令和元年 2学期始業式 式辞

 7月20日、1学期の終業式の後、「自転車マナーアップキャンペーン」や「塩場菜(しばな)再生ボランティア」「おもしろ科学実験教室」「オープンハイスクール」など、地域と連携した活動に感謝します。また、補習やインターンシップ・宿泊研修など頑張っている姿も輝いて見えました。オープンハイスクールも、中学生に対し、優しく接してくれました。アンケートは生徒・保護者・引率の先生いずれもとてもよい評価でした。ありがとうございます。
 ギリシャの哲学者アリストテレスは幸福を人生の究極の目標と捉えました。ある調査機関は、何が幸福か調べました。所得・健康・人間関係・学歴?人それぞれですね。これらに共通することが達成感を感じることだそうです。自分の進路選択において、自己決定を行った者は、そうでない者より、前向き思考が強く、不安感が低いことがわかりました。すなわち、自己決定度が高いほど幸福感も高い。なぜ、自己決定度が高ければ、不安感が低いのか?自己決定を行うことは、進路に対する自己責任意識を高め、成功したときの満足度が高くなります。また、長い道のりの中で、小さな失敗もあるでしょう。失敗したときの結果責任が強く意識されます。自らの力で失敗したという意識は、自らの力で失敗から立ち直る力になり、結果として成功を手に入れたときの自信につながります。自己決定により、失敗から立ち直った経験を持つ者は、失敗することに対する不安感も少なくなり、むしろ、失敗が、より大きな成功につながることを経験することになります。自己決定を行い、失敗を繰り返し、そこから成功する力を自ら手に入れることによって、人はより多くのことにチャレンジできる力を身につけていくことになります。このような力を持った者が、長期的に社会で成功していくことになるのです。
 さあ、2学期が始まりました。長丁場です。みなさんにとっても成長する大切な時期です。今、君たちは高校生です。チャレンジすることに社会的責任は問われません。自己決定に向けて、果敢にチャレンジしてください。先生方はしっかりとサポートします。期待し、応援します。

令和元年度1学期終業式 校長式辞

1学期の終業式を無事に迎えることを大変嬉しく思います。43回生が入学し、相高祭や球技大会など行事を成功させることができたのは、皆さんの力が思う存分に発揮できたからだと思います。
 では、皆さんに問題を考えてもらいましょう。
 
問題 次の命題は真か偽か。
  すべての科目の定期考査で、「良い」点数を取ることは簡単である。
自分で、正しいか、誤りか、を考え、次にその理由を二つ考えてみましょう。
 ①正しい か 誤り か
 ②理由に正当性があるか。
 (答)すべての科目の定期考査で、「良い」点数を取ることは簡単である。
 (理由)範囲が決まっているから
でも、私はいくら勉強しても、「良い」点数が取れたとがありません、という人は多いですよね。
なぜでしょう。そこには、間違いが二つあります。
 ①作戦がまちがっている。
 ②練習が足りない。

ここで、A高校の野球部を強くする作戦を考えてみます。 
まず条件は・・・
 ①ピッチャーは球速はないが、コントロールは良い。
 ②守備はうまくないが、うまくなるには時間がかかる。
 ③打撃もよくないが、打つのが好きな選手が多い。
 ④他のクラブとの関係で、放課後にグラウンドを使えるのが週に三回しかない。
この条件で強くするにはどうすればよいでしょうか。
 長所を伸ばす。
 短所を目立たなくする。
 選択と集中だ。
つまり、
 ①ピッチャーはコントロール最優先で行く。
 ②守備は仕方ないのである程度目をつぶる。
 ③打撃は最優先で、早朝練習やバッティングセンターも使う。
 ④グラウンドが使える時のメニューは、分刻みのものを選手が作る。

えっ、これってどこかで聞いたことのある作戦では?
その通り。東京の開成高校野球部の作戦です。
開成高校野球部がすごいのは、この作戦で、迷いなく徹底的に練習したこと。そして、開成高校野球部の目標は、甲子園に出ることではなく、地区大会でベスト16に入ること。実際、見事達成してしまいました。

これを定期考査に置きかえてみます。
定期考査で「良い」点数を取るためには?
 ①作戦 テストに出る(出そうな)ところは全体の中のどの部分かを正しく分析する。
 ②練習 その部分を中心に、時間をかけて記憶する。
私が今まで点数が悪かったのは・・・
 ①作戦ミス テストに出ない(出なさそうな)ところも全て勉強しようとしていた。
 ②練習不足 勉強時間が少ないし、嫌いな教科は全くする気にならなかった。

