入学行事 校長訓話

 ただ今、入学を許可いたしました二百名の新入生の皆さん、入学おめでとう、教職員一同、心からお祝い申し上げます。保護者の皆様、本日はお子様のご入学、誠におめでとうございます。心からお祝い申し上げます。
 本来ならば、来賓ご臨席の下、盛大に入学式を挙行すべきところではございますが、新型コロナウイルス流行による緊急事態宣言を受けて、新入生説明会という形で開催させていただきます。どうかご理解を賜りますようお願い申し上げます。
 さて、新入生の皆さんは、不安が入り混じりつつも、輝く希望と期待に心弾んでいることでしょう。相生高校での新しいスタートの喜びは、皆さんの努力の賜物であります。3月、新型コロナウイルス流行による突然の休校。入試に臨むにあたり不安は底知れないことだったと察します。しかし、その試練を乗り越えた今、皆さんは相生高校で学ぶことを選択しました。ここに至るまでに、ご家族の温かい愛情や、中学校の先生方の熱心なご指導があったことを決して忘れず、感謝するとともに今日は、皆さんの自ら学び、自ら成長を願う決意を改めて確認する場であり、ここにおられる多くの先生方や保護者に対する宣誓を示すものであります。
 「春風や 闘志抱きて 丘に立つ」
 この高浜虚子の俳句は、時代を超えて心に響く句であると思いますが、今、皆さんの心はいかがでしょうか? 意欲に燃えていますか。
 人間は、誰しも楽をしたいと思います。でも、今の自分をもっとよくしたい、向上させたいという気持ちがあることも事実です。入学式はこのような気持ちの切り替えに一役買ってくれる機会でもあります。
 さて、本校は高度経済成長という社会背景の中、地域の方々の熱い思いが実り、昭和五十二年に開校しました。国内外に優秀な人材を多数輩出いたしております。周囲を、緑豊かな木々に囲まれた閑静な高台に位置し、眼下には、相生の町並みや波穏やかな相生湾を臨むことができます。皆さんはこの恵まれた教育環境のもとで、人生で最も意義深い、青春の三カ年を送ることになります。この大切で貴重な時期を本校で学ぶ皆さんにひとつお話します。
 第35代アメリカ合衆国大統領である、ジョン・F・ケネデイ大統領が、1961年1月20日、大統領就任演説で話した言葉です。
 「我が同胞アメリカ国民よ、国が諸君のために何が出来るかを問うのではなく、諸君が国のために何が出来るかを問うてほしい」
 私はこの演説を次のように言い換えたいと思います。「新入生の皆さん、相生高等学校が皆さんのために何が出来るかを問うのではなく、皆さんが相生高等学校のために何が出来るかを問うてほしい」
  相生高校を作り上げてきたのは、生徒の皆さん、先生方、同窓会、PTAの皆様、地域の方々、その他大勢の皆様です。長い伝統がこの環境を作り上げてきました。皆さんは入学当初は戸惑うことも多いでしょう。しかし、相生高校から与えられることだけで満足していては、それ以上の進歩はありません。主体的・対話的で深い学びをしていくためには、自ら学び取る姿勢が必要です。これまでの先輩方が築きあげてこられたこの相高という環境を、自分の力でさらに発展させてほしいと願っています。皆さんは、この歴史と伝統ある県立相生高等学校の第四十四回生としての誇りを胸に、常に志を高く持って、夢の実現、目標の達成に向けて学び成長し続けてほしいと思います。
  最後になりますが、保護者の皆様にお願いがございます。高校の三年間は、人生の方向を決定する大事な時期であり、その一方で悩みや苦しみが大きい時期でもあります。私達教職員は、お子様が自らの生きる道を、自らの力で切り拓いていけるよう、全力で指導に当たって参りますが、お子様の健全な成長を願い、豊かな個性を育てていくためには、学校と家庭がそれぞれの役割を果たしながらも、相互に補完し合い、連携を密にしていくことが重要であると存じます。どうか、本校に対するご理解ご協力、そして信頼をよろしくお願い申し上げます。
 新入生の皆さん、本校の校訓「自律」「創造」「敬愛」のもと、知・徳・体の調和のとれた、心豊かに、高い志を抱き、未来を主体的に切り拓いて行く人間として成長していくことを期待し、訓話とします。
              令和二年四月八日 兵庫県立相生高等学校長 小西信吾

