の中心となる時代には、是非地球に優しい社会を作り上げてほしいと願っています。
 最後になりましたが、保護者のみなさまには、この三年間、ときには厳しくときには優しくお子様を励まし支えていただくとともに、本校の教育活動に深いご理解とご協力をいただきましたことに心から感謝申し上げます。有難うございました。
 石(いわ)走る垂水の上のさわらびの萌え出づる春になりにけるかも
 滝のほとりに一斉に芽を出した早蕨は、今日巣立つみなさんです。
 みなさんには使命があります。始めて顔を出した早蕨のように、新鮮な目と心でこの世界と出会い、新しい未来を切りひらいてください。
 自分を大切に。人を大切に。そしてふるさとを大切に。
 ふるさとは相生であり、日本であり、世界です。
 どうぞみなさんの前に広がる未来が幸多いものでありますように。心から祈念しまして式辞といたします。

令和二年二月二八日

兵庫県立相生高等学校長  小西 信吾