作戦ミスと言われても、テストに出るところが分かりませんという人がいるかもしれません。
自分でできないことは、他の人の助けを借りましょう。
 ①教科の先生
 ②友人 できれば賢い友人
 ③塾の先生
練習不足と言われても、
 ①勉強時間は増えません。
 ②嫌いな教科は嫌いです。
どうすればいいでしょうか。
 ①まず、スマホを解約する。
無理です。9時以降はLINEをしないように決める。
 ②数学なんて教科書を開けることすら嫌いです。
数学の面白さと必要性を自分のものとして捉える。

まとめ
①目標を立てます。
②現在の条件を確認します。
③作戦を立てます。
④自分の限界まで努力します。
⑤目標が達成できたか。
⑥達成できなかった原因を探ります。
⑦次回の目標、作戦に生かします。

次に、皆さん10年後の社会はどのようになっているのでしょう。
VUCA(ブーカ)WORLD が到来すると言われています。
V volatility      変動性
U uncertainty     不確実性
C complexity      複雑性
A ambiguity       曖昧性
では、どうすればよいか。どのような力をつける必要があるか。
①不確実な時代で副作用があるかもしれないけど、意思決定できる力
②仮説検証スピード力
③多様性受容力(専門外や違う意見を受け入れる)
④開発力(学ぶ力を自ら切り拓き、強みを増やす力)
⑤課題設定力(自分で課題を設定し、先見性を持つ)
⑥変化抽出力、変化適応力

 最後に、一番大切なことは、自己効力感(世の中の役に立つ自信)だと思います。大学受験だけではなくて、職業観、人生設計まで見通して、考えてください。夏休みに様々な経験をして、「やればできる」自分を磨いて2学期の始業式に元気な姿で会えることを楽しみにしています。

第43回 入学式 式辞

 桜花爛漫、春の到来は、森羅万象の躍動感を感じます。
 その今日の良き日に、相生市教育次長玉田直人様、PTA会長佐伯敦様をはじめ、多くのご来賓のご臨席を賜り、保護者の皆様のご出席のもと、ここに兵庫県立相生高等学校第四十三回入学式を挙行できますことを、心から嬉しく思います。
 ただ今、入学を許可いたしました百九十八名の新入生の皆さん、入学おめでとう、教職員一同、心からお祝い申し上げます。また、新入生の皆さんは、不安が入り混じりつつも、輝く希望と期待に心弾んでいることでしょう。相生高校での新しいスタートの喜びは、皆さんの努力の賜物でありますが、ここに至るまでに、ご家族の温かい愛情や、中学校の先生方の熱心なご指導があったことを決して忘れず、感謝するとともに今日の入学式は、皆さんの自ら学び、自ら成長を願う決意を改めて確認する場であり、呼名に対する皆さんの返事は、ここにおられる多くの先生方や保護者に対する宣誓を示すものであります。
 本校では、「確かな学力」の確立、「豊かな心」の育成を図るため、相生市はもとより、大学や企業等との連携を密にしながら、課題研究をはじめ、探求学習を多く取り入れるなど、教育活動の充実に努めております。この環境のもとで、若者らしく、何事にも果敢に挑戦し、将来の夢や進路希望を実現するべく、高校生活の第一歩を踏み出してください。
 さて、本校は高度経済成長という社会背景の中、地域の方々の熱い思いが実り、昭和五十二年に開校しました。国内外に優秀な人材を多数輩出いたしております。周囲を緑豊かな木々に囲まれた閑静な高台に位置し、眼下には相生の町並みや波穏やかな相生湾を臨むことができます。皆さんはこの恵まれた教育環境のもとで、人生で最も意義深い、青春の三カ年を送ることになります。この大切で貴重な時期を本校で学ぶ皆さんに三つのことを希望します。
 一つ目は、「高い志を持ち続けてほしい」ということです。自分の志を立て、それに向けて具体的な目標を持つことは、自分を律し、生活を充実させる基盤となります。皆さんは高校生活三カ年の延長線上に、将来どのような人生を生きるかということを具体的に考えているでしょうか。どのような職業に就き、社会にいかに貢献していくかを考えておくことによって進路も明確なものが見えてきます。本校での充実した学びを通して自己認識を深め、自己実現をめざして、高い志を持ち続けながら、本校校訓の「自律」する精神を養ってください。
 二つ目は、「確かな自分を作り上げてほしい」ということです。世界はグローバル化時代を迎えています。あらゆる知識や技術は日進月歩で、おびただしい情報が世界中に氾濫しています。一方、悲惨な事故や事件が世界中で後を絶ちません。皆さんが心豊かに生活するためには情報に流されたり、惑わされたりせず、主体的に行動することが大切です。国際的な広い視野に立って、柔軟なものの見方、考え方を持ち、善悪・真偽を正しく判断できる確かな自分を「創造」してください。
 三つ目は、「良き友を得てほしい」ということです。良き友とは、ともに喜び、ともに悲しみ、ともに高めあうことのできる真の友人です。目標に向かって切磋琢磨し合う中に友情は育ち、一生皆さんの力になります。部活動やクラスでともに、心身を鍛えるとともに、かけがえのない友、「敬愛」を育んでください。
 最後になりましたが、保護者の皆様に一言ご挨拶申し上げます。本日はお子様のご入学誠におめでとうございます。心からお祝い申し上げます。高校の三年間は、人生の方向を決定する大事な時期であり、その一方で悩みや苦しみが大きい時期でもあります。私達教職員は、お子様が自らの生きる道を、自らの力で切り拓いていけるよう、全力で指導に当たって参りますが、お子様の健全な成長を願い、豊かな個性を育てていくためには、学校と家庭がそれぞれの役割を果たしながらも、相互に補完し合い、連携を密にしていくことが重要であると存じます。どうか、本校に対するご理解ご協力、そして信頼をよろしくお願い申し上げます。
 新入生の皆さん、本校の校訓「自律」「創造」「敬愛」のもと、知・徳・体の調和のとれた、心豊かに、高い志を抱き、未来を主体的に切り拓いて行く人間として成長していくことを期待し、式辞とします。