1学期始業式 式辞

 皆さん、おはようございます。令和2年度が始まりましたが、前回3学期の終業式に引き続き、1学期の始業式をこのような形式で行わなければならないことは非常に残念ですが、仕方ありません。よく聞いてください。
 新型コロナウィルスが今後どのように蔓延し、いつ頃どのように収束していくのか、今のところ分かりません。このことにより、皆さんの相生高等学校での学校生活には、多くの面で不自由な、良くない影響が今後も予測されます。皆さんが学習に、部活動に十分打ち込める環境を整えていくために、三つのお願いをします。
 まず一つ目は、自分が感染しないということです。当たり前の事ですが、誰しも自分が感染するとは思っていません。マスコミで報道される感染者数や感染が拡大している地域のニュースを見ても、実感がわかないのではないでしょうか。実際相生市では感染者はありません。しかし著名な芸能人やスポーツ選手の感染が報道されると、ああ、あの人もか、と少しは実感が湧くかもしれません。手洗い、うがい、マスクの着用等を行うことと、三つの密 密閉空間、密集場所、密接場面を避けることを徹底して、まず自分が感染しないということに重きをおいてください。
 二つ目は、次のように考えてください。自分は既に感染しているが、自覚症状がないだけである状態であると。肝心なことは、他の人にうつさないようにすることです。今回の新型コロナウィルスで亡くなっている方は、圧倒的に高齢者と基礎疾患の方々です。とすると、若い皆さん方は、自分は感染しないとか、自分は感染しても死んでしまうことはないだろう、と思いがちです。しかし、もし自分が既に感染しているとするならば、知らないうちに、無意識のうちにウィルスをばらまいていることになります。そして自分は症状がなく元気であるが、自分の周囲の高齢者や持病のある人たちの命を奪ってしまうかもしれない。だからこそ、人にうつさない行動を取ってもらいたいのです。休日に多くの人が集まる密閉空間へ出かけていくことを控えるということには、このような意味があると思います。
 三つ目は、今まで気がつかなかったことを、理解し、実行することです。新型コロナウィルス流行により、時差の登下校、時間割となります。休み時間も学年でずれます。教室移動は静かに行うこと。掃除の時間もずれます。机の移動も、椅子を逆さにして、机の上に置き、引きずらず、持ち上げ、音を立てずに行う。不要不急の外出の外出は控えるということ。時間がたっぷりあるということです。家庭学習、体力作り等自主的に行っても、時間は余りあります。例えば、食事の配膳、風呂掃除、洗濯物干し・取り入れ等家の手伝いを積極的にする。家族の負担が軽減でき、幸せにする。登下校の交通事故に遭わないように、道を譲る。駅待合マナー・電車乗車マナーに気をつける。全車両に分かれて乗車する。栄養を摂って自己管理を徹底する。不摂生により体調を崩して、病院に行く。新型コロナウィルス流行により、病院スタッフはストレスが溜まっていらっしゃる。余分な仕事を増やすなど、迷惑を掛けない。身のまわりで、気づくことはたくさんあります。細かな点に留意すると、周囲の人、地域の人、社会を幸せにする行動を取ることができます。小さなことから、積み重ねると、この危機を乗り越えられ、明るい社会が戻ることを信じて、生活しましょう。皆さんは必ず成長します。
 先生方も、この休業中、いろいろな事を考え、皆さんの登校が始まるときに備えて、準備をしてきました。一緒になって、この困難な時期を乗り切っていきましょう。
 令和2年4月8日 兵庫県立相生高等学校長 小西 信吾