平成三十一年四月八日  兵庫県立相生高等学校長 小西信吾

1学期始業式

校長 小西 信吾

 改めて、おはようございます。新年度が始まりました。
 3年生は、自分の進路を決める大切な年です。1年後には社会人として出発できるように準備しましょう。
 2年生は、相生高校の中心となります。インターンシップや生徒会活動・学校行事などにチャレンジして可能性を広げてください。
 今日の午後、新入生を迎えます。皆さんも当時を思い出してください。期待と不安でいっぱいだったと思います。温かく迎えてあげてください。
 皆さんに2つのお話をします。1つ目は、4月1日に新元号が発表されました。「令和」ですね。万葉集巻5の序文
 時(とき)に、初春(しょしゅん)の令月(れいげつ)にして、気(き)淑(よ)く風(かぜ)和(やはら)ぎ、梅(うめ)は鏡前(きょうぜん)の粉(こ)を披(ひら)き、蘭(らん)は珮後(はいご)の香(かう)を薫(かをら)す。
書き下し文
 時は令(よ)い月(この場合『令』は“物事のつやがあるように美しい”の意)であり、空気は美しく、風は和やかで、梅は鏡の前の美人が装うように花咲き、蘭は身を飾る衣(ころも)に纏(まと)う
意味は、
 人々が美しく心を寄せ合うなかで、文化が生まれ育つ。梅の花のように、日本人が明日への希望を咲かせる国でありますように。だそうです。
 日本文化は世界に誇れると私は思います。5月になると、新緑が一斉に芽吹き、山の色や形など勢いを増します。その緑色も全部で79種あるそうです。黄緑、薄緑、うぐいす、もえぎの「き」は木、葱、黄の3色あるそうです。竹も若竹、青竹、老竹など、教室の黒板は常盤色など太古の昔から微妙な色合いを繊細に分けられてきました。青は65種、茶は71種、赤は92種など465種あるそうです。色も多種多様ですが、皆さんもひとりひとり個性を持っています。お互いの個性を認めつつも、自分の個性を磨いてください。
 2つ目は、米国の第35代ケネディ大統領の就任教書演説の一説です。
 Ask not what your country can do for you; ask what you can do for your country.
 国があなたのために何をしてくれるのかを問うのではなく、あなたが国のために何を成すことができるのかを問うて欲しい。
 この言葉の「国」をそれぞれの立場に置き換えてみてください。例えば、「学校」「生徒会」「クラス」「部活動」「地域」(相生市)(自治会)「家族」など。〇〇があなたのために何をしてくれるのかを問うのではなく、あなたが〇〇のために何を成すことができるのかを問うて欲しい。
 目標をしっかりと掲げ、それを実現するために、チャレンジしてください。失敗を恐れず、前を向いて歩んでください。
 私たち教職員は皆さんの応援団です。皆さんの夢を現実にするサポーターとして、努力を惜しみません。有意義な高校生活を送りましょう。

3学期を終えて

校長 西 茂樹

 本校ホームページをご覧いただき誠にありがとうございます。早いもので、平成30年が終わろうとしています。2月28日(木)に40回生の卒業式を終えました。その40回生ですが、神戸大学や岡山大学等の国公立大学や難関私立大学に多数合格するなど、好結果を出してくれています。その粘り強く最後まで諦めずに努力し続ける姿勢が結実したものと考えています。一方、2月の自然科学コース推薦入試に続き、第4学区複数志願選抜を行い、43回生になる158名が合格を勝ち取ってくれました。4月8日(月)に予定している入学式を心待ちにしているところです。
 さて、3月22日(金)に3学期終業式を行いました。その際、生徒達に話したことを記します。

 3年生が卒業し、1・2年生だけの終業式となりました。少し寂しい気持ちもしますが、2年生は最高学年、そして受験生になるという自覚、1年生は学校の中核、そして先輩になるという自覚を持てているかどうか、自問自答してみてください。
 今日は英語から入ります。皆さんは「That′s a moonshot」という英語を知っていますか。知っている人は手を挙げてください。では、どういう意味か分かりますか。ヒントは「moon」と「shot」です。「moon」は「月」、「shot」は「発射」、「moonshot」は、月へのロケット発射という意味です。これをヒントにして「That′s a moonshot」という英語の意味を考えてみてください。
1961年、アメリカのケネディ大統領は、「今後10年以内に人類を月に着陸させ、無事に帰還させる」という声明を出しました。いわゆる、アポロ計画です。この声明が出された当初、不可能に挑戦する馬鹿な奴だ、ということで、「That′s a moonshot」と言われました。しかし、挑戦することに奮い立ち、情熱を掻き立てられるアメリカ国民の国民性を理解していたケネディ大統領は、「容易だからではなく、困難だからこそあえてやるのだ」と発言し、アメリカ国民の絶大な支持を得ました。そして、8年後の1969年に、アポロ11号による月面着陸を成功させました。
よく、「現状より10倍良くする方が、10%良くするよりも容易だ」と言われます。どういうことかと言うと、現状より10%だけ良くしようとすると、どうしても既存の概念ややり方にとらわれてしまい、良いものは産み出されません。それに対して、10倍良くしようとすると、新たな発想や創造力が必要となります。その結果、思いも寄らない良いものが産み出される、というのです。アポロ計画はまさにその産物だったのです。
 「That′s a moonshot」という英語は、最初は「また馬鹿なことをやっている」という意味で使われていましたが、アポロ11号による月面着陸を成功させてからは、「不可能だと思われても、夢に向かって努力すれば、それは叶うのだ」という意味で使われるようになりました。
 10倍をめざす発想、ムーンショットの発想は、人類の歴史を大きく変えてきました。特に、テクノロジーの発達、発明には目を見張るものがあります。例えば、パソコン、スマホは、今から数十年前には到底考えられませんでした。まるで、ドラえもんの四次元ポケットから産み出された夢の道具のようです。ドラえもんが生まれたのは2112年です。100年先からタイムマシンに乗ってやってきましたが、今から100年先にどんなものが産み出されているか想像もつきません。しかし、一つだけ言えることは、これから先、何かが産み出されるとすれば、それを産み出すのは間違いなくムーンショットの発想です。そして、この発想がこれからの社会を大きく変えていくはずです。私は、ここにいる相高生の中から、ムーンショットの発想で不可能を可能にし、これからの社会を大きく変えていく人が出てくれることを強く願っています。
 さて、平成30年度が終わります。この1年間、ここにいるほとんどの人は何かしらの夢や目標に向かって努力してきたことと思います。残念ながら、まだ成果が出ていない人も少なからずいると思います。努力不足なのか、やり方がよくなかったのか、真剣でなかったのか、自己を顧みて改善に繋げてください。往々にして、真剣に、ひたむきに、一生懸命努力すればするほど、行き詰まってしまうものです。そんな時は、10%ではなく、10倍をめざす発想、ムーンショットの発想を持ってほしいと思います。きっと現状を打開するヒントが見つかるはずです。
 今日は皆さんに、「That′s a moonshot」という英語を伝え、いい意味で使える自分、いい意味で使われる自分づくりをめざし、今後、皆さんがさらに飛躍し成長してくれるを期待して式辞とします。