令和元年度3学期終業式

 皆さん、おはようございます。今年度の3学期の終業式をこのような形式で行わなければならないことはまことに残念です。
 精一杯のお話をしますので、よく聞いてください。
 まず、2月28日の卒業式は全員マスクを着用という光景でしたが、来賓や保護者の方々から「素晴らしい」と褒めていただきました。ありがとうございました。来年は、また再来年は皆さんが在校生にお祝いいただけるように相高生として後輩たちに模範を示してほしいと思います。
 また、卒業生は国公立大学の入学試験を終え、続々と合格の報告を受けているところです。
 次に、皆さんです。3月3日から20日間、臨時休業が続きます。この間、どのような生活を送ってきたでしょうか。最初のうちは休校と聞いて「嬉しいな」という感想を持ったかもしれません。しかし、だんだんと学校に行かない、行けないということがこんなに大変なことだという思いに変わってきたと思います。
 さて、3学期の始業式に、エイミー・モーリンさんの「メンタルの強い人」の話をしました。「時間を無駄にしない。孤独を怖がらない」ということでした。この20日間いかがでしたでしょうか。
 通常の長期休業であれば、当然補習や部活動などで、登校することがあるでしょう。しかし今回は、補習も部活動も自粛と言うことで、これまで頑張ってきた皆さんにとっては大変つらい思いをしたと思います。
 普段当たり前に存在しているものが、なくなってみて、その存在のありがたみを思い知るものです。
 病気をした人ほど、健康のありがたみが身にしみます。先生方も生徒の皆さんがいないことで、どれだけ寂しい思いをしてきたことでしょうか。毎日、通信を発行し続けられた、その思いは計り知れません。
 今回の臨時休業は確かにピンチです。しかし、皆さんならこれをチャンスに変えていくことができると信じます。明けない夜はありません。止まない雨もありません。通常の学校活動が始まったときから、そのありがたさを感じつつ、これまでの休業分を取り返すために、集中して学業に部活動に取り組んでいきましょう。

兵庫県立相生高等学校長 小西信吾

第四十一回卒業式式辞


 石(いわ)走る 垂水の上の さわらびの 萌え出づる春に なりにけるかも
 万葉の時代、志貴皇子(しきのみこ)は高らかに春の訪れを歌い上げました。そして今、相高坂にも芽生えたばかりの早蕨の姿があることでしょう。
 この佳き日に、相生市長 谷口 芳紀 様をはじめ、多数のご来賓、保護者の皆様のご臨席のもと、第四十一回卒業証書授与式を挙行できますことに、心から感謝いたしますとともに厚くお礼申し上げます。高いところからではございますが、心よりお礼を申し上げます。本日はまことに有難うございました。
 第四十一回生百九十七名のみなさん、ご卒業おめでとうございます。これまでのみなさんの努力を心から讃えたいと思います。
 「Road」、皆さんが歩んできた道は山あり、谷ありでしたが、道から外れそうになると先生方が導いてくださりました。しかし、差し伸べる手も徐々に減り、今、皆さんは立派に成長し、この学び舎から前途洋々と旅立たれます。
 次のステージへと進まれる皆さんに、二つの話をして、餞の言葉とします。
 1つ目は、「物事の見方は一通りではない」ということです。
 今年のNHK大河ドラマは「麒麟がくる」というタイトルで、明智光秀を主人公としたものです。皆さんは明智光秀と聞くと、どんなイメージを持ちますか。頭はいいが、陰湿で繊細な男だったので、織田信長とソリが合わずにいじめられ、それを逆恨みして本能寺で謀反を起こした、というものではないでしょうか。しかし、この光秀像は基本的に江戸時代の資料がもとになっています。信長側や家康側から見た資料や文献は「光秀は逆賊である」という発想からスタートしているので、そこには客観性が欠如しているのではないでしょうか。今年の大河ドラマでは、これまでにない明智光秀像を見せてもらえるものと期待をしています。皆さんも物事を見るときに、一つの方向だけから見るだけではなく、鳥の目、虫の目といった複数の目をもって見る姿勢を身につけてもらいたいと思います。
 二つ目は、「地球に優しく」ということです。
 昨年、吉野彰さんがノーベル化学賞を受賞されましたが、これはリチウムイオン電池の開発に対しての受賞でした。軽くて、安くて、何回も充電ができる電池の発明は、様々な分野に多大な貢献をもたらしています。しかし、リチウムイオン電池の原料であるリチウムという金属はどこにでもあるものではありません。また、地球上に無限に存在するものでもありません。人間はこれまでにないスピードで、地球にある化石燃料や地下資源を消費し続けています。大気中に放出される地球温暖化ガスによる、気候変動や異常気象も気になる点です。さて、SDGsという言葉があります。これはSustainable Development Goals の略号で、日本語では「持続可能な開発目標」と呼ばれています。2015年9月に国連サミットで採択され、2016年から2030年までに世界中で取り組むように決められたものです。この中で大切なことは、Sustainabl持続可能という言葉です。各国が自分の国だけの経済発展を目標にすることは間違っています。持続可能で、地球に優しい発展でなければなりません。私たち大人が皆さんの若い世代に対して、良い地球をバトンタッチできているのか、甚だ疑問です。実際にスウェーデンの環境活動家グレタ・トゥーンベリさんは国連気候行動サミットで、地球温暖化対策に本気で取り組まなければ、あなたたちを許さないと大人たちを叱責しました。我々大人も頑張りますので、皆さんの世代が社会の中心となる時代には、是非地球に優しい社会を作り上げてほしいと願っています。
 最後になりましたが、保護者のみなさまには、この三年間、ときには厳しくときには優しくお子様を励まし支えていただくとともに、本校の教育活動に深いご理解とご協力をいただきましたことに心から感謝申し上げます。有難うございました。
 石(いわ)走る垂水の上のさわらびの萌え出づる春になりにけるかも
 滝のほとりに一斉に芽を出した早蕨は、今日巣立つみなさんです。
 みなさんには使命があります。始めて顔を出した早蕨のように、新鮮な目と心でこの世界と出会い、新しい未来を切りひらいてください。
 自分を大切に。人を大切に。そしてふるさとを大切に。
 ふるさとは相生であり、日本であり、世界です。
 どうぞみなさんの前に広がる未来が幸多いものでありますように。心から祈念しまして式辞といたします。