第四十回卒業式式辞

 「岩注ぐ 清水も春の 声立てて うちや出でつる 谷の早蕨」
 かの有名な歌人、藤原定家は、長い冬を終え、漸く訪れた春の喜びをこのように詠っています。自然の営みは実に確かで、相高坂の木々も生命の兆しを内に抱き、窓越しに差し込む光も、日増しに柔らかさを増して、春の訪れが近いことを予感させます。
 本日は、相生市長 谷口芳紀様、相生市教育長 浅井昌平様 同窓会長 芦谷得夫様をはじめ、多くのご来賓の方々、保護者の皆様のご臨席を賜り、このように盛大かつ厳粛に本校第四十回卒業証書授与式を挙行できますことに心から感謝いたしますとともに厚くお礼申し上げます。
 四十回生の卒業生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。ただ今卒業証書を授与いたしました一九〇名の皆さんに、本校教職員を代表して、心からお祝いを申し上げます。
 教育においては、「不易流行」ということが言われます。皆さんは入学以来、本校の「不易」の部分、人づくりの基盤をなす質実剛健の気風のもと、進路実現を目指して飽くなき濃密で充実した時間を過ごしてきました。一方で、「流行」の部分、豊かな人間性と、グローバル化時代に求められる主体性や協働性などを育むさまざまな教育活動に溌剌として情熱を注いできました。そうした皆さんのひたむきで真摯な、そして学年通信のタイトルが象徴する「躍動」する姿は、潮海邦彦学年主任の「めらめらと燃える」思いの具現化そのものであり、その思いはそれぞれの未来を切り拓く基盤として皆さん一人一人の心の中に息衝き、大きな支えとなることを強く確信しています。
 さて、近年、「世界はVUCA(ブーカ)ワールドとなった」と言われます。「VUCA」と書いて「ブーカ」と読みます。Volatility(ボラティリティ)=変動性、Uncertainty(アンサーティンティ)=不確実性、Complexity(コンプレクシティ)=複雑性、Ambiguity(アンビギュイティ)=曖昧性、これらの頭文字を並べた造語が「VUCA」=「ブーカ」です。これらの言葉が象徴するかのように、イギリスのEU離脱や、トランプ氏のアメリカ大統領就任など、既成の枠組みに対する民衆の危機感や不安が一つの形となってポピュリズムが台頭し、国際政治は流動化を増すばかりです。また、社会は「狩猟」「農耕」「工業」「情報」に続く、第5世代の「ソサエティー5.0」と言われる技術革新の時代に向かっています。それが証拠に、グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン、これらの頭文字を並べた「GAFA」=「ガーファ」といった、数十年前には予想だにしなかった新たな職域を持つ企業が世界中を席巻しています。一方で、地球温暖化を背景とする甚大なメガ災害は、毎年規模を増大させながら次々と容赦なく襲ってきます。
 このように、先を予測することが非常に困難で、不安定・不確実・不透明な状況にあっても、自分の拠って立つ基軸を見失うことなく、しっかりと地に足を据えて生き抜いてほしいと思います。その意味において、今後特に大切にしてほしい三つの基軸を皆さんに伝えて餞別にしたいと思います。
 一点目は、大きな志を持ち続けてほしいということです。
 苦境に陥った時、それに屈せず乗り越えるための気力の根幹を成すものは高い志であり、それは人間性を高めるものでもあります。幕末に活躍した吉田松陰は、「志のない人間は、魂のない人間に等しい」と言ったそうですが、志を立てることは、人として人らしく生きるための原点ともなります。松陰の言う志とは、世俗的な意味での立身出世ではなく、国家の危機を救うほどの大きなものです。松陰の時代と今とでは時代背景は大きく異なりますが、今日のように変化の著しい多様化した社会においてこそ、志の高い、展望のきいた人材が求められているのです。
 二点目は、挑戦する勇気を持ち続けてほしいということです。
 「才能はたいていの人が持っている。大切なのは、才能のあるなしではなくて、それを発揮するエネルギーがあるかどうかだ」と言ったのはアニメーション作家の宮崎駿氏です。人には無限の可能性と創造力があると言われます。それを発揮するには、無論、知識や経験、環境などさまざまな条件が必要ですが、何よりその原動力となるのは、エネルギー、つまり挑戦する勇気です。現状を受け入れてそれに甘んじてしまえば、それ以上の成長は望めません。困難に直面した時、考えに考え抜いて挑戦し続ければ必ず道は拓けます。いかなる状況に置かれようとも、挑戦する勇気を持ち続け、自らの道を自らの力で切り拓いていってください。
 三点目は、感謝の気持ちを持ち続けてほしいということです。
時に厳しく諭し、時に温かく見守ってくださった先生方、三年間ここ相高で同じ時空を共有し、喜びも悲しみもともに分かち合ったかけがえのない四十回生の仲間、いつも大きな愛情で包み、陰から支え応援してくれた家族、そして地域の方々。皆さんが今日、卒業の日を迎えることができたのは、もちろん、皆さんの弛まぬ努力によるのですが、その裏にはこうした多くの方々の励ましやご支援があったからこそです。「感謝の心が人を育て、感謝の心が自分を磨く」、これはアメリカの実業家、スティーブ・ジョブズ氏の言葉ですが、感謝の気持ちを決して忘れることなく、心豊かに生きてください。
 保護者の皆様に、この場を借りまして一言申し上げます。この三年間、本校の教育方針をご理解いただき、ご協力賜りましたことに厚くお礼申し上げます。お子様は、大きく、立派に成長され、今日この学び舎から巣立っていかれます。この十八年間、言葉には尽くせぬほどのご苦労があったこと、また春から親元を離れていくことに一抹の不安と大きな寂しさを感じておられることと推察いたしますが、今日この日を迎えられ、心からお慶びとお祝いを申し上げます。今後とも引き続き、本校に対して変わらぬご支援を賜りますようお願い申し上げます。
 最後になりましたが、不思議な縁でここ相高に集い、ともに育くんだ校訓「自律・創造・敬愛」の精神。この精神を深く胸に刻んで、皆さん一人一人の「躍動」する姿が母校の喜びや励みになることを、そして四十回生全員の力になることを忘れず、命を大切に、自信と誇りをもって、悔いのないすばらしい人生を歩んでいかれることを祈念しています。
 「別れをば 山のさくらに まかせてむ とめむとめしは 花のまにまに」
 卒業生の皆さんに限りない惜別の思いを残しつつ、その洋々たる前途を祝して、式辞といたします。

平成三十一年二月二十八日  兵庫県立相生高等学校長  西 茂樹

新年を迎えて

校長 西 茂樹

 本校ホームページをご覧いただき誠にありがとうございます。
 新年明けましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いいたします。
 2019年、「亥」年を迎えました。この「亥」年は、完成した自己がさらに次の高い段階を目指して準備する年、知識を増やし精神を育てるなどの自己の内部をさらに充実させるのに良い年、とされています。生徒達一人一人が自己をさらに高め、大きく成長する年であってほしいと願っています。
 さて、3学期始業式において、生徒達に次のようなメッセージを送りました。

 皆さんは「マインド・セット」という言葉を聞いたことがありますか。聞いたことがある人は手を上げてください。では、「マインド・セット」とはどのような意味だと思いますか。「マインド・セット」とはビジネス用語で、「考え方の基本的な枠組み」を意味します。分かりやすく言うと、物事に対して取り組む姿勢、心構え、覚悟などを表す言葉が「マインド・セット」です。
 この「マインド・セット」という言葉をよく聞くようになったのは、3年前の世界ラグビーで日本が優勝候補の一つ、世界ランク3位の南アフリカに勝利したことによります。この勝利は、番狂わせはないと言われるラグビー界にあって、「歴史的大事件」「奇跡の勝利」「史上最大の番狂わせ」などと言われました。
その時、日本のヘッドコーチであったエディ・ジョーンズ氏は、勝因を「選手のマインド・セットを世界に通用するように変えることができたからだ」と発言しました。
 エディ・ジョーンズヘッドコーチがコーチに就任した当初に感じたことは、日本の選手がネガティブな考え方しかしないこと、すぐに言い訳をすること、戦う前から実力を低く見て負けを認めていることでした。「日本人には Can’t do(できない)意識があり、それをCan do(できる)意識に変えないといけない」と思ったそうです。そこで彼が指導したことは、Can’t do(できない)意識を排除し、Can do(できる)意識を植え付けること、そのために「Japan Way」(日本流)を繰り返し言い続けて信じさせること、その「Japan Way」(日本流)は日本の強みである、常にパスをつないでボールを動かすことでした。外国の真似をしたのではダメ、相手に合わせてスタイルを変えたのではダメ、なぜならそれはCan’t doを前提としているからです。
 つまり、「強みを把握して、それを最大限に活かす」ということを徹底した、そうすれば勝てると信じて選手たちが努力し続けた、その努力も裏を返せば「勤勉」という日本人の強みを活かすことに他ならなかったのです。この話を聞いたとき、私は「なるほど」と納得してしまいました。皆さんの強みは何ですか。
 私達がエディ・ジョーンズヘッドコーチから学ぶことはたくさんあるように思います。よくポジティブシンキングと言われたりしますが、Can do(できる)意識を持って何事にも取り組んでほしいと思います。そのためにはまず「自分の強み」は何なのか。どうしたらそれを最大限に活かせるのか、ぜひ一度考えてみてください。そして、Can do(できる)と繰り返し自分に言い聞かせ、自分の強みを伸ばす努力をしてください。きっと「歴史的大事件」が起こるはずです。
 最後に、1・2年生は1年間の仕上げとして3学期をしっかりと締めくくってくれること、3年生は全員が受験を乗り越えて人生の新たな門出を晴れやかな気持ちで迎えてくれること、そして今年が皆さん一人一人にとって「歴史的大事件」が起こるすばらしい年となることを祈念して式辞とします。