令和二年二月二八日

兵庫県立相生高等学校長  小西 信吾

3学期始業式

 1月8日(水)が気象警報で臨時休校になったため、翌9日(木)に3学期始業式を行いました。小西校長から次のようなお話がありました。
  以下に、校長式辞の全文を掲載します。

 皆さん、明けましておめでとうございます。年末年始は穏やかな天気でした。良いお正月を迎えられましたでしょうか。
 今年は2020年。東京オリンピック・パラリンピックの年です。感動する楽しみなイベントがあります。彼らはいかにして、そのモチベーションを維持しているのでしょうか。エイミー・モーリンさんが著した「メンタルが強い人がやめた13の習慣」という本が全米で話題となっているそうです。「メンタルの強い人」はそれが最悪の状況だろうと人生最大の危機だろうと、なんとか切り抜ける方法を知っています。誰もがもっている13の思考習慣をやめれば、折れずにしなるレジリエンスな生き方ができる。あなたの一番悪い習慣が、あなたの価値を決めています。メンタルが強くなれば、最高の自分でいられます。いくつかを紹介します。
 
 1 時間をむだにしない。
 2 想定内のリスクを恐れない。
 3 同じ失敗を何度も繰り返さない。
 4 過去について、くよくよしない。
 5 一度の失敗であきらめない。
 6 ひとりの時間を怖がらない。
 
 この本は、著者のメンタルが極限まで弱った時に誕生しました。23歳で母をくも膜下出血のために亡くし、26歳のときに夫が心臓発作で突然逝ってしまうという不幸に見舞われたエイミーさん。愛する人を失って泣き、怒り、仕事を休んでひきこもり、心に決めた。泣きながら残りの人生を過ごすなんて、まっぴらだと。だからこそ、打ちのめされそうな自分を支えるために、いつのまにか染みついた13の習慣をやめることを。
 メンタルが強い人は、それが最悪の状況だろうと人生最大の危機だろうと、なんとかうまくやる方法を知っているタフな人たちです。誰もがもっているこの思考習慣をやめれば、折れずにしなるレジリエンスな生き方ができます。
 ではその、レジリエンスとは?
元々、工学や物理学の世界で使われていた言葉です。物質や物体に対して、外力が加わると変形します。そのとき、どれくらいその力を吸収できるか、元の形に戻ろうとすることができるかということです。その後、生体環境学や社会環境システム、心理学でも使われるようになりました。「ストレスや逆境にさらされても適応し、自分の目標を達成するために再起する力」です。
  レジリエンスの効果は?
  1 集中力高く、パフォーマンスを高めることができる。
 2 より創造的、包括的に問題解決ができる
 3 リスクを特定し、対応する能力を高めることができる。
 4 プレゼン能力を高めることができる。
  5 問題行動が減少する。
 複雑なあれこれに振り回されていようが、とんでもなく不安であろうが、自信がまるでなかろうが、トラウマを抱えていようが、大丈夫です。
さあ3学期が始まりました。それぞれの仕上げの学期です。特に3年生にとっては、相生高校を卒業するという、大きな意味合いを持っています。1・2年生は、次の学年への準備する学期、そして、後輩を迎える進化する相生高校を創り出す準備する学期です。みなさんにとっても成長する大切な時期です。自己決定に向けて、果敢にチャレンジしてください。先生方はしっかりとサポートします。期待し、応援します。

令和元年 2学期終業式 式辞

 長い2学期が終わろうとしています。
 体育大会や受験、新人戦、地域ボランティアなど多くの経験をしました。
 地域連携やボランティア活動を熱心にしてくれる生徒が大勢いて、大変嬉しいです。この経験をどう活かすかは、今後のあなたたちひとりひとりの取り組む姿勢次第です。楽しみにしています。
 今日は次のことを考えてみてください。Society5、0です。人間中心の社会Society。狩猟、農耕、工業、情報に続く、仮想空間と現実空間を高度に融合させ、少子化や過疎化などの課題を解決することを示してます。それには、AIが必要です。AIが現在ある仕事の中で、特に「資料整理」「文字入力」「機械類操作」はAIに取って替わるそうです。
 しかし、AIによって代替可能性が低い職業があります。クリエイティブや物理作業、複雑な判断を伴う作業は、AIが発展しても消えない職業だそうです。医者、教師、エンジニアや芸術、考古学、哲学等抽象的な概念の理解が求められる仕事、専門的なコミュニケーションや交渉が求められる仕事だそうです。AIが人間の感情や発言の裏側まで想定することができないから、そのような仕事の代わりは困難だろうと推測されます。
 次に、AIの発展で新しく生まれる仕事もあるそうです。まだ、今後どう展開するかわかりませんが、AIをよく知ることも、必要でしょう。
 将来を見通すことが困難で「正解のない時代」と言われています。皆さんに不安ばかり、募らせてしまっているかもしれません。
 そこで、皆さんにエールを送ります。変化の激しい時代です。好きなことをひとつだけやっていても、一生続けられないでしょう。好きなことを学び続け、キャリアを重ねながら、好きなことの幅を広げ、強みを増やしていくことが大切です。自分の強みになる要素をできるだけ、遠い領域の組み合わせで備えていることが大切です。
 例えば、私の知り合いの先生が、定年退職後、車椅子バスケットボール協会の仕事をされています。
① 英語ができる。ルールブックの翻訳や、国際大会の通訳など
② 車いすバスケットボールに詳しい国内大会の審判、国際大会のコミッショナーなど
 来年の東京パラリンピックのスタッフをされるそうです。
 社会課題を発掘する能力、いわゆる探究する能力があるといった組み合わせは理想的ですね。
 だからこそ、自分の得意分野、専門性とともに未知の領域に向き合い、やったことのないことに自信を持って取り組むことができる力を早い段階から養っておくことが求められます。
 進路選択において、大学、学部、学科を選ぶ際にも、これからはそういった力をつけられるかどうかが重要なポイントとなります。
 自己決定に向けて、果敢にチャレンジしてください。
 先生方はしっかりとサポートします。
 期待し、応援します。皆さん、よい年越しを。3学期の始業式で元気な姿を見せてください。

兵庫県立相生高等学校「創立記念日」に寄せて

兵庫県立相生高等学校
校 長 小西 信吾

 11月8日は県立相生高等学校の創立記念日です。今年で創立43年目を迎えますが、「不易」と「流行」を融合させた教育活動を展開し、その一層の充実を図っているところです。創立記念日を迎えるに当たり、改めて本校の歴史と伝統を確認し、これまで以上に相高生としての自覚と誇りを持ち、相高で学ぶ喜びを感じてくれることを願っています。