 3年生はいよいよセンター試験です。今は不安と緊張の日々が続いていることかと思いますが、体調を崩す生徒が一人も出ず、それぞれの努力が結果に結びついてくれることを切に願うばかりです。センター試験激励会では、「Can do」、この言葉をエールとして送りたいと思っています。

2学期を終えて

校長 西 茂樹

 本校ホームページをご覧いただき誠にありがとうございます。早いもので2学期が、そして平成30年が終わろうとしています。数件の交通事故はありましたが、大事に至らず、皆元気に登校してくれました。
 3年生は推薦入試で国公立大学や難関私立大学に多数合格するなど、好結果を出してくれています。年明けのセンター試験、私大入試、国公立大2次試験と、引き続きその頑張りに期待しているところです。2年生は北海道へのスキー修学旅行が近づき、その準備に入っています。修学旅行が終わるといよいよ受験生です。1年生はこの1年間で高校生として精神的にも肉体的にも随分たくましくなりました。新入生のよき模範となってくれるものと確信しています。
 さて、12月21日(金)に2学期終業式を行いました。その際、生徒達に話したことを記します。

皆さんおはようございます。早いもので、2学期が終わり、2018年が終わります。先日、2018年の漢字が発表されましたが、どんな漢字か知っていますか。そう、「災」です。地震、台風、豪雨、猛暑など、今年の出来事を象徴する漢字が「災」であるとして「災」に決まったようです。皆さんは自分にとってのこの1年をどんな漢字で表しますか。
 ところで、近年、2人に1人が癌になる時代です。その克服は全人類の悲願でもあります。そんな中、「最も人の役に立てる仕事」として医学の道に進んだ京都大学の本庶佑教授がノーベル医学生理学賞を受賞しました。体内の異物を攻撃する免疫反応にブレーキをかけるタンパク質を突き止め、癌の免疫治療薬の開発に道を切り拓いたことが評価されたものです。実際に、免疫力を強めて体内の異物を攻撃し、7種類もの癌を排除する新薬が開発されました。これまでの癌治療は外科手術、放射線治療、抗癌剤治療が中心でしたが、「免疫によって癌を治す」という第4の治療法が確立され、多くの人の命を救えるようになりました。本庶教授は、「癌が脅威でなくなる日が、遅くとも今世紀中に訪れる」と語っています。一日も早くその日が訪れることを願っています。ちなみに、この研究は、世界初の抗生物質ペニシリンの発見にも繋がると考えられています。
さて、本庶教授は、非常に好奇心旺盛で、納得できるまで調べ尽くす頑なさを持っていたそうです。その本庶教授ですが、時代を変えるには6つの「C」が必要であると語っています。英語表記で「C」で始まる6つの「C」とは何だと思いますか。
①好奇心=Curiosity   ②勇気=Courage    ③挑戦=Challenge
④確信=Conviction    ⑤集中=Concentration ⑥継続=Continuation です。
本庶教授は、「好奇心Curiosityを大切に、勇気Courageを持って困難な問題に挑戦Challengeし、必ずできるという確信Conviction をもち、全精力を集中Concentration させ、諦めず継続Continuationすることで、時代を変えられる」と語っています。すばらしい姿勢ですね。
本庶教授は、今回の発見を「偶然」「幸運」と言っていますが、同じく、医学者でもあるフランスのパスツールが「偶然は準備のできていない人を助けない」と言っているように、まさにこの姿勢こそが「準備」であり、この姿勢を貫けたからこそ「必然」となってノーベル医学生理学賞に繋がったのだと思います。
今の皆さんに欠けているのは、この6つの「C」のうち、どれでしょうか。本来、時間の流れの中に切れ目はないのですが、日本には節目・節目に切れ目を設けて気持ちも新たに事に励もうとする風習があります。幸いなことに、「新年」「元旦」という節目を迎えます。この機会にしっかりと自分を顧みて、自分に欠けているものを見つめ直し、心機一転、気持ちも新たに「頑張る」節目としてほしいと思います。
最後に、明日から冬休みに入りますが、明日の自分が今日の自分より成長した自分であり得るよう、充実した時間を過ごしてください。そして、生活のリズムを崩さないよう、しっかりと自分を律し、相高生としての自覚を持って過ごしてほしいと思います。3年生は進路実現に向けて最後の踏ん張りどころです。本庶教授の言葉のように、「合格したいという思いを大切に、勇気を持って挑戦し、必ず合格できるという確信をもち、全精力を集中させ、諦めずに努力を継続すること」で、必ず合格を勝ち取れるはずです。そう信じて頑張り抜いてください。
 それでは、1月8日にこうして全員が元気に登校してくれること、来年が皆さんにとってすばらしい1年となることを祈念して、式辞とします。