本校の沿革
 昭和52年4月1日 兵庫県立相生高等学校開設
 昭和52年9月25日 校旗制定
 昭和54年2月9日 校訓制定
 昭和54年11月8日 開校記念式典を行う・校歌制定
 昭和61年4月1日 英語コース・理数コース設置
 昭和61年11月8日 創立10周年記念式典挙行
平成8年11月8日 創立20周年記念式典挙行
平成15年4月1日 英語コースを国際情報コースに、理数コースを自然科学コースに改編
 平成18年11月11日 創立30周年記念式典挙行
 平成22年3月31日 国際情報コース 募集停止
 平成27年4月1日 学区再編に伴い、第4学区(旧西播学区、旧姫路・福崎学区)から入学
 平成28年11月8日 創立40周年記念式典挙行

 本校は、地域の大きな期待と熱い要望を受けて、昭和52年に開校しました。創立当初は設備も十分に整わず、何かと不自由な環境下にあったと聞いています。以来、地域から愛される学校づくりに向けて、教職員・生徒一丸となった「教えと学び」を営々と積み重ねてきました。その建学の精神は脈々と受け継がれ、地域社会や国際社会に貢献する多くの優秀な人材を輩出し、着実に発展を遂げてきました。今年3月現在、卒業生は10,570名を数え、相生市内はもとより、国内外を問わず、各方面において多くの方々が活躍されています。
 現在、学区再編により旧姫路・福崎学区から多くの新入生を迎えています。また、国の方では高大接続改革が推し進められています。こうした変化の著しい環境下にあっても、相高の伝統を継承するとともに、さらなる飛躍に向けて、生徒・教職員が力を合わせて邁進していきたいと思います。そして、先輩方の熱意と営為に深く感謝しながら、本校での主体的な学びを通して、「相高から世界へ」一人でも多くの生徒が飛翔してくれることを願っています。

令和元年 2学期始業式 式辞

 7月20日、1学期の終業式の後、「自転車マナーアップキャンペーン」や「塩場菜(しばな)再生ボランティア」「おもしろ科学実験教室」「オープンハイスクール」など、地域と連携した活動に感謝します。また、補習やインターンシップ・宿泊研修など頑張っている姿も輝いて見えました。オープンハイスクールも、中学生に対し、優しく接してくれました。アンケートは生徒・保護者・引率の先生いずれもとてもよい評価でした。ありがとうございます。
 ギリシャの哲学者アリストテレスは幸福を人生の究極の目標と捉えました。ある調査機関は、何が幸福か調べました。所得・健康・人間関係・学歴?人それぞれですね。これらに共通することが達成感を感じることだそうです。自分の進路選択において、自己決定を行った者は、そうでない者より、前向き思考が強く、不安感が低いことがわかりました。すなわち、自己決定度が高いほど幸福感も高い。なぜ、自己決定度が高ければ、不安感が低いのか?自己決定を行うことは、進路に対する自己責任意識を高め、成功したときの満足度が高くなります。また、長い道のりの中で、小さな失敗もあるでしょう。失敗したときの結果責任が強く意識されます。自らの力で失敗したという意識は、自らの力で失敗から立ち直る力になり、結果として成功を手に入れたときの自信につながります。自己決定により、失敗から立ち直った経験を持つ者は、失敗することに対する不安感も少なくなり、むしろ、失敗が、より大きな成功につながることを経験することになります。自己決定を行い、失敗を繰り返し、そこから成功する力を自ら手に入れることによって、人はより多くのことにチャレンジできる力を身につけていくことになります。このような力を持った者が、長期的に社会で成功していくことになるのです。
 さあ、2学期が始まりました。長丁場です。みなさんにとっても成長する大切な時期です。今、君たちは高校生です。チャレンジすることに社会的責任は問われません。自己決定に向けて、果敢にチャレンジしてください。先生方はしっかりとサポートします。期待し、応援します。

令和元年度1学期終業式 校長式辞

1学期の終業式を無事に迎えることを大変嬉しく思います。43回生が入学し、相高祭や球技大会など行事を成功させることができたのは、皆さんの力が思う存分に発揮できたからだと思います。
 では、皆さんに問題を考えてもらいましょう。
 