 皆様もどうぞよい年をお迎えください。

相高生フォーラム挨拶

 本校の伝統的行事の一つ、それが相高生フォーラムです。人としての「生き方」「在り方」をテーマに、6名の弁士が自らの思いや考えをスピーチしてくれます。
 ところで、弁論は自分の書いた論文をただ発表するだけの場ではありません。目的は自らの思いや考えを聴衆に訴え、聴衆を納得・感化させることですから、何よりもまず結論が明快で説得力があり、聴衆に分かりやすく伝わることを重視しなければなりません。目で文章を読めば分かることでも、聞いて容易に分かるとは限りません。
 また、スピーチの技法にもいろいろあります。身振りや手振りを使うこと、同じ声調で読むのではなく特に伝えたいところに抑揚をつけることが特に重要です。実際に分かりやすく伝えるために弁士がどのような工夫をしているかに注目するのも、弁論の楽しみ方の一つです。
 言うまでもなく、よい弁論を成立させるためには、聴衆である皆さんの真剣な眼差し・頷き・相槌・笑顔といった態度も重要となります。また、通常の弁論大会では主張に対する賛同の声ばかりでなく、異論・反論・批判・疑問などを直に投げかけるものも良しとされています。
 このようにして、弁士と聴衆の相互交流をもとに互いに知見・教養を発展させる場として、すばらしい相高生フォーラムとなることを期待しています。

兵庫県立相生高等学校「創立記念日」に寄せて

校 長   西 茂 樹

 11月8日は県立相生高等学校の創立記念日です。今年で創立42年目を迎えますが、「不易」と「流行」を融合させた教育活動を展開し、その一層の充実を図っているところです。創立記念日を迎えるに当たり、改めて本校の歴史と伝統を確認し、これまで以上に相高生としての自覚と誇りを持ち、相高で学ぶ喜びを感じてくれることを願っています。

本校の沿革
 昭和52年4月1日 兵庫県立相生高等学校開設
 昭和52年9月25日 校旗制定
 昭和54年2月9日 校訓制定
 昭和54年11月8日 開校記念式典を行う・校歌制定
 昭和61年4月1日 英語コース・理数コース設置
 昭和61年11月8日 創立10周年記念式典挙行
 平成8年11月8日 創立20周年記念式典挙行
 平成15年4月1日 英語コースを国際情報コースに、理数コースを自然科学コースに改編
 平成18年11月11日 創立30周年記念式典挙行
 平成22年3月31日 国際情報コース 募集停止
 平成27年4月1日 学区再編に伴い、第4学区(旧西播学区、旧姫路・福崎学区)から入学
 平成28年11月8日 創立40周年記念式典挙行

 本校は、地域の大きな期待と熱い要望を受けて、昭和52年に開校しました。創立当初は設備も十分に整わず、何かと不自由な環境下にあったと聞いています。以来、地域から愛される学校づくりに向けて、教職員・生徒一丸となった「教えと学び」を営々と積み重ねてきました。その建学の精神は脈々と受け継がれ、地域社会や国際社会に貢献する多くの優秀な人材を輩出し、着実に発展を遂げてきました。今年3月現在、卒業生は10,380名を数え、相生市内はもとより、国内外を問わず、各方面において多くの方々が活躍されています。
 現在、学区再編により旧姫路・福崎学区から多くの新入生を迎えています。また、国の方では高大接続改革が推し進められています。こうした変化の著しい環境下にあっても、相高の伝統を継承するとともに、さらなる飛躍に向けて、生徒・教職員が力を合わせて邁進していきたいと思います。そして、先輩方の熱意と営為に深く感謝しながら、本校での主体的な学びを通して、「相高から世界へ」一人でも多くの生徒が雄飛してくれることを願っています。