問題 次の命題は真か偽か。
  すべての科目の定期考査で、「良い」点数を取ることは簡単である。
自分で、正しいか、誤りか、を考え、次にその理由を二つ考えてみましょう。
 ①正しい か 誤り か
 ②理由に正当性があるか。
 (答)すべての科目の定期考査で、「良い」点数を取ることは簡単である。
 (理由)範囲が決まっているから
でも、私はいくら勉強しても、「良い」点数が取れたとがありません、という人は多いですよね。
なぜでしょう。そこには、間違いが二つあります。
 ①作戦がまちがっている。
 ②練習が足りない。

ここで、A高校の野球部を強くする作戦を考えてみます。 
まず条件は・・・
 ①ピッチャーは球速はないが、コントロールは良い。
 ②守備はうまくないが、うまくなるには時間がかかる。
 ③打撃もよくないが、打つのが好きな選手が多い。
 ④他のクラブとの関係で、放課後にグラウンドを使えるのが週に三回しかない。
この条件で強くするにはどうすればよいでしょうか。
 長所を伸ばす。
 短所を目立たなくする。
 選択と集中だ。
つまり、
 ①ピッチャーはコントロール最優先で行く。
 ②守備は仕方ないのである程度目をつぶる。
 ③打撃は最優先で、早朝練習やバッティングセンターも使う。
 ④グラウンドが使える時のメニューは、分刻みのものを選手が作る。

えっ、これってどこかで聞いたことのある作戦では?
その通り。東京の開成高校野球部の作戦です。
開成高校野球部がすごいのは、この作戦で、迷いなく徹底的に練習したこと。そして、開成高校野球部の目標は、甲子園に出ることではなく、地区大会でベスト16に入ること。実際、見事達成してしまいました。

これを定期考査に置きかえてみます。
定期考査で「良い」点数を取るためには?
 ①作戦 テストに出る(出そうな)ところは全体の中のどの部分かを正しく分析する。
 ②練習 その部分を中心に、時間をかけて記憶する。
私が今まで点数が悪かったのは・・・
 ①作戦ミス テストに出ない(出なさそうな)ところも全て勉強しようとしていた。
 ②練習不足 勉強時間が少ないし、嫌いな教科は全くする気にならなかった。

作戦ミスと言われても、テストに出るところが分かりませんという人がいるかもしれません。
自分でできないことは、他の人の助けを借りましょう。
 ①教科の先生
 ②友人 できれば賢い友人
 ③塾の先生
練習不足と言われても、
 ①勉強時間は増えません。
 ②嫌いな教科は嫌いです。
どうすればいいでしょうか。
 ①まず、スマホを解約する。
無理です。9時以降はLINEをしないように決める。
 ②数学なんて教科書を開けることすら嫌いです。
数学の面白さと必要性を自分のものとして捉える。

まとめ
①目標を立てます。
②現在の条件を確認します。
③作戦を立てます。
④自分の限界まで努力します。
⑤目標が達成できたか。
⑥達成できなかった原因を探ります。
⑦次回の目標、作戦に生かします。

次に、皆さん10年後の社会はどのようになっているのでしょう。
VUCA(ブーカ)WORLD が到来すると言われています。
V volatility      変動性
U uncertainty     不確実性
C complexity      複雑性
A ambiguity       曖昧性
では、どうすればよいか。どのような力をつける必要があるか。
①不確実な時代で副作用があるかもしれないけど、意思決定できる力
②仮説検証スピード力
③多様性受容力(専門外や違う意見を受け入れる)
④開発力(学ぶ力を自ら切り拓き、強みを増やす力)
⑤課題設定力(自分で課題を設定し、先見性を持つ)
⑥変化抽出力、変化適応力

 最後に、一番大切なことは、自己効力感(世の中の役に立つ自信)だと思います。大学受験だけではなくて、職業観、人生設計まで見通して、考えてください。夏休みに様々な経験をして、「やればできる」自分を磨いて2学期の始業式に元気な姿で会えることを楽しみにしています。

第43回 入学式 式辞

 桜花爛漫、春の到来は、森羅万象の躍動感を感じます。
 その今日の良き日に、相生市教育次長玉田直人様、PTA会長佐伯敦様をはじめ、多くのご来賓のご臨席を賜り、保護者の皆様のご出席のもと、ここに兵庫県立相生高等学校第四十三回入学式を挙行できますことを、心から嬉しく思います。
 ただ今、入学を許可いたしました百九十八名の新入生の皆さん、入学おめでとう、教職員一同、心からお祝い申し上げます。また、新入生の皆さんは、不安が入り混じりつつも、輝く希望と期待に心弾んでいることでしょう。相生高校での新しいスタートの喜びは、皆さんの努力の賜物でありますが、ここに至るまでに、ご家族の温かい愛情や、中学校の先生方の熱心なご指導があったことを決して忘れず、感謝するとともに今日の入学式は、皆さんの自ら学び、自ら成長を願う決意を改めて確認する場であり、呼名に対する皆さんの返事は、ここにおられる多くの先生方や保護者に対する宣誓を示すものであります。
 本校では、「確かな学力」の確立、「豊かな心」の育成を図るため、相生市はもとより、大学や企業等との連携を密にしながら、課題研究をはじめ、探求学習を多く取り入れるなど、教育活動の充実に努めております。この環境のもとで、若者らしく、何事にも果敢に挑戦し、将来の夢や進路希望を実現するべく、高校生活の第一歩を踏み出してください。
 さて、本校は高度経済成長という社会背景の中、地域の方々の熱い思いが実り、昭和五十二年に開校しました。国内外に優秀な人材を多数輩出いたしております。周囲を緑豊かな木々に囲まれた閑静な高台に位置し、眼下には相生の町並みや波穏やかな相生湾を臨むことができます。皆さんはこの恵まれた教育環境のもとで、人生で最も意義深い、青春の三カ年を送ることになります。この大切で貴重な時期を本校で学ぶ皆さんに三つのことを希望します。
 一つ目は、「高い志を持ち続けてほしい」ということです。自分の志を立て、それに向けて具体的な目標を持つことは、自分を律し、生活を充実させる基盤となります。皆さんは高校生活三カ年の延長線上に、将来どのような人生を生きるかということを具体的に考えているでしょうか。どのような職業に就き、社会にいかに貢献していくかを考えておくことによって進路も明確なものが見えてきます。本校での充実した学びを通して自己認識を深め、自己実現をめざして、高い志を持ち続けながら、本校校訓の「自律」する精神を養ってください。
 二つ目は、「確かな自分を作り上げてほしい」ということです。世界はグローバル化時代を迎えています。あらゆる知識や技術は日進月歩で、おびただしい情報が世界中に氾濫しています。一方、悲惨な事故や事件が世界中で後を絶ちません。皆さんが心豊かに生活するためには情報に流されたり、惑わされたりせず、主体的に行動することが大切です。国際的な広い視野に立って、柔軟なものの見方、考え方を持ち、善悪・真偽を正しく判断できる確かな自分を「創造」してください。
 三つ目は、「良き友を得てほしい」ということです。良き友とは、ともに喜び、ともに悲しみ、ともに高めあうことのできる真の友人です。目標に向かって切磋琢磨し合う中に友情は育ち、一生皆さんの力になります。部活動やクラスでともに、心身を鍛えるとともに、かけがえのない友、「敬愛」を育んでください。
 最後になりましたが、保護者の皆様に一言ご挨拶申し上げます。本日はお子様のご入学誠におめでとうございます。心からお祝い申し上げます。高校の三年間は、人生の方向を決定する大事な時期であり、その一方で悩みや苦しみが大きい時期でもあります。私達教職員は、お子様が自らの生きる道を、自らの力で切り拓いていけるよう、全力で指導に当たって参りますが、お子様の健全な成長を願い、豊かな個性を育てていくためには、学校と家庭がそれぞれの役割を果たしながらも、相互に補完し合い、連携を密にしていくことが重要であると存じます。どうか、本校に対するご理解ご協力、そして信頼をよろしくお願い申し上げます。
 新入生の皆さん、本校の校訓「自律」「創造」「敬愛」のもと、知・徳・体の調和のとれた、心豊かに、高い志を抱き、未来を主体的に切り拓いて行く人間として成長していくことを期待し、式辞とします。

平成三十一年四月八日  兵庫県立相生高等学校長 小西信